夏の激しいトレーニングでは、エネルギー補給と疲労回復の両立が課題になる。そんなとき、食卓に取り入れたいのがとうもろこし(玄穀・黄色種)をはじめとするトウモロコシ製品だ。穀物としての歴史は古く、世界中でエネルギー源として親しまれてきたが、その成分の中身を数字で見ると、アスリート向けの側面が改めて浮かび上がってくる。
トレーニングで注目したい栄養素
運動パフォーマンスの土台になるのが糖質(利用可能炭水化物)だ。とうもろこし(玄穀・黄色種)の利用可能炭水化物は単糖当量で100gあたり64.8g。筋肉や肝臓に蓄えられるグリコーゲンの原料となる糖質を、穀物として効率よく摂れる形だ。
注目したいのがマグネシウムとカリウムだ。とうもろこし(玄穀・黄色種)にはマグネシウムが75mg(100gあたり)、カリウムが290mg含まれる。マグネシウムはエネルギー代謝に関わる酵素反応に必要なミネラルで、最新の日本人の食事摂取基準(厚生労働省)でも成人の推奨量が設定されている重要な成分。カリウムは発汗で失われやすい電解質であり、激しい夏のトレーニング後に意識して補いたい。
さらにビタミンB1が0.30mg(100gあたり)と穀物の中では際立つ水準にある。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換する過程に関わるビタミンとして知られており、糖質を大量に消費する運動時には需要が高まる成分だ。
たんぱく質は8.6g(100gあたり)。アミノ酸組成を見るとロイシンが1100mg(推定値)含まれており、筋たんぱく質の合成シグナルに関わることが知られる分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一つだ。ただしとうもろこし(玄穀・黄色種)単体でたんぱく質を賄うのは難しく、他の食品との組み合わせが実際的だ。
おすすめ食品とその数値データ
トウモロコシ製品には加工形態によって成分の顔が変わるものが多い。
- とうもろこし(玄穀・黄色種):エネルギー341kcal、炭水化物70.6g、食物繊維総量9.0g(うち不溶性8.4g)。食物繊維は不溶性が主体で、かさを増して消化管を通過する不溶性食物繊維の一般的な性質として知られている。ビタミンB1 0.30mgはこの品目の見どころ。
- もろこし(精白粒)(ソルガム/モロコシ属の穀物で、とうもろこしとは別の植物):エネルギー348kcal、炭水化物74.1g、鉄2.4mg、マグネシウム110mg(いずれも100gあたり)。精白によってビタミンB1は0.10mgとなり、もろこし玄穀より低い。マグネシウム110mgはとうもろこしより高い値だが、これはもろこし(ソルガム)ととうもろこしが元々成分組成の異なる別の植物であることによるもので、精白加工で増加したわけではない。鉄2.4mgは植物性食品(非ヘム鉄)として注目できる値で、ビタミンCを含む食品と合わせると非ヘム鉄の吸収を助けるとされる。
- とうもろこし(ポップコーン):エネルギー472kcal、炭水化物59.6g、食物繊維総量9.3g(うち不溶性9.1g)、鉄4.3mg(100gあたり)。ポップする際の水分蒸発によって成分が濃縮され、エネルギーや鉄が押し上げられる。ただし食塩相当量1.4gとナトリウム570mgを含む点は市販品を使う際の注意点だ。
- とうもろこしでん粉:エネルギー363kcal、炭水化物86.3g、食物繊維ほぼゼロ(100gあたり)。精製されたでん粉のため、素早いエネルギー補給が求められる運動直後の補食や料理のとろみ付けに使われる。ビタミン・ミネラル類はわずかで、栄養的な役割は糖質供給に特化している。
毎日の食事への取り入れ方
運動前のエネルギーチャージには、とうもろこし(玄穀・黄色種)を炊き込みご飯や粥の素材として加える方法がある。白米に混ぜて炊くだけで、ビタミンB1とマグネシウムを米だけより上乗せできる。
トレーニング後のたんぱく質補給を兼ねるなら、豆類や卵・肉などたんぱく質源と組み合わせるのが現実的だ。もろこし(精白粒)は炊いて豆と混ぜたサラダ仕立てにすると、鉄とたんぱく質を同時に取りやすくなる。ビタミンCを含む野菜(パプリカ、ブロッコリーなど)を加えると非ヘム鉄の吸収を助けるとされるため、一皿でカバーできる組み合わせとして理にかなっている。
間食としてポップコーンを取り入れる場合は、食塩不使用・無糖コーティングのシンプルなものを選ぶと食塩過多を避けやすい。食物繊維9.3g(うち不溶性9.1g、100gあたり)は消化管のコンディション維持に役立つとされる成分で、不溶性食物繊維が主体だ。
料理のとろみ付けに使うとうもろこしでん粉は、スープやソースに溶き入れるだけで消化しやすい糖質をプラスできる。運動直後に固形物を食べにくいときの補食として、でん粉を使ったスープ仕立ての一品は胃腸への負担が少なく取り入れやすい。
トウモロコシ製品の詳細な成分値は各食品の詳細ページ(とうもろこし(玄穀・黄色種)・もろこし(精白粒)・ポップコーン・とうもろこしでん粉)で確認できる。
まとめ
トウモロコシは糖質を主軸に、マグネシウム・カリウム・ビタミンB1といったトレーニング時に意識したいミネラル・ビタミンを合わせ持つ穀物だ。加工形態によって成分の比率が大きく変わるため、目的に応じて使い分けることが実践的な活用のポイントになる。数字を手がかりに、日々の食事の中で自分のトレーニングサイクルに合った組み合わせを探してみてほしい。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。