夏の食卓に並ぶとうもろこし(スイートコーン)は、子どもが喜ぶ甘みと彩りだけが魅力ではない。実はミネラルやビタミンB群を含む食材でもある。今回はもろこし(玄穀)もろこし(精白粒)のデータをもとに、もろこし穀粒に含まれる栄養素と毎日の食卓への取り入れ方を考えてみよう。

【データの前提について】本記事で扱う栄養データは、日本食品標準成分表(八訂)の「もろこし(玄穀)」「もろこし(精白粒)」、すなわち乾燥させた穀粒の値です。夏に旬を迎える生のスイートコーン(ゆでとうもろこし等)とは別の食品分類であり、成分値も大きく異なります。生のスイートコーンの栄養データは成分表の「とうもろこし」の項目をご参照ください。

もろこし穀粒に含まれる主要栄養素

骨・歯・筋肉など多くの組織の構成成分として含まれるミネラルとして、リン・マグネシウム・亜鉛などが知られており、日本人の食事摂取基準(厚生労働省)ではそれぞれ年齢・性別ごとに摂取量の目安が設定されている。たとえばマグネシウムは成長期(6〜11歳)の推奨量が男子130〜170mg/日、女子130〜160mg/日程度とされており、骨・筋肉・神経など多くの組織に広く分布するミネラルだ。

ビタミンB群(特にB1・B6・ナイアシン)は、糖質・脂質・タンパク質のエネルギー代謝における補酵素として機能することが知られている。炭水化物をエネルギーとして利用する際に必要な成分であり、成長期の食事でも意識されやすい栄養素グループだ。さらに細胞分裂や核酸合成に必要な葉酸は、食事摂取基準において成長期に推奨量が設定されている成分の一つである。

もろこし玄穀・精白粒の実力を数字で見る

もろこし(玄穀)は可食部100gあたり、マグネシウム160mg・リン430mg・亜鉛2.7mgを含む(出典:日本食品標準成分表(八訂)、文部科学省)。マグネシウム160mgは、6〜11歳の推奨量(男子130〜170mg/日)と照らすと約94〜123%に相当する量だ。精製度を下げた玄穀のまま使うと、ミネラルをより多く摂れる点が興味深い。

ビタミンB群も見逃せない。もろこし(玄穀)のナイアシンは100gあたり6.0mg、ビタミンB1は0.35mg、ビタミンB6は0.31mg(出典:同上)。炭水化物が71.1g(100gあたり)とエネルギー密度が高い食品だからこそ、そのエネルギー代謝に関わるB群がセットで含まれているのはバランスの良さといえる。葉酸は100gあたり54µgで、細胞分裂が活発な成長期に食事摂取基準で推奨量が設定されている成分だ。

一方、もろこし(精白粒)は精白処理によりマグネシウムが160mg→110mg、リンが430mg→290mg(いずれも100gあたり)と玄穀より低くなる(出典:同上)。食物繊維については玄穀7.3gに対して精白粒4.4g(100gあたり)と精白により減少するが、精白後も一定量が残存する。内訳は不溶性食物繊維4.0g・水溶性食物繊維0.4gで、不溶性食物繊維は腸内環境との関係が注目される成分として知られている。

またとうもろこし油は、ビタミンEの一種であるγ-トコフェロールを100gあたり70.0mg、α-トコフェロールを17.0mg含む(出典:同上)。ビタミンEは体内の酸化ストレスから細胞を守る脂溶性ビタミンとして知られており、炒め物の油として少量活用する選択肢もある。

毎日の食事への取り入れ方

夏の食卓で最も手軽なのは、生のとうもろこし(スイートコーン)を丸ごと蒸すか茹でる方法だ。歯で粒を外す作業は子どもが楽しめる食体験にもなる。コーンの実をそのままスープやご飯に混ぜると、自然な甘みがつき食欲が落ちやすい夏でも食べやすくなる。

玄穀の状態はスーパーではあまり見かけないが、もろこし(玄穀)に近い形態のものとして、皮・胚芽ごと挽いた全粒タイプのコーンフラワーが自然食品店や通販で入手できる場合がある(なお、コーングリッツは胚乳を粗挽きにした製品で玄穀とは異なる別製品です)。全粒タイプのコーンフラワー白米に少量混ぜて炊くと、食物繊維やマグネシウムを底上げしながら雑穀ご飯として楽しめる。

マグネシウムは骨・筋肉・神経など多くの組織に分布するミネラルだ。カルシウムとマグネシウムのバランスを意識して、乳製品(カルシウム源)ともろこし料理(マグネシウム源)を同じ食卓に組み合わせるのは栄養バランスの観点から合理的なアプローチといえる。例えば、コーンスープに牛乳を使えば一皿で両方を補えるうえ、子どもにも人気のメニューになる。

炒め物にとうもろこし油を用いると、γ-トコフェロールなどビタミンEを少量プラスできる。加熱に比較的安定した油種として家庭料理に取り入れやすい。ただし油は100gあたり884kcalとエネルギーが高いため、使う量は小さじ1〜2杯程度を目安に。

葉酸を意識するなら、もろこし料理にほうれん草枝豆などの葉物・豆類を添えると葉酸量を上乗せできる。植物性食品に含まれる非ヘム鉄の吸収を高めるとされるビタミンCも、トマトやパプリカで同時に補えば一石二鳥だ。

まとめ

もろこし穀粒(玄穀・精白粒)は、骨・筋肉・神経など多くの組織に分布するマグネシウム・リン、エネルギー代謝に関わるビタミンB群、細胞分裂に必要な葉酸など、食事摂取基準で摂取量が設定されている成分を実測データで含む食材だ。玄穀か精白粒かによって成分量に差があるため、目的に合わせて選ぶのが賢い使い方といえる。乳製品や葉物野菜と組み合わせて、ミネラルやビタミ

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。