チアシードは近年、健康志向の食品として注目される小さな種子です。プリンやスムージーに混ぜて食べる人も増えていますが、その栄養成分は栽培される土地や環境によって差があると考えられています。今回紹介する研究は、バングラデシュで栽培されたチアシードを対象に、一般成分(脂肪やたんぱく質など)、脂肪酸の種類、ミネラル含有量、そして抗酸化物質の量を詳しく調べたものです。
研究でわかったこと
この研究では、バングラデシュ産チアシードのサンプルを分析し、脂肪が28.85〜29.53%、たんぱく質が18.63〜18.71%、水分が5.27〜5.28%、灰分が4.45〜4.47%、総炭水化物が25.21〜27.86%、食物繊維が17.35〜19.12%含まれており、エネルギー量は100gあたり428.11〜436.70kcalであったと報告されています。
脂肪酸の構成を見ると、リノレン酸が56.76〜57.65%、リノール酸が20.49〜21.47%と多く含まれ、パルミチン酸(9.38〜11.34%)やオレイン酸(7.47〜7.99%)も検出されました。一方でミリスチン酸(0.09〜0.15%)、ラウリン酸(0.11〜0.33%)、ステアリン酸(2.52〜3.13%)といった飽和脂肪酸は比較的少ない量にとどまっていたとされています。
ミネラル分析では、カルシウムが578.62〜589.71mg/100g、カリウムが518.95〜535.42mg/100g、リンが668.62〜697.61mg/100g、マグネシウムが334.24〜344.51mg/100gと、いずれも比較的高い値が示されました。このほか鉄(7.13〜7.56mg/100g)、亜鉛(4.23〜4.57mg/100g)、マンガン(2.19〜2.95mg/100g)、銅(1.59〜1.83mg/100g)も含まれていることが確認されています。
さらに、抗酸化に関わる成分として総フェノール量が1.71〜1.92mg GAE/g、総フラボノイド量が1.07〜1.16mg QE/gであったこと、また抗酸化活性を示す指標であるDPPHが2.51〜2.81mg GAE/g、FRAPが1.86〜2.22mg TE/gであったことが報告されています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
今回の結果は、バングラデシュで栽培されたチアシードのサンプルを分析して得られたものであり、一つの研究として報告された数値です。栽培地や気候、品種などの条件が異なれば、成分の値も変わり得ると考えられます。また、この研究は成分の測定と分析を目的としたものであり、特定の健康効果を証明したり、摂取による効果を保証したりするものではない点に留意が必要です。
まとめ
この研究では、バングラデシュ産チアシードに含まれる脂肪、たんぱく質、脂肪酸、ミネラル、抗酸化関連成分の含有量が詳しく分析され、リノレン酸やリノール酸を中心とした脂肪酸組成、カルシウムやカリウムなどのミネラル、そして総フェノールやフラボノイドといった抗酸化物質の存在が報告されました。チアシードという身近な食品の成分を科学的に見つめ直す、興味深い一例といえるでしょう。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:バングラデシュ産チアシードの栄養成分、生理活性化合物および抗酸化活性の評価(バングラデシュ農業研究ジャーナル・2026年07月)