もちもちとした麺は世界中で愛される食品ですが、その原料は小麦粉が中心で、血糖値への影響が気になる方には必ずしも優しい食品とは言えません。そこで注目されているのが、インドネシアなどに自生するサトイモの仲間「ベネンタロイモ(Xanthosoma undipes K. Koch)」です。今回紹介する研究では、このベネンタロイモの粉を主原料として、発酵キャッサバ粉(モカフ)や大豆分離たんぱくと組み合わせた「機能性麺」が開発され、その栄養成分や血糖上昇特性が調べられました。

研究でわかったこと

研究チームは、乳酸発酵させたベネンタロイモ粉を乾燥・製粉して調製し、これにモカフ粉と大豆分離たんぱく(SPI)を異なる比率で配合した3種類の麺を試作しました。配合はF1(ベネンタロイモ粉50%・モカフ40%・SPI10%)、F2(50%・35%・15%)、F3(50%・30%・20%)の3パターンです。

食物繊維量を分析したところ、最も多かったのはF1で、100gあたり12.3gの食物繊維が含まれていたと報告されています。一方、色・食感・味・総合的な好ましさを評価する官能評価では、F2の配合が最も好まれる結果となりました。

この結果を受けて、以降の詳しい栄養分析・でんぷん分析・血糖上昇に関する分析はF2の麺を対象に行われました。F2の栄養成分は、水分13.2g、灰分2.6g、たんぱく質15.1g、脂質1.2g、炭水化物67.7g(いずれも100gあたり)であったとされています。また、でんぷんは100gあたり64.1g含まれ、そのうち試験管内(in vitro)での消化性でんぷんは58.4g、消化されにくい「レジスタントスターチ」は5.8gであったと報告されています。

さらに、食後の血糖上昇の指標となるGI値(グリセミック・インデックス)は43.6で「低GI」に分類される値であり、一回の食事量あたりの血糖負荷を示すGL値(グリセミック・ロード)は16.9で「中程度」であったとされています。実際に食後の血糖応答を調べたところ、純粋なブドウ糖を摂取した場合と比べて血糖の上がり方が緩やかであったことが示されています。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、地域の食材であるベネンタロイモを活用し、食物繊維やたんぱく質を多く含みながら低GI値を示す麺を試作・評価したものです。ただし、これは特定の配合・条件下で行われた一つの研究であり、その結果がすべての条件や体質の人に当てはまると結論づけられたわけではありません。血糖値やGI値に関する報告についても、健康効果を保証するものではなく、あくまで今回の実験で得られた知見として紹介されています。

まとめ

ベネンタロイモ粉・モカフ・大豆分離たんぱくを組み合わせた麺は、官能評価で好まれた配合において食物繊維とたんぱく質が豊富で、低GI値を示したことが報告されました。この研究は、地域に根ざした食材を活用した食の多様化と、より健康的な食品選択肢の可能性を示すものと位置づけられています。

※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:ベネンタロイモ(Xanthosoma undipes K. Koch)を用いた麺の栄養プロファイルと血糖上昇特性(食品技術・産業ジャーナル)