研究論文

食品・栄養科学の査読済み学術論文(J-STAGEEurope PMCOpenAlexDOAJ)から毎時収集した論文一覧です。ヒトの食・栄養に関わる論文のみを対象に収集しています。NutriMap紹介記事がある場合は、論文ページリンクの横に記事リンクを掲載します。

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オープンアクセス誌の食品・栄養論文(英語)

※ NutriMap紹介記事はAIによる要約・解説を含みます。原著論文へのリンクを各記事末尾に掲載しています。断定的な健康効果の表現は使用していません。

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赤シソエキスが細胞の酸化ストレス関連遺伝子発現変化に与える影響

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】生活習慣病の発症要因の一つとして酸化ストレスが挙げられる.酸化ストレスの高い状態が持続すると,心疾患や脳血管疾患などの原因となることから,生体内における活性酸素種の除去や抗酸化能の向上が重要である.本研究では,機能性食品素材及び食品添加物製剤として市販されている赤シソエキス(日農化学工業株式会社)が,細胞の酸化ストレス関連遺伝子の発現量に与える影響を検証することを目指した.さらに,赤シソエキスを分画し,各画分が当該遺伝子発現に与える影響を評価することで,有効成分の特定に向けた手掛かりを得ることを目的とした.【方法】赤シソエキスをエタノール,水で抽出し,それぞれエタノール画分,水画分とした.ヒト子宮頸がん(HeLa)細胞を播種し,24時間インキュベート後,赤シソエキス,エタノール画分,水画分のいずれかを含む培地と交換した.さらに24時間インキュベート後,細胞を回収し,RNA抽出,cDNA合成を行い,酸化ストレス関連遺伝子のmRNA発現量をReal-Time PCR法により測定した.【結果】赤シソエキスまたはエタノール画分の添加により,抗酸化関連遺伝子の活性化に関与するNF-E2-related factor 2( NRF2 )およびheme oxygenase-1( HMOX1 )の発現量が上昇した.よって,赤シソエキスは,KEAP1-NRF2経路の活性化に伴う HMOX1 の発現上昇によりHeLa細胞の酸化ストレス耐性を向上させていることが示唆された.このとき,NRF2の抑制に関わるkelch like ECH associated protein 1( KEAP1 )の発現量には変化が見られなかった.そのため, HMOX1 の発現上昇は, NRF2 の発現上昇もしくは核内移行の促進によるものと考えられた.また,これらの遺伝子発現に影響を与えた赤シソエキス中の成分は,エタノールに可溶な脂溶性成分であることが示唆された.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 23:20

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島根県産食品のブランド価値向上に関する研究および支援

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【講演者の紹介】 永瀬 光俊(ながせ みつとし):島根県産業技術センター 企画調整スタッフ 主席研究員 略歴: 1991年広島大学大学院工学研究科博士課程前期修了,同年島根県に入庁(工業技術センター,現産業技術センター).2011年博士(生命システム科学)取得,2023年より現職. ブランド価値とは、消費者や市場における信頼性、好感度、認知度、競争力などの総合的評価を指す。しかし、農林水産物・加工食品は、工業製品と異なり、安全性、健康への配慮、表示の信頼性、季節性、地域性(当該地域の自然、歴史、伝統に根ざす「地域らしさ」)が特に重要な要素となる。これにより、農林水産物・加工食品のブランド価値は複雑であり、その価値を高めるには様々な取り組みが必要といえる。1990年代前半以降、「地域ブランド」の概念が広まり、製品名とともに地域名もブランドとして認識されるようになった。この流れを受け、島根県では、2002年に「しまねブランド推進室」(その後課に昇格)を設置し、県産品の販路と消費の拡大を進めている。産業技術センターでも、県内企業の技術支援を通じた産業振興を目指し、県内の農林水産物・加工食品を地域のブランド価値として捉え、付加価値を高める技術の開発や、新商品開発に関する研究を続けてきた。その中で、今回は県魚であるトビウオの鑑定技術に関する研究および2018年から5年間行われた生物機能応用技術開発プロジェクトについて紹介する。 島根県の特産品「あご野焼」は、トビウオを主原料とするかまぼこの一種で、2000年以降、ふるさと認証食品(Eマーク)制度によって品質が保証されている。しかし、外見からトビウオの使用が判断できないため、鑑定技術を開発した。研究の手順としては、主要なトビウオであるホソトビウオのミトコンドリア全塩基配列の決定を行い、それを元に、まずはPCR-RFLP法を用いたトビウオ類の定性的検出を試みた。次のステップとして, 画像解析法とリアルタイムPCR法という二種類の方法で定量的検出を試みた。そして、トビウオ類に関して形態的な特徴がなくても、また加熱等の加工がされていても、定性的、定量的鑑定が可能になった. すなわち、あご野焼Eマーク基準の分析法を確立することができた。また、同時にトビウオ類を用いた製品全般に関しても鑑定が可能となった。 1995年から県内の農林水産資源を地域独自の素材ととらえ、その生理活性機能に着目することにより、付加価値を高めた新商品開発あるいは付加価値を高める技術開発に関する研究が開始された。当初は一般研究課題であったが、 1990年代に国内における健康食品市場は右肩上がりの急成長を続けたことから、県内の産業振興が期待できる重要課題としてプロジェクト研究に格上げされ、健康食品産業化プロジェクト(2003-2007)、機能性食品産業化プロジェクト(2008-2012)、高齢化社会対応の機能性素材開発プロジェクト(2013-2017)、生物機能応用技術開発プロジェクト(2018-2023)と続き、これまで様々な課題について20 年以上にわたり研究を重ねてきた。2018 年からの生物機能応用技術開発プロジェクトでは、競争力・付加価値の高い美容健康関連製品の開発がメインテーマとなり、1)生物機能(発酵・熟成技術)を用いた新規素材の開発・製品の開発支援、2)販路開拓(機能性表示・栄養機能食品開発及び届出支援)を行った。キクバヤマボクチの抗炎症作用やアケビの抗肥満効果を確認し、特許を取得。日本酒の美肌成分であるαEGや葛の地上部を用いた新製

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 23:20

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米胚乳タンパク質加水分解物がヒトの認知機能に与える影響

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】米胚乳タンパク質(REP)は種々の生理機能を示すことが報告されている.しかしながら,有効摂取量の多さから機能性食品として広く食されるには至っていない.これまでに我々はREPを酵素で分解してREP加水分解物を作製し,少量で緊張感・不安感緩和作用や食欲増進作用などの生理機能を担う新たな食素材の研究開発を行ってきた.近年,日常的に摂取可能な食品成分による認知機能の改善効果が注目を集めていることから,本研究では,REP加水分解物がヒトにおいて認知機能に与える効果を評価すべく臨床試験を実施した. 【方法】健常な50歳以上69歳以下の男女40名を対象にランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施した.被験者をアクティブ群またはプラセボ群に20名ずつ無作為に割り付け,REP加水分解物含有食品(200mg/日)またはプラセボ食品を摂取させた.摂取期間は12週間とし,REP加水分解物がヒトの認知機能に与える影響を評価した.認知機能の評価にはCognitraxおよびあたまの健康チェック(拡張版)を用いた.またQOL調査としてSF-36v2 日本語版を用いてREP加水分解物が主観的な生活の質に与える影響を評価した.合わせて安全性評価としてバイタルサイン,身体測定,血液生化学的検査,血液学的検査,尿検査及び有害事象の評価を実施した. 【結果】REP加水分解物の摂取はCognitraxの標準化スコアの実測値において摂取12週後のSDCテストの正解応答のスコアをプラセボ群と比較して有意に上昇させた.一方で,群間比較においてCognitraxのその他の項目およびあたまの健康チェック,SF-36v2の改善は認められなかった.SDCテストでは被験者が記号に対応する数字を素早く正しく入力する処理が要求されるため,REP加水分解物の摂取は情報処理速度や複雑な注意力,視覚的知覚速度といった認知機能を向上させる可能性が示唆された.また,安全性評価項目においてはREP加水分解物の摂取と関連のある有害事象は認められなかった.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 23:20

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アレルギー低減卵の特性評価 ~卵の三大加工機能を中心に~

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【講演者の紹介】 小山 翔大(こやま しょうた):東京農業大学 応用生物科学部農芸化学科 助教 略歴:2021年 東京農業大学大学院 農学研究科 農芸化学専攻博士後期課程 修了.同年 東京農業大学応用生物科学部農芸化学科 博士研究員を経て,2024年より現職.受賞歴:2020年日本食品保蔵科学会 論文賞.2025年 日本食品科学工学会 関東支部奨励賞.2025年 日本食品保蔵科学会 奨励賞.卵を中心に食品化学分野の研究に取り組んでいる. 鶏卵は高い栄養および加工特性を有する優れた食品である.卵の利用範囲はたまごかけごはんやゆで卵,オムレツといった卵が主役となる食品に加えて,製菓製パンや種々のチルド・冷凍総菜にもしばしば利用されるなど,非常に多岐にわたる.しかし,鶏卵は主要な食物アレルゲンであり,アレルギー症状を示す人は乳幼児を中心にかなり多い.食物アレルギーは症状を示す本人のみならず,家庭や学校給食などにも影響するため,大きな社会課題となっている.このような背景から,アレルギー反応を示さない卵の開発が進められてきた.アレルゲンの不活性化には,加熱やプロテアーゼ処理が有効であるが,卵白タンパク質のうちオボムコイドはこれらの処理を経ても不活性化しないことが大きな壁であった.そこで近年,ゲノム編集技術を用いて,オボムコイドが遺伝子をノックアウトしたニワトリが作出され,そのニワトリが生産する卵(アレルギー低減卵)には全くオボムコイドが含まれないことやゲノム編集により予想される変異タンパク質の生産が無いことが確認された 1) .この発明は有力なブレイクスルーとして期待されるが,食品として実用化するには,アレルギー症状を示す人に対する有効性や,卵のタンパク質組成や加工特性などさらなる安全性や特性について検証を重ねていく必要がある.本講演では,タンパク質組成および加工特性に関する検証について,これまでの知見を中心に紹介する. 試験は横斑プリマスロック種の通常卵およびアレルギー低減卵を用いて行った.アレルギー低減卵より採った卵白(低減卵白)は通常卵白と比較して,タンパク質濃度がわずかに高い傾向が認められた.タンパク組成について,電気泳動法(SDS-PAGE)では卵白オボムコイドの消失以外に顕著な差異は認められなかった.一方で,プロテオーム分析による定量的な評価において,オボアルブミン,オボトランスフェリンおよびリゾチームなど他の主要タンパク質がオボムコイドの欠損による総タンパク質量の減少を補うように増加していることが明らかになった.加熱ゲルの物性に関して,破断荷重および最大荷重は低減卵白にて高い傾向が認められた.一方,破断ひずみ率,弾力性,および保水性については低減卵白特有の傾向は認められなかった.起泡特性について,起泡力には差異は認められなかったが,泡沫安定性は低減卵白にて高い傾向が認められた.全卵マヨネーズの粘度および粒子径には顕著な差異が認められなかった.オボムコイドは変性抵抗性があり,一般に加工特性に直接の影響を及ぼさないと考えられてきた.ゲルの硬さの増加や泡沫安定性の向上はオボアルブミンなど他のタンパク質の割合が増加したために生じたものと推察された.したがって,オボムコイドの欠損によるタンパク質組成の変化は限定的であり,アレルギー低減卵は通常卵とほぼ同等の加工特性を有し,十分に加工利用できると示された 2) .今後もプロジェクトの様々な研究を重ねていくことで,卵に対してアレルギー症状を示す人やその関係者が卵のもつおいしさを体感できる社会を実現したい.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 22:20

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シュウ酸およびギ酸・過酸化水素の酵素的低減を利用した食品製造法の開発

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】シュウ酸は,ほうれん草,タケノコ,生姜,ナッツ,コーヒー,緑茶などに含まれる有機酸である.シュウ酸は適量であれば通常の食生活で大きな問題を引き起こすことはないが,過剰摂取により体に悪影響を及ぼす可能性があり尿路結石症の原因でもある.また,味覚にも影響を与え「渋味」や「えぐみ」として感じられる.従来,シュウ酸の除去には,食品を茹でて水に溶出させる方法や,カルシウムと反応させて沈殿除去する方法が用いられてきた.しかし,これらの方法は除去効率に限界があり,製造工程が煩雑になることや栄養成分の損失を伴うなどの課題がある.他の手段として,シュウ酸オキシダーゼ (OXO) またはシュウ酸デカルボシキラーゼ (OXDC) 等の酵素を用いた方法が報告されている.しかし,これらの酵素反応では副生成物としてギ酸や過酸化水素が生成する.ギ酸は鋭い酸味を呈し味覚上好ましくなく,過酸化水素は高濃度では健康に悪影響を及ぼす可能性があるため,これら副生成物の低減や除去が望まれる.そこで本研究ではOXDC/OXOにカタラーゼ,ギ酸デヒドロゲナーゼを適量含む酵素製剤,及び食品素材由来のカタラーゼ,ギ酸デヒドロゲナーゼを利用することで食品中のシュウ酸を効率的に分解し,かつ副生成物を低減した食品製造方法を開発した.【方法】大腸菌を宿主として Bacillus velezensis 又は Ceriporiopsis subvermispora 由来のOXDC/OXO遺伝子を組み換え,宿主由来のカタラーゼ,ギ酸デヒドロゲナーゼを適切な活性値で含有するように精製した酵素製剤を取得した.また,ほうれん草中にカタラーゼ,ギ酸デヒドロゲナーゼの活性が含まれることを確認した.OXDC/OXO酵素製剤をほうれん草搾汁に反応させ,シュウ酸,過酸化水素,ギ酸の濃度変化,味覚について評価した.【結果】ほうれん草中にカタラーゼ,ギ酸デヒドロゲナーゼが含まれることが確認された.ほうれん草搾汁にOXDC/OXO製剤を作用させた結果,シュウ酸,副生成物が低濃度まで分解され,苦み,渋みが低減されたほうれん草搾汁が得られた.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 20:20

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湿熱処理による玄米のかおり成分への影響の調査

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】玄米はビタミン類,ミネラル,食物繊維などの栄養素を多く含み,血糖値の上昇抑制や糖尿病・高血圧などの生活習慣病予防に資する機能性が多数報告されている.湿熱処理とは,デンプンの完全な糊化には至らない低含水条件下において,短時間の水蒸気加熱を施す加工法であり,我々はこれまでに,米に対する湿熱処理の影響について検討を行い,玄米中の微生物の殺菌,酵素失活,ならびに吸水性向上などの効果を確認している.本研究では,湿熱処理条件が玄米の香気成分に与える影響を明らかにすることを目的とし,玄米の風味改善に寄与する知見を提供することで,玄米の消費促進および利用拡大を図ることを目指す. 【方法】玄米に対して,圧力(0.1〜0.2 MPa)および処理時間(5分,10分)を変数とした複数条件下で湿熱処理を実施した.処理後の玄米は,精米および粉砕を行い,それぞれの処理米を調製した.得られた試料を異なる保存条件下に保存し,香気成分の変化をガスクロマトグラフ‐質量分析計(GC-MS)により定量的に解析した. 【結果】GC-MS分析の結果,白米および玄米のいずれにおいても,主要な香気成分としてOctanalやHexanalなどのアルデヒド類,およびHexanolなどのアルコール類が検出された.これらの成分に注目し,湿熱処理の条件による変化を比較した結果,0.2 MPaで10分間処理を施した玄米試料では,成分濃度が他の条件と比較して最も低くなる傾向が認められた.この結果は,湿熱処理中に玄米が高温水蒸気に曝されることで,香気成分が抽出され,処理後の脱気過程において水蒸気とともに排出されることが要因であると考えられる.以上の結果より,湿熱処理は玄米および米粉に特有の臭気を軽減する可能性が示唆され,玄米製品の食品素材としての利便性向上に貢献することが期待される.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 19:20

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食品由来成分の機能発現における腸管内変換の役割―米とニンニクを例に―

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【講演者の紹介】 山口 勇将(やまぐち ゆうすけ)日本大学 生物資源科学部 食品開発学科 准教授 略歴: 2014年 日本学術振興会特別研究員DC2、2015年 University of the Philippines visiting researcher、2016年東京農工大学大学院 連合農学研究科 応用生命科学専攻 卒業 博士(農学)、2016年東京農工大学 グローバルイノベーション研究院 特任助教、2017年〜日本大学 生物資源科学部 助手・助教・専任講師・准教授(現職) タンパク質、ペプチドおよびアミノ酸は栄養素としての役割(一次機能)に加え、腸管内の代謝や反応を経て生理調節作用(三次機能)を発揮することが知られている。食品成分の健康機能性を最大限に発揮させるためには、腸管内での変換過程とその変換物による機能発現機序を解明することが重要である。しかし、in vitroで確認された機能が、in vivoで再現されない例も多く、これは腸内細菌や消化酵素、腸管上皮細胞など腸管内環境の複雑さに起因する。 本研究では、食品成分の腸管における代謝反応が機能発現の鍵となるという視点から、米アルブミン由来ペプチドおよびニンニク由来のアリイン(S-アリルシステインスルホキシド, ACSO)の二成分について検討した。米アルブミンは腸管内で高分子ペプチド(HMP)および低分子ペプチド(LMP)へ消化され、それぞれ異なるメカニズム(HMP:グルコースの吸着と拡散遅延、LMP:腸管糖輸送体SGLT1の発現抑制)により食後血糖上昇抑制作用を示すことを明らかにした。また、アリインは腸管内でジアリルジスルフィド(DADS)などに代謝され、これらの代謝物が肝臓において抗酸化・解毒酵素の発現誘導を介して肝障害を抑制すること、およびその作用がNrf2転写因子の活性化を伴うことを新たに見出した。さらに、アリイン自体にも同様の作用があることを示した。 本研究を通じ、食品成分が腸管内で代謝され機能を発揮する重要性を明確にし、機能性食品素材の開発において腸管内反応を考慮する必要性を提示した。

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 19:20

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微細麹菌体の乳化および乳化安定性の評価

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【背景】マヨネーズの主要原料の1つである醸造酢の発酵は麹による高分子の分解、酵母のアルコール発酵、酢酸菌の酢酸発酵の3つからなる。初期段階で使用する麹は古くから多様な酵素産生能力から、さまざまな発酵食品に使われている。また米麹や酒粕といっ麹菌を含む食品は近年酵素や栄養素としての価値だけでなく、セラミドや抗酸化活性、便通改善効果など麹菌体そのものがもつ健康効果について注目されている。しかしながら、麹菌はキチングリカンを主成分とする細胞壁をはじめ不溶性成分を多く含有するため、そのままでは液体分散性に乏しく、液体調味液への使用が難しい。そこで麹菌など糸状菌を微細に粉砕することで、液体分散性を上げ、乳化性につながる報告がある。しかし、微細化しただけでは分散性や乳化性は限定的である。そこで、麹菌体の健康効果を液体調味液に付与するためには、さらなる分散性、乳化性の向上が課題である。【目的】乳化食品への麹菌(Aspergillus oryzae)の利用拡大を目的に、微細麹菌の分散性・乳化性・安定性を向上させる条件について検討を行った。【方法と結果】微細麹菌による乳化と、他原料との併用効果を検討したところ、セルロースとの併用によって乳化粒子径が小さくなり、安定化を向上させる可能性を見出した。またこの効果は特定の比率にすると強まることが明らかになった。本発表では、微細麹菌と乳化安定性の向上効果について報告する。

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 19:20

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異性化したγ-オリザノールが鶏卵に移行するメカニズムの探索

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】近年, ビタミンEやDHAなどの特定栄養素を強化した卵が消費者の関心を集めている. 我々は, 新たな栄養強化卵としてγ-オリザノールの鶏卵移行に関する研究を進めてきた. γ-オリザノールは玄米などに含まれる植物ステロールであり, 認知機能の改善効果が期待される. 今回市販鶏卵16種を分析した結果, 玄米中に最も多く含まれるγ-オリザノール成分24-Methylenecycloartenyl ferulate(24MCA-FA)の検出率が低く,一方でその異性体が半数以上の鶏卵から検出された. 24MCA-FAは,こめ油製造時の酸処理により異性化することが報告されている. そのため,こめ油中の24MCA-FA異性体が鶏卵に移行した,もしくはニワトリの胃内で24MCA-FAが異性化した可能性が考えられる. 本研究では,ニワトリ胃内を想定した条件で24MCA-FAの異性化が生じるかを検証した. 【方法】人工胃液は, 塩酸(0.1~0.001 M),ウシ胆汁粉末(180 mg/mL),大豆油(0.5~20%), および大豆由来レシチン(0.1~20 mg/mL)から調製した. 24MCA-FAは大豆油に溶解させ, ニワトリの直腸温度に相当する41.5℃で2時間塩酸処理を行った. 処理後, クロロホルム:メタノール(2:1)混液を加え, 有機層から24MCA-FAを抽出した. 窒素乾燥後, 0.1%アンモニアメタノールに再溶解しLC/MSで分析した. LC/MS分析はアセトニトリル:メタノール:イソプロパノール(50:45:5)の混液を溶離液とし,ネガティブイオンモードで実施した. 【結果】数種有機溶媒中では塩酸濃度依存的に24MCA-FAの異性体生成量が増加した.それに対して,今回調製した人工胃液内の塩酸処理では異性化は確認されなかった.この結果からは,玄米由来γ-オリザノールがニワトリ体内で異性化する証明には至らず,こめ油中の24MCA-FAの異性体が鶏卵に移行した可能性が考えられる.一方で今回の試験では,ニワトリ体内を完全に模倣できたとは言えず,今後さらにニワトリの消化吸収に近づけて検証を試みる. さらに, 未だ不明な健康や食品の物性に影響を及ぼす24MCA-FA異性体の機能性を明らかにしていく.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 19:20

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X線位相コントラストイメージングによる市販嚥下食の構造の画像化

日本食品科学工学会大会講演要旨集

氏名(ふりがな):三木宏美(みきひろみ)略歴:2016年 日本大学歯学部歯学科卒業,学士(歯学).日本大学歯学部付属歯科病院総合診療科研修歯科医を経て2023年 総合研究大学院大学高エネルギー加速器科学研究科物質構造科学専攻修了,博士(学術).その後,日本女子大学家政学部食物学科助手,高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所量子ビーム連携研究センター博士研究員を経て2024年より特別助教. 我が国の高齢化率は2024年現在29.3%であり,過去最高となっている.また世界の国や地域と比較しても最も高い.加齢に伴い摂食嚥下障害を有する人口も増加傾向にある.在宅医療を推進する施策を受け,食事に困難を抱えていても自宅で生活する人もまた増えてきている.病院や施設では,専門のスタッフが日々の食事の準備をしてくれるが,自宅では自分あるいは介護者が準備をしなければならず,食べやすい食事を準備することは大きな負担となっている.そのため,あらかじめ食べやすく飲み込みやすく調整された市販の嚥下食,介護食に対する需要が高まってきている.この傾向は世界的なものである.日本では多くの企業が嚥下食市場に参入しており,スーパーマーケットやドラッグストアなどの身近な小売店で多種多様な調理済みの嚥下食,介護食を購入することが可能である.2023年度の日本国内の市販介護食品の市場規模はおよそ2000億円で市場の拡大傾向が続いている.日本における嚥下食,介護食の特徴としては,特別用途食品,嚥下調整食学会分類,ユニバーサルデザインフードなど,市販食品あるいは病院での調理といった目的に応じて様々なタイプの基準が制定されていることである. 嚥下食のような,これまでにない新たな形態や特性を持つ食品の研究開発にあたっては,食品の構造を分析することが重要となる.食品の構造やテクスチャーは口当たりや舌触り,のどごしといった食感だけでなく,飲み込みやすさや咀嚼嚥下のプロセスと関連している.また,食品の構造は微量栄養素に影響を与え,ある種の食感は食べ過ぎや不健康な食習慣につながる可能性があるとされる. 構造の分析にあたっては試料の画像を取得し可視化することが肝要であるものの,走査電子顕微鏡や共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて試料の画像化を行う場合には分割や凍結,染色といった侵襲的な前処置を行わなければならず,非破壊的に食品の画像を取得することは困難である.このような欠点を克服する新しい評価方法の一つとして,高分子や食品のような軽元素からなる試料の内部構造を非破壊的に画像化できる手法であるX線位相コントラストイメージング法が近年導入されてきている.X線位相コントラストイメージング法とは,X線が試料を透過する際,X線の位相がわずかにずれることを利用して画像を形成する手法である.一方,医学,産業界で用いられているX線発生装置による撮影では,一般的に吸収コントラストを用いて試料の画像を取得する.従って食品のように吸収係数が小さい,すなわち原子番号が小さい物質からなる試料の可視化は困難である. 今回,食品の内部構造を非破壊で観察可能な手法であるX線位相コントラストイメージング法ならびに嚥下食を含む市販の米飯製品を用いた実際の測定結果を紹介する.また,テクスチャープロファイルアナリシスの結果との比較および国内外での嚥下食の分類基準についても合わせて紹介する.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 19:20

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伝統的酒造りのユネスコ無形文化遺産登録について

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【講演者の紹介】 北本勝ひこ(きたもと かつひこ)略歴:1972年東京大学農学部農芸化学科卒、国税庁醸造試験所入所、福岡国税局、仙台国税局鑑定官、醸造試験所主任研究員を経て、1995年東京大学農学部助教授、1996年同教授、2015年同名誉教授、2016年より日本薬科大学特任教授 2024年12月に,「伝統的酒造り 日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術」がユネスコ無形文化遺産に登録された.これまで,酒類関係のユネスコ無形文化遺産には,ジョージアのワイン(2013),ベルギーのビール文化(2016),モンゴルの馬乳酒(2019)がある.それぞれ伝統的な酒造りが登録されているが,原料や製法の違いがある.今回の「伝統的酒造り」は,“こうじ菌を使った”というところが重要な点である. 酒造りの教科書に必ず登場する言葉として,「一麹(こうじ),二酒母(もと),三造り」がある.仕込みの最初の工程にある麹が酒造りで一番重要であるという意味である. 日本酒造りでの麹の働きは次のように説明される。麹にはアミラーゼやプロテアーゼなど様々な加水分解酵素が含まれている.その中でも,アミラーゼが最も重要であり,米のデンプンをグルコースに変える働きがある.酵母はこのグルコースをアルコールに変換することによりお酒が造られる.プロテアーゼなどもアミノ酸やペプチドなどのうま味成分を作るのに働いている.また,麹にはビタミンやミネラルなどの栄養素を酵母に供給し,酵母の増殖を促す働きがある.麹菌はゲノム情報などから,100種類を超す様々な加水分解酵素を生産することがわかっており,アミラーゼやプロテアーゼ以外にも量は少ないものの酒の風味に影響を与えている酵素も数多くある. 2006年の日本醸造学会大会において、東北大学名誉教授の一島英治博士の基調講演のあと,「麹菌は日本を代表する微生物,国菌である」と認定された. さて,国菌である麹菌 Aspergillus oryzae はどこからやって来たのだろうか.2005年に麹菌のゲノム解析が完了したことにより,8本の染色体を持ち,約12000個の遺伝子がコードされていることがわかった.ゲノム情報が解明されたことにより,有用な酵素遺伝子の数や種類など様々なことがわかるようになったが,それ以外にも「麹菌は我が国で家畜化されたカビである」ことが明らかになった. 麹菌は伝統的な酒造りになくてはならないものであるが,醤油や味噌の製造にも重要な働きをしており,日本の食文化の中心に位置する重要な微生物である.さらに,甘酒や塩麹,石狩漬けや蕪寿司など,麹を使った多彩な発酵食品を作り出している. 近年、欧米諸国で「代替肉」のブームが始まっている.代替肉とは,牛肉や豚肉などの動物肉の代わりに,主として植物性原料で作られた「肉のような食材」のことである.代替肉の素材として実用化が進んでいるものは,大豆が主原料の「大豆ミート」であるが,最近,「マイコプロテイン」と呼ばれるカビを培養したものも欧米で販売されている.様々なカビが利用されているが,中でも日本で酒造りに利用されて来た麹菌は安全性の面から注目を集めている.日本でも、麹菌を使った「マイコプロテイン」を製造販売するベンチャーも登場しており,栄養価も高く,その食味,食感など実用化に近い段階にある.近い将来,麹菌の活躍の場がさらに広がることが期待される.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 19:20

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微少量の血漿サンプルからのカロテノイド定量法

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】カロテノイドは,にんじんやほうれん草をはじめとする緑黄色野菜に多く含まれている脂溶性色素であり,強力な抗酸化作用を示す.これにより,がんの発生リスクを低下させる可能性が示唆され,さらに体内でビタミンAに変換される性質を持つことから,視覚機能の維持や免疫機能の調節にも寄与する成分だとされている.多くの研究では,ヒトの血中カロテノイド量を測定する際に,看護師による数十mL単位の静脈血採取の方法がとられている.しかし,この方法は被験者の負担が大きく,資格を有する看護師の確保が必要であるため,研究実施に制約が生じる.そこで本研究では,より簡便で被験者負担が少ない方法として,指先からの穿刺器具を用いた自己採血レベルによるカロテノイド測定法の開発を目的とした. 【方法】-75℃で保存した血漿サンプルを常温で解凍し,内部標準としてβ-アポ-8'-カロテナールを添加後,クロロホルム:メタノール=2:1 溶液を加えてボルテックス混合後,1時間静置した.次に,0.9%生理食塩水を添加し,遠心分離により下層のクロロホルム層を回収した.さらに残渣にクロロホルムを加え,同様の操作を2回繰り返して先のクロロホルム層と合わせた.抽出液をN₂ガスで乾固し,KOHでけん化処理を実施後,再度乾固し溶媒で再溶解した.得られた試料は,逆相クロマトグラフィーを用いて分離・定量を行った. 【結果】使用する血漿量を検討した結果,50 μLの血漿サンプルから,ルテイン,β-カロテンをはじめとするカロテノイドのピークを検出できた.検出されたピークは明確で,適切な標準品を用いることで血中カロテノイド濃度の定量が可能であった.穿刺具を使用した自己採血で50 μLほどの採血は可能である.これらのことから,本方法は,従来の静脈血採取に比べ,被験者の負担が軽減され,簡便かつ効率的に血中カロテノイドを測定できる可能性を示した.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 14:20

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[奨励賞]食の安全性における生物的・化学的リスク因子に関する評価とその制御に関する研究

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【講演者の紹介】 島村 裕子(しまむら ゆうこ):静岡県立大学 食品栄養科学部 食品衛生学研究室・助教 略歴:2007年 お茶の水女子大学大学院 人間文化研究科 博士後期課程 修了 同年 同大学 人間文化創成科学研究科研究院・研究員 2008年 同大学 生活環境教育研究センター・研究機関研究員 2011年 より現職 近年,科学技術の発展や食品流通の広域化・国際化に伴い,食の安全性に関する多くの課題が生じている.したがって,食の安全を守り,リスクを最小限に抑えるためには,科学的根拠に基づく制御法の確立が必要である.そこで,本研究では,食の安全を脅かす食中毒菌などの「生物的リスク因子」および化学物質などの「化学的リスク因子」が健康に及ぼす影響を評価し,それらの影響を低減させることを目的とした.本講演では,「生物的リスク因子」として,ヒトの常在菌で,食中毒菌起因菌である黄色ブドウ球菌の菌体外代謝物の毒性発現およびその制御,また,ブドウ球菌毒素と「化学的リスク因子」として,変異・発がん物質であるアクリルアミドの複合暴露が宿主細胞に及ぼす影響について紹介する. 1. ブドウ球菌毒素の毒性発現に対する食品成分の影響 黄色ブドウ球菌が増殖する際に産生するタンパク質毒素であるエンテロトキシンA (staphylococcal enterotoxin A;SEA) は,毒素型食中毒,アトピー性皮膚炎,副鼻腔炎などの発症または難治化にも関与することから,その毒性発現の制御法が求められている.生体内で様々な生理機能を示すことが知られるポリフェノールは,タンパク質と相互作用しやすいことから,SEAの毒素活性を抑制できる可能性があると考え,SEAと緑茶に含まれるポリフェノール (カテキン類) の相互作用および毒素活性抑制効果について検討した.カテキン類とSEAとの相互作用についてWestern blotで解析した結果,その強さは,エピガロカテキンガレート (EGCG)>エピカテキンガレート (ECG)≫エピガロカテキン>エピカテキンの順であり,EGCGおよびECGは4ヶ所すべての毒素活性発現部位と相互作用した.表面プラズモン共鳴法を用いた解析において,SEAとEGCGの分子間相互作用が認められたことから,等温滴定型カロリメトリーを用いて,その相互作用様式を検討したところ,EGCGは,SEAの複数の結合サイトと疎水的相互作用することが示唆された.さらに,ドッキングシミュレーション解析の結果,EGCGのガロイル基と毒素活性発現部位 (A-6領域) のY91と相互作用することが予測された 1) .また,マウス脾臓細胞にSEAとEGCGを暴露し,マイクロアレイで解析したところ,EGCGは,SEAによって誘導されたTh1細胞の応答および免疫バランスの変動に対して,負のフィードバック調節作用を有することが示唆された 2), 3) . 2. 細菌由来膜小胞の毒性発現に対する食品成分および化学物質の影響 黄色ブドウ球菌を含む病原性細菌は,直径20~200 nmの球状の膜構造体である膜小胞に,毒素などの特定の病原因子を内包して放出する 4) .しかしながら,どのような環境下で膜小胞の内包成分が変化するかは明らかになっていない.そこで,膜小胞をターゲットにした食中毒のリスク低減や制御策の確立を目的に,ポリフェノール (EGCGおよびノビレチン) 5) ,食環境中化学物質 (タバコの煙などに含まれるグリシドール) 6) の共存下で黄色ブドウ球菌 (SEA産生,ヒト手指分離株 7) ) を培養し

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 13:20

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食餌性バニリン酸は卵巣摘出マウスの閉経後症状を予防する

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】閉経後女性は、骨粗鬆症、肥満、糖尿病といった代謝性疾患の発症リスクが増大する。老齢人口の増加に伴いその患者数は増加しており、我が国の医療費を圧迫することから、食品による閉経後症状の予防が嘱望されている。骨粗鬆症予防のために、様々な食品素材や食品成分の効果が検討されているが、決定的なものは見出されていない。現在、主に推進されている食品素材は大豆イソフラボンである。しかし、大豆イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンと類似した構造を有すため、過剰摂取による副作用として乳ガンや子宮ガンの発症リスクを高める危険性がある。したがって、閉経後症状疾患の発症の予防に有効であり、かつ安全性の高い食品素材や食品成分を探索することが嘱望されている。バニリン酸(VA)は、生薬「当帰」( Angelica acutiloba )やシイタケ( Lentinula edodes )の菌糸体に含まれるフェノール化合物で、ラジカル消去活性等の生理活性が報告されている。この化合物はエストロゲン受容体への親和性を示さないことから、安全に閉経後疾患を予防する可能性がある。そこで、本研究では閉経後疾患モデルマウスである卵巣摘出(OVX)マウスにおけるバニリン酸の効果を検討した。 【方法】10週齢のOVXマウスに、普通食またはVA含有食(100 mg/kg/day)を10週間摂取させた。尿中デオキシピリジノリン(DPD)量と血糖値は市販キットにより定量した。血中酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)活性は p -ニトロフェニルりん酸二ナトリウムを基質とした比色法により測定した。骨密度(BMD)の算出はX線CTにより測定した。 【結果】食餌性VAは、尿中DPDおよび血中TRAP活性の低下と相関し、大腿骨のBMDの低下を有意に抑制した。また、食餌性VAは、卵巣摘出対照群と比較して、血糖値および白色脂肪組織(WAT)重量の増加を減少させた。さらに、これらの有益な効果により、子宮肥大は認められなかった。これらの研究結果から、VAはエストロゲン作用なしに卵巣摘出マウスの閉経後症状を遅らせる可能性があることが示唆された。

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 12:20

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[学会賞]食品由来ポリフェノール等の代謝性疾患予防とその応用に関する研究

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【講演者の紹介】 津田 孝範(つだ たかのり) 略歴:1988年3月 名古屋大学大学院農学研究科博士前期課程修了、1999年2月 博士(農学)(名古屋大学) 1999年9月:日本食品科学工学会奨励賞、2003年5月:日本栄養・食糧学会奨励賞 2014年4月より現在:中部大学応用生物学部・大学院応用生物学研究科教授 2022年6月: 日本栄養・食糧学会賞 演者は食用植物色素成分等のポリフェノールや、植物タンパク質、アミノ酸、蜂産品、乳酸の新しい生理機能と機構を解明し、有効利用のための基盤的研究を展開してきた。特に植物色素成分の健康機能研究(「紫」と「黄」のサイエンス:アントシアニンとクルクミン)、さらに植物色素以外のポリフェノール等の食品因子の健康機能を主に肥満・糖尿病の予防作用の視点から研究し、新たな分子機構を明らかにした。本受賞講演では、これまでに行った主な研究の成果を紹介する。 1.食用植物色素成分の研究 (アントシアニン) 不安定で健康機能など考えられなかったアントシアニンの代謝・体内動態 1) 、生体内酸化ストレス抑制作用 2) 、脂肪細胞の機能制御 3) 、体脂肪蓄積抑制作用 4) や耐糖能改善作用 5) を世界に先駆けて報告した。特に体内動態については、アントシアニンの中で機能研究を進めていたシアニジン 3-グルコシド(C3G)の生体内吸収性を検討し、アントシアニンが配糖体のままで直接生体内へ吸収されること、しかしその生体内吸収性は非常に低いこと、C3Gの代謝物あるいは分解物としてC3GのB-環に由来するプロトカテク酸が生体内で検出されることを初めて報告した 1) 。生理機能発現機構に関してはAMPキナーゼ活性化 5) やGLP-1分泌促進作用 6) の関与を初めて解明した。さらにアントシアニンを含む素材の食品加工への応用研究等を実施した。以上の研究は、今日におけるアントシアニンの生理機能と代謝・体内動態の研究や有効利用の進展に先駆的な役割を果たした。これらの成果は世界中の多数の論文に引用されている。 (クルクミン): 高生体内吸収性クルクミン製剤によるGタンパク質を介するGLP-1分泌促進と耐糖能改善作用 7) 、ベージュ脂肪細胞化の誘導作用とその機構を初めて報告した 8) 。なお、これらの効果は非製剤化クルクミンでは得られないことも併せて報告した。代謝・吸収関連の研究では、クルクミン抱合体の投与が生体内で遊離体クルクミン濃度を増加させ生理機能を高めることを発見した 9) 。さらにクルクミンの健康機能に懐疑的な論文における問題点と課題を海外学術誌から依頼されて発信した 10) 。また、低用量のクルクミン製剤と運動を併用することで骨格筋由来のIL-6を介して相乗的にベージュ化が促進することを明らかにした 11) 。直近では、低用量での新しいクルクミン製剤と運動の併用がBDNFシグナルを介して認知機能の向上作用を増幅させることをはじめて見出した 12) 。 2.色素以外のポリフェノールの研究 未利用資源の熱帯産豆類タマリンド種皮抽出物の抗酸化性と成分同定 13) 、超臨界二酸化炭素抽出による抗酸化成分の効率的な抽出法を確立した 14) 。糖転移へスぺリジンやフェルラ酸の研究では、これらの体脂肪蓄積抑制作用機構がベージュ化によることを白色脂肪組織での熱産生を測定する手法で解明した。直近では、フェルラ酸の利用障壁となる水難溶性・低生体内吸収性を改善するため、シクロデキストリン包接化による生体内吸収性の向上効果を発表し、有効利用の道筋を開いた

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 12:20

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低温発酵性乳酸菌を用いた機能性糠漬けの開発

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】糠漬けは,日本で古くから食されてきた漬物で伝統的な発酵食品の一つである.糠漬けは,米糠に水と食塩などを加えて調製し,様々な野菜を漬け込んで製造される.その過程で発酵が進み,風味や香りが向上するだけでなく,消化吸収の促進,腸内環境の改善などの健康効果が報告されている.先行研究においては,発酵熟成した糠床に野菜を漬けることによってγ-アミノ酪酸(GABA)等の機能性成分が増大することを見出した.本研究では,糠床を低温下で効率よく発酵する乳酸菌の探索とメタボローム解析による発酵中の機能性成分の解析を行い,低温耐性かつ菌叢を維持する乳酸菌を用いて機能性を付与する糠床を開発することを目的とした. 【方法】熟成糠床から単離した12種類の乳酸菌を低温耐性試験と糖類発酵性試験によって,4つのグループに分けた.これらの菌株を再度,糠床適応試験および低温耐性試験により菌株を選抜した.単離した乳酸菌を水分率60〜70%,塩分率5%に調製した糠床(300g)の予備発酵を行なった.pHの低下を確認した後,熱水処理した糠と混合し水分率60〜70%,塩分率5%の糠床(1kg)を調製した.この糠床に野菜を漬け込み,適宜サンプリングを行なった.メタノール/クロロホルム/水の混合溶媒で抽出した糠床および漬けた野菜のメタボローム解析を行なった.さらに,糠床の菌叢解析を行なった. 【結果】糠床に適した低温耐性乳酸菌を4種類選抜した.水分量を60〜70%,塩分率を5%に調製した糠床では,4種の乳酸菌は全ての条件で早期にpHの低下が見られた.糠床の水分量は,床の固さから65%が上限であった.メタボローム解析の結果,発酵初期から機能性アミノ酸のオルニチンやGABA,コリン化合物である,アセチルコリンの増大が見られた.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 10:20

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NARO乳酸菌コレクションの整備と菌株選抜への活用

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【講演者の紹介】氏名: 冨田 理(とみた さとる)略歴: 2010年 東京農業大学大学院 農学研究科 農芸化学専攻 博士後期課程修了.2011年Top Institute Food and NutritionおよびNIZO food research, Health Division, Postdoc researcher.2013年 農研機構食品総合研究所食品分析研究領域 特別研究員を経て2015年 応用微生物研究領域 任期付研究員.その後、2018年 農研機構食品研究部門食品生物機能開発研究領域 主任研究員を経て,2024年より食品加工・素材研究領域 上級研究員 乳酸菌は,世界中で幅広い発酵食品の製造に関わる有益な微生物の一群であり,また,歴史的な食経験から安全性の高さが広く認知され,その健康増進効果の研究・利用が盛んに進められている.乳酸菌の基礎的な分離培養技術が普及した時代からみて,現在ではDNAシークエンスやゲノム編集など飛躍的な技術革新が生じている.とはいえ,乳酸菌を利用する研究開発において,生きた微生物資源,すなわち菌株コレクションから優良菌株を選抜しようという試みは,現在でも実用的な戦略の一つである.農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構,NARO)は12の国立研究機関を統合・再編する形で2001年4月に設立され,その後も2016年までに6機関との統合を経て,現在の組織体制へと至っている.近年,その複数の研究拠点で過去に収集された分離菌株を「NARO乳酸菌コレクション」として統合・一元管理を進めるとともに,内外の発酵食品研究に役立てることを目的としてデータベースの運用を開始した.現在,NARO乳酸菌コレクションとして集約された菌株数は6,000を超える.そのほとんどは分離源が明らかであり,約3,000菌株が農作物や発酵食品などの食品を由来とし,残りの約3,000菌株は動物消化管や飼料,植物やキノコなどの非食品から分離された.食品由来株に注目すると,植物質(野菜・穀物・果実)に関連する分離株が中心であるが,その内訳には少なくとも70種に及ぶ漬物類が含まれる.したがって新規特性や望ましい性質を有する菌株の存在を期待させるが,研究リソースが限られる中では,数千株の中から供試菌株を選択する判断材料に乏しい.そこで当コレクションでは,データベース上での予備選抜を可能とする各種の特性情報(メタデータ)を収集しシステム構築を行った.本稿執筆時点,NARO乳酸菌コレクションの系統分類学的データとしては乳酸菌群のLactobacillales目を構成する6科すべてに渡る約31属191菌種が含まれる.さらに,ゲノム解析を基にアノテーションされた遺伝子情報やタンパク質機能およびドメイン情報も500菌株超が格納されている.生理生化学的および発酵特性データとしては,主に,分離株が生育に利用できる糖類資化性情報,牛乳および豆乳の発酵能(凝固・到達pH),豆乳中での主要な代謝物生産・変換能(約30成分)などの情報を収集した.また,機能性データとして,マウス由来細胞株に対するIL-12遺伝子の発現誘導能が中心に格納されている.NARO乳酸菌データベース(https://lacticbacteria.nfri.naro.go.jp)ではこれらの特性情報を横断的に検索可能であり,目的とする乳酸菌の探索を省力化できる.筆者が担当した発酵豆乳の成分分析では約3,000菌株のデータを収録した.個別の代謝物を標的にした検索にはもちろんのこと,標的のない探索にも有用である.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 10:20

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国産チーズスターターの開発と利用状況

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【講演者の紹介】氏名(ふりがな):小林 美穂(こばやし みほ)略歴:宇都宮大学大学院農学研究科修士課程修了.農林水産省畜産試験場(現 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)畜産研究部門)を経て,現在,農研機構 食品研究部門 食品加工・素材研究領域バイオ素材開発グループ 上級研究員.博士(農学) 酪農家などがチーズ製造に取り組む際には,原料乳の生産地や乳牛の飼養方法などが製品差別化の要素となりうる.しかしチーズの製造に不可欠なチーズスターター(乳酸生成を担う乳酸菌や,チーズの種類や特徴を決定づける外観,味,香り,食感をもたらす乳酸菌など発酵微生物)は輸入市販品であり,外国産ナチュラルチーズとの明確な差別化が難しい.市販チーズスターターは,乳酸菌他チーズ製造に特化した数種類の発酵用微生物の混合で,それらの微生物は伝統的なチーズを分離源とし,その構成は目的とする種類のチーズを安定して製造できる菌叢となっている.スターター由来の乳酸菌は,チーズ製造の初期には乳酸発酵により原料乳のpHを低下させ,後には菌体内外の酵素によって乳成分の低分子化に働きチーズの熟成に寄与する.一方,チーズの熟成には,スターター由来ではない非スターター性乳酸菌も関与する.非スターター性乳酸菌は,原料乳や製造環境に由来し,熟成中に増殖してチーズの主要な菌叢となり品質に影響することから,フレーバー改善や特徴の付与,あるいは熟成促進効果をねらい,品質の良い熟成チーズから分離した非スターター性乳酸菌を,補助スターターとして乳発酵用スターター(メインスターター)に併用する試みが様々報告されている.しかし乳系食品以外から分離した乳酸菌のチーズスターター利用は,プロバイオティック機能に着目した機能性チーズ開発の目的以外での報告例は少ない.しかしそのような乳酸菌の菌体酵素活性は,チーズ由来菌のものとは異なり,チーズ製造に利用できれば多面的な差別化特徴の付与が期待できる.日本各地には,様々な漬物や,味噌,醤油,日本酒など乳酸菌が関わる伝統的な発酵食品があり,それらからは食経験のある乳酸菌を分離することができる.発酵食品中の乳酸菌叢は,各々の発酵食品によって典型的な菌種が占有しているが,熟成チーズから分離実績の高い Lacticaseibacillus casei , Lacticaseibacillus paracasei , Lacticaseibacillus rhamnosus , Latilactobacillus curvatus , Lactiplantibacillus plantarum などの乳酸桿菌は,チーズ以外の国産発酵食品からもしばしば分離される.講演者らは2017年から,北海道および栃木県の公設試等とコンソーシアムを形成して「国産スターターを用いたブランドチーズ製造技術の開発 “Jチーズプロジェクト”」を実施した.プロジェクトでは,地場食品190点から分離した676菌株の“ご当地乳酸菌”から,非スターター性乳酸菌種を優先的に選抜し,ゴーダチーズの旨味増強や熟成促進効果を指標として4種の乳酸菌を選抜し,補助スターター用途の国産チーズスターター(Jチーズスターターと呼称)を開発した.Jチーズスターターの添加効果は,遊離アミノ酸分析,揮発成分分析,味覚センサー試験などにより確認したほか,消費者嗜好調査においても好ましい評価を得た.現在Jチーズスターターは普及を進めており,本講演では,国産チーズスターター開発のプロセスとともに,社会実装に向けた取り組みについて

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 10:20

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乳酸菌と酵母の連続発酵によるぬか漬け様調味液の技術開発

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】 ぬか漬けは日本の伝統的な発酵食品であり,主に乳酸菌と酵母の発酵によって,特徴的な酸味や香りが形成される.一方,ぬか床は手間と時間を要し,スターター技術が確立されていないため品質の安定性に懸念がある.研究では,食品工業において安全性や衛生面の確保が容易で,短時間かつ安定した品質で再現可能なぬか漬け様調味液の開発を目的とした. 【方法】 1)本研究室で分離した乳酸菌31株と(株)ピックルスコーポレーションで選抜した Saccharomyces sp. Aを用い,ぬか,酵母エキス,グルコースを原料に培地を作製した.90 ℃で5分の加熱殺菌後,乳酸菌スターターを接種し,30 ℃で24時間培養した.乳酸発酵物を加熱殺菌後,酵母スターターを接種し,30 ℃で72時間培養し,官能評価により乳酸菌を選抜した.以降コントロールには, Lactiplantibacillus plantarum Pne-12と Saccharomyces sp. Aを用いた発酵物を使用した. 2)選抜乳酸菌株と市販酵母9株及び Saccharomyces sp Aを用い,同様に発酵物を作成し,官能評価により乳酸菌と酵母の選抜を進めた. 3)再選抜された乳酸菌と酵母の組み合わせで,30~40 ℃で酵母発酵物を作製し,官能評価と香気成分分析(GC/MS)を実施した. 【結果】 1) Latilactobacillus sakei K6-1 , Leuconostoc mesenteroides K6-3, Levilactobacillus brevis K13-12, Liquorilactobacillus nagelii K16-11, L. plantarum K15-11の5株を発酵物のにおいの強さから選抜した. 2)K15-11株を除く乳酸菌4株と S. cerevisiae B, S. cerevisiae var. diastaticus Cの2株を発酵物のにおいの強さと酸臭,果実様のにおい,アルコール臭の観点から選抜した. 3)GC/MS解析により,K6-1,K13-12,K16-11の各株と S. diastaticus Cとの組み合わせで,エステル類とアルコール類の総ピーク面積が増加した.特にPhenylethyl Alcoholと3-methyl-1-butanolの上昇が顕著であった.官能評価では,K16-11株と S. diastaticus Cの40 ℃発酵物のにおいが強く評価された.酸臭,果実様のにおい,アルコール臭が感じられ,不快臭は認められなかった.以上より,K16-11株と S. diastaticus Cを用いた発酵物の有用性が示唆された.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 10:20

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ヤンニョムの乳酸菌発酵による品質の安定した発酵タイプのキムチ開発

日本食品科学工学会大会講演要旨集

【目的】キムチは韓国を代表する発酵食品であり,乳酸菌が主体的に関与する.乳酸菌はキムチの発酵過程で風味やコクの形成に重要な役割を果たす.しかし,自然発酵により作製するキムチは,原材料や工場由来の微生物群による,品質への影響が問題となる場合がある.そこで,品質の安定および日本人好みの風味を目指し,キムチの副原料であるヤンニョムへ乳酸菌を添加することで発酵制御を試みた. 【方法】本研究室で分離,選抜した, Latilactobacillus sakei AK1, Levilactobacillus brevis AK3, Enterococcus haemoperoxidus AK2, Lactiplantibacillus pentosus IN1をヤンニョムに添加し乳酸菌生育試験を行った.初日から0,1,3日目および1,2週目に生菌数,pH ,有機酸濃度の測定を行い,ヤンニョム環境下での4菌種の発酵能を評価した.次にヤンニョム原料の抗菌作用を調査し,抗菌性の高い原材料を除いた上述と同一の試験を行った. 【結果】ヤンニョムを用いた乳酸菌生育試験では,発酵初日から乳酸菌死滅による発酵不良が観察された.この要因として,ヤンニョムの原材料に乳酸菌の生育を阻害する成分が含まれることが推定された.先行研究に基づき乳酸菌に対し抗菌性を有す副原料を除外したヤンニョムの作製を行った.作製したヤンニョムを使用して乳酸菌生育試験を行ったところ,4菌株それぞれを添加したすべてのサンプルにおいて,発酵3日目から菌数増加,pH低下が見られ,乳酸菌の良好な生育が観察された.以上の工程で,乳酸菌をあらかじめヤンニョムに生育させることで,キムチ作製初期段階から乳酸菌による発酵を経たキムチが作製できた.発酵を短期化することで品質の安定化が期待される.

掲載日: 2026年09月02日  / 収集: 2026年09月02日 10:20