カルシウムは骨や歯の形成に欠かせない代表的なミネラルだが、どの食品にどれだけ含まれているか、意外と細かく把握している人は少ない。今回は日本食品標準成分表(八訂)の実測データをもとに、普段なかなか並べて比べることのない5品のカルシウム量を見ていこう。数字を見るだけで、食品の個性がくっきりと浮かび上がってくる。
カルシウムとは:体内での働きと1日の目安
カルシウムは体内のミネラルの中でもっとも多く存在し、その約99%が骨や歯を構成している。残りの約1%は血液や筋肉の中で、筋肉の収縮・神経の伝達・血液凝固といった生命維持に関わる働きを担う。体は血中カルシウム濃度を一定に保つよう調節しており、食事からの摂取が不足すると骨からカルシウムが溶け出すことが知られている。
最新の日本人の食事摂取基準(厚生労働省)によれば、成人30〜49歳の推奨量は男性750mg/日、女性650mg/日。耐容上限量はいずれも2,500mg/日と設定されている。通常の食事だけで上限を超えることはまれだが、サプリメントや強化食品を積み重ねて使う場合は合計量に注意が必要だ。カルシウムは吸収率を左右する要因(ビタミンDの摂取状況など)も多く、量だけでなく食事全体のバランスが大切になる。
カルシウムで見る5品の比較
今回取り上げた5品の可食部100gあたりカルシウム量は以下のとおりだ。
- 凍みこんにゃく(乾):1,600mg ――こんにゃくを凍結・乾燥させた保存食で、煮物や鍋に使われる。乾燥品なのでカルシウムが凝縮されており、5品の中でも群を抜いて高い値となっている。製造時に使われる凝固剤(水酸化カルシウムなど)が大きく寄与していると考えられる。
- パセリ(乾):1,300mg ――生のパセリを乾燥させた香辛料。水分が抜けることで成分が濃縮されており、鉄(18.0mg)やビタミンK(1,300µg)なども際立って高い。少量ずつ使う食材ではあるが、その数値の高さは印象的だ。
- すずめの肉(骨・皮つき・生):1,100mg ――骨ごと食べる野鳥の肉。流通量が少なく一般的な食材ではないが、骨ごと食べる伝統的な食文化を背景に日本食品標準成分表(八訂)に収載されている希少な事例だ。骨を含む状態での実測値であり、骨由来のカルシウムが数値を押し上げている。リン(660mg)も豊富に含まれる。
- ほそめこんぶ(素干し):900mg ――細めの昆布を素干しにした乾燥海藻。出汁の材料として広く使われるが、カルシウムは100gあたり900mgと高水準。食物繊維(32.9g)やカリウム(4,000mg)も豊富で、乾物ならではの栄養密度の高さがある。
- かたくちいわしのみりん干し:800mg ――かたくちいわしを骨ごとみりん・砂糖などで味付けして乾燥させた加工品。骨ごと食べることでカルシウムをそのまま摂取できる。ビタミンD(25.0µg)もこの5品の中で際立っており、骨ごと食べられる小魚の代表格だ。
最高値の凍みこんにゃく(乾)(1,600mg)と最低値のかたくちいわしのみりん干し(800mg)を比べると、同じ可食部100g換算で2倍の開きがある。乾燥・素干し・骨ごと、という"濃縮"の要素が各食品の高い値の共通点だ。
食べ合わせ・活用のポイント
かたくちいわしのみりん干しはカルシウム(800mg)とビタミンD(25.0µg)をともに含む点が注目しやすい食品だ。ビタミンDはカルシウムの腸管吸収を助けることが知られており、日本人の食事摂取基準でもビタミンDはカルシウム吸収に関与するとされている。骨ごと食べられる小魚は、この2つの栄養素を同時に摂れる数少ない食品群のひとつだ。おやつ感覚でそのまま食べてもよいし、細かく砕いてご飯に混ぜても使いやすい。
ほそめこんぶ(素干し)は出汁として使うだけでなく、細切りにして佃煮や酢の物に仕上げると食材ごと食べられる。昆布のカルシウムは出汁に溶け出しにくいため、出汁として使うだけでは摂取しにくく、昆布を食材として食べてはじめて摂取できる点を覚えておきたい。
パセリ(乾)は料理の仕上げに小さじ1程度ふりかけるだけでも十分に風味が出る。乾燥品のため少量でも栄養密度が高く、スープやオムレツへの活用が手軽だ。
凍みこんにゃく(乾)は戻してから煮物・鍋・炒め物に使う。不溶性食物繊維(70.4g/八訂データ、乾燥重量ベース)が極めて多い食品でもあり、食感が独特なのでよく噛んで食べる料理に向く。なお水で戻すとカルシウム量は乾燥時より大幅に下がるため、実際の摂取量は戻した状態の重量を基に計算するとよい。
すずめの肉(骨・皮つき)は串焼きや唐揚げなど、骨ごと食べる調理法が伝統的だ。骨ごと食べることを前提とした値であるため、食べ方によって実際の摂取量は変わる点を念頭に置きたい。
まとめ
カルシウムという一つの軸で5品を並べると、乾燥・骨ごと・凝固剤由来といった要因が数値の高さに直結していることが見えてくる。日常の食事で意識しやすいのは骨ごと食べられる小魚や、だしとして使いながら食べられる昆布など、継続しやすいものを自分のライフスタイルに合わせて選ぶことだ。各食品の詳細な成分値は食品群一覧からも確認できる。
※本記事中の栄養素数値(カルシウムのほか、鉄・ビタミンK・カリウム・ビタミンDを含む)はすべて日本食品標準成分表(八訂)の可食部100gあたり数値に基づきます。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。