6月に入り、北海道では初夏の海が本格的に動き始めます。礼文・利尻など道北の主要漁場を皮切りにエゾバフンウニの漁が解禁され、産地では箱売りやバフン丼が並び始めるこの時期は、ウニ好きにとって待ちわびた季節の到来です。今回は、北海道を代表する海の幸・ウニに含まれる成分を数字で読み解きながら、産地ならではの食べ方もあわせてご紹介します。
この時期に注目したい成分——葉酸・ビタミンB群・β-カロテン
ウニというと、濃厚なうまみと鮮やかなオレンジ色が特徴ですが、あの色はβ-カロテンに由来します。生うに100gあたりのβ-カロテン当量は700µg(日本食品標準成分表(八訂)、以下同)。体内でビタミンAに変換される成分であり、レチノール活性当量は58µgと算出されています。
さらに目を引くのが葉酸の多さです。生うに100gあたり360µgという値は、海産物のなかでも際立った数字です。日本人の食事摂取基準(2020年版、厚生労働省)によれば、成人の葉酸推奨量は1日240µgとされており、生うには海産物のなかでも葉酸を豊富に含む食品のひとつです(あくまで栄養素量の目安としてご参考ください)。葉酸はアミノ酸代謝や細胞分裂に関わる水溶性ビタミンB群の一種として知られています。
ビタミンB2も0.44mg(100gあたり)含まれており、ビタミンB12は1.3µg。魚介類に多いビタミンB12はエネルギー代謝や神経系の働きに関わる成分です。
おすすめ食品とその数値データ
ウニは加工形態によって成分値が大きく変わる食品です。ここでは3つの形態を比べてみましょう。
生うにの特徴
生うにはエネルギー109kcal、たんぱく質16.0g、脂質4.8g(いずれも100gあたり)。食塩相当量は0.6gと低く、素材本来の風味をそのまま活かした形態です。多価不飽和脂肪酸は1.02g含まれており、そのうちn-3系多価不飽和脂肪酸が0.73gを占めます。葉酸360µg、β-カロテン当量700µgはこの形態ならではの高さで、加工によって変動しやすい水溶性成分を余すところなく摂れる点が生食の魅力です。
粒うにの特徴
粒うにはアルコールや食塩を加えて保存性を高めた加工品で、エネルギーは172kcal、たんぱく質17.2g(100gあたり)。食塩相当量が8.4gと高く、調味料としての色合いが強い食品です。β-カロテン当量は1000µgと生うにを上回りますが、これは水分が51.8gと少ない(生うには73.8g)ため、成分が濃縮された結果と考えられます。葉酸は98µgと生うにより大幅に少なく、加工・塩漬け工程の影響がうかがえます。粒うにの詳細な成分は詳細ページでご確認いただけます。
練りうにの特徴
練りうにはエネルギー166kcal、たんぱく質13.5g、脂質2.9g(100gあたり)。食塩相当量は7.1g。鉄は1.8mgと3形態のなかで最も高い値を示しており、亜鉛は1.3mgです。ビタミンB12は4.8µg含まれています。練りうにの詳細はこちらからご覧いただけます。
なお、記事中の成分数値はいずれも日本食品標準成分表(八訂)における「生うに」「粒うに」「練りうに」の代表値です。エゾバフンウニ種固有の実測値とは異なる場合があります。産地ならではの品種の特性に興味のある方は、農林水産省等の公的機関の資料もあわせてご参照ください。
毎日の食事への取り入れ方——産地の食べ方に学ぶ
北海道の漁師町では、水揚げしたばかりのウニを木箱ごとテーブルに並べ、殻から直接スプーンですくって食べる『箱ウニ』が夏の風物詩です。この食べ方こそ、生うにの葉酸やβ-カロテンを最も無駄なく味わえる食べ方といえます。
家庭で取り入れるなら、次のような使い方が実践的です。
- うに醤油パスタ——粒うにを少量のバターと醤油で溶き、茹でたパスタにあえるだけ。食塩相当量が高いため、パスタの塩は控えめに。
- うにのせご飯(ウニ丼)——生うにをご飯にのせ、わさび醤油でシンプルに。葉酸を活かすなら火を通さず生食が基本です。
- 練りうにのディップ——練りうにをクリームチーズと合わせてカナッペ風に。塩分濃度が高いので、1回に使う量は小さじ1程度(約5g)を目安にすると塩分コントロールがしやすくなります。
- 腸活の観点から考えるなら——ウニ自体の食物繊維量は(0)g(推定値)と非常に少なく、腸内細菌のエサとなる食物繊維はほぼ含まれていません。ウニを食べる際は、海藻サラダや根菜の副菜など食物繊維を含む食品と組み合わせるのがおすすめです。発酵食品(みそ汁や漬物など)を添えると、食事全体として腸内環境を意識した献立になります。
まとめ
初夏の北海道を代表するウニは、葉酸やβ-カロテンなど見逃せない成分を含む個性豊かな食材です。生・粒・練りと形態によって成分プロフィールが大きく異なるため、用途に応じて使い分けてみてください。産地の食べ方をヒントに、この季節ならではのウニの味わいを存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。
※本記事の成分値は日本食品標準成分表(八訂)のデータをもとに作成しました。食事摂取基準の数値は日本人の食事摂取基準(2020年版、厚生労働省)を参照しています。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。