最新記事一覧
データに基づく独自の成分分析や、旬の食材・行事食のコラムなど、食品に関する最新記事をお届けします。
清流の香り、6月の天然鮎——走りから盛りへ
6月の下旬、全国の清流で解禁を告げる竿が立つ。あゆ 天然 生——「清流の女王」の呼び名は、その姿の端正さだけでなく、ほかの川魚にはない独特の香気によって長く語り継がれてきた。旬は6〜8月ごろ。今はちょうど走りから盛りへと移ろうタイミングで、食卓に届く鮎の輝きがひと際増す時期だ。
2026年06月30日 04:18
卵白に宿る3200mg――メチオニンが多い食品の意外な顔ぶれ
卵を食べるとき、意識はどうしても黄身に向きがちです。濃い黄色と豊かな風味が、栄養の塊というイメージを呼び起こすからでしょう。ところがメチオニンという含硫アミノ酸(硫黄を含むアミノ酸)に注目すると、主役は静かに入れ替わります。
2026年06月30日 04:18
鉄をどこから取るか——6品の実数で選ぶ
「鉄といえばほうれん草」。この組み合わせが定番として語られてきた。ところが成分表を開くと、豚レバー(生)の鉄は100gあたり13mg。ほうれん草(生)の2.0mgと並べると、同じ100gで6.5倍の開きがある。「鉄の顔」として思い描いていた食品が、実は6品のなかでも下位グループに来る——この数字の逆…
2026年06月28日 16:05
儚さが甘さになる——6月のさくらんぼ
6月下旬、山形から届くさくらんぼは「今週中に」という言葉と一緒にやってくる。日持ちはせいぜい冷蔵で5日ほど。梅雨の短い窓にしか出会えず、手元に来た瞬間からカウントダウンが始まる果物だ。その儚さが、一粒ひとつぶを大事に口へ運ばせる——そしてその甘さを、いっそう際立てる。
2026年06月28日 16:05
大豆油21mg、δ-トコフェロールを貫く「大豆の糸」
ビタミンEには4つの兄弟がいます。α・β・γ・δ——いずれも「トコフェロール」と総称される脂溶性の成分で、体内では酸化されやすい脂質の酸化を抑え、細胞膜の安定に関わるとされています。食事摂取基準でビタミンEの指標として使われるのは主にα-トコフェロールですが、δ(デルタ)-トコフェロールは食品成分表…
2026年06月28日 16:05
半年の穢れを、あずきと流す——水無月の知恵
6月30日、一年の折り返しに日本各地の神社で「夏越の祓(なごしのはらえ)」がおこなわれる。茅(ちがや)で編んだ大きな輪をくぐり、正月から積み重なった半年分の穢れを祓い清める神事だ。この日に京都の人々が食べてきたのが、白いういろうを三角に切り、上にゆであずき(小豆)をのせた菓子、「水無月(みなづき)」…
2026年06月27日 22:03
100gより「5g」で読む——だし素材4品の数字の正体
「成分表でいちばん数字が強いのは?」と問われれば、答えはシンプルだ。かつお節のたんぱく質は可食部100gあたり77.1g、エネルギーは332kcal。だし素材の中でも際立った数字が並ぶ。だがここに、成分表の読み方でよくある落とし穴がある。かつお節は1パック約5g。100gを一度に使う場面はまずない。…
2026年06月27日 04:33
今日仕込まないと終わる——6月の青梅が教えてくれること
スーパーの棚に並んだ青い実を、「来週でいいか」と通り過ぎた経験はないだろうか。うめ 生は、置いておくだけで黄色く完熟へと変わっていく。冷蔵庫に入れると味が落ちる。つまり、青梅を青梅として仕込める時間は、買ったその日しかない。6月下旬、梅の季節は今まさに盛りを迎えているが、この"一瞬の旬"に気づいたな…
2026年06月27日 04:33
5種の砂糖がすべて同じ値──99.9gが教える「選び方」の本質
砂糖の主成分、しょ糖(ショ糖・スクロース)とは、ブドウ糖と果糖がひとつながりになった糖の一種です。消化されるとブドウ糖と果糖に分かれ、エネルギー源として体に使われます。過剰に摂り続けると肥満やう歯の一因となるとされており、量の意識は大切ですが、食事摂取基準にしょ糖そのものの推奨量や目安量は設定されて…
2026年06月27日 04:33
飽和脂肪酸ランキング、上位3品はすべてヤシの仲間だった
バターや肉の脂身が飽和脂肪酸の代表格だと思っていたなら、日本食品標準成分表(八訂)の数字は、その前提をあっさり覆す。可食部100gあたりの含有量を多い順に並べると、1位も2位も3位も、動物性の食品ではない。しかも上位3品を眺めて気づくのは、それが単なる「意外な植物油」の話ではないということだ。
2026年06月26日 08:29
酪酸の逆説:成分表の数字が大きいほど、「食べて摂る」から遠ざかる栄養素
食品成分表(八訂)で「酪酸(らくさん)」の含有量ランキングをつくると、上位はバターがずらりと占めます。ここまでは予想の範囲内です。ところが、上位食品のデータを読み込むほど、奇妙な逆転が姿を現す。成分表の数字が大きくなるほど、「その食品を選んで酪酸を摂る」という発想から遠ざかってしまうのです。出どころ…
2026年06月26日 01:47
冷やすほど甘くなる、夏の一粒――ブルーベリー旬どき
6月下旬、長野の畑でブルーベリーが色づき始める。青黒くふっくらとした直径1センチほどの果実は、走りから最盛期へさしかかる季節だ。摘みたてをそのまま口に入れてもおいしいが、一度冷蔵庫で冷やしてから食べると、甘みがぐっと増す。これは気のせいではない。ブルーベリーに含まれる果糖は、温度が低いほど甘みを強く…
2026年06月26日 01:47
ナイアシン当量の「上乗せ」を知ると食品選びが変わる
「ナイアシン当量」という言葉を目にしたとき、これがナイアシンそのものの含有量とイコールだと思う人は多いかもしれません。ところが実際は少し違います。ナイアシンは皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素で、体内の酸化還元反応を支える補酵素の材料にもなります。そのナイアシンの摂取量を評価するとき、日本の食事摂取…
2026年06月26日 01:47
香りが消える前に、鮎を食べる理由
7月になると、鮎の香りが薄れていく——これは鮎好きの間では知られた話だが、なぜそうなるかを説明できる人は少ない。答えは川底の藻にある。天然の鮎が食む藻類は季節によって種が変わり、6月の若い鮎が湛える青みがかった清冽な香気は、まさにその藻の組成から生まれる。脂がのる8月には、その香りと脂はトレードオフ…
2026年06月26日 01:47
干す知恵と戻す知恵は一対——精進膳が教える乾物の力
精進料理の膳に並ぶ干ししいたけ、昆布(乾燥)、ひじき、切り干し大根、干しぜんまい。五品に共通するのは「干す」という一工程だ。水分を抜くことで、栄養もうま味も同じ重さあたりにぐっと凝縮される。だが面白いのは、その凝縮が「いいもの」だけにとどまらないことだ。だからこそこの膳は、単なる健康食ではなく「干し…
2026年06月26日 01:47
素材の由来が順位を決める——芳香族アミノ酸ランキングの本当の読み方
芳香族アミノ酸の代表、フェニルアラニンとチロシンは、分子の中にベンゼン環を持つことから同じグループに括られます。フェニルアラニンは食事から補う必要がある不可欠アミノ酸で、チロシンはそのフェニルアラニンから体内で作られます。日本食品標準成分表(八訂)ではこの2種を「芳香族アミノ酸合計」として記録してお…
2026年06月26日 01:47
牛乳の約6倍、チーズで見直すカルシウムの密度
牛乳のカルシウムは100gあたり110mg。対してプロセスチーズは同じ100gあたり630mg——約6倍の開きがある。「カルシウムは牛乳で」という発想は間違いではないが、同じ乳製品でも密度という軸で並べ直すと、ここまで差が出る。表を見るまでは気づきにくい事実だ。
2026年06月24日 17:16
じゃがいものビタミンCが加熱に強い理由
6月下旬、北海道では今まさに新じゃがいもが収穫の時期を迎えている。長崎や熊本産の春じゃがいもがひと足先に店頭を賑わせ、続いて北海道産が夏から秋にかけて主役に躍り出る——じゃがいもにとって、今は産地のバトンが渡る、にぎやかな季節だ。
2026年06月24日 17:16
イソロイシン最多は「食卓に並ばない素材」だった
アミノ酸と聞くと、肉や魚や卵といった身近な食品が思い浮かぶかもしれません。ところが、イソロイシンの含有量ランキングを日本食品標準成分表(八訂)で並べてみると、上位を占めるのは食卓にそのまま出てくる食品ではなく、工業的にたんぱく質を濃縮・精製した加工原料ばかりでした。「数値が高い=日常食で活かせる」と…
2026年06月24日 16:34
くるみだけが持つn-3系、種実6品の脂を読む
種実やナッツを「良質な脂の食品」として日々の食卓に取り入れている人は多い。脂の大半が不飽和脂肪酸で、飽和脂肪酸中心の動物性脂とは構造が違うのは確かだ。ただ「不飽和だから安心」で止まると、見落とすものがある。代表的な6品の脂肪酸の内訳を成分表で並べると、5品がn-6系のリノール酸に大きく偏り、n-3系…
2026年06月24日 16:34