この研究は、コートジボワールの研究機関の研究論文です。
掲載誌:World Journal of Advanced Research and Reviews
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
なぜこの2種を調べたのか
サハラ以南のアフリカでは、野生の葉菜が食生活を支え、食事の多様化に貢献しています。しかし論文の著者らは、地域で実際に食べられている種の多くについて、科学的なデータがまだ乏しいと指摘しています。これまでの研究は、どんな植物がどう使われているかの目録づくりや、成分の一部の測定にとどまることが多かったといいます。
今回の研究が取り上げたのは、コートジボワール北部で食用にされているイチジク属のFicus dicranostylaと、伝統的な薬用利用が広く記録されてきたBoerhavia diffusa(ナハカノコソウ)の2種です。研究チームによれば、この2種について、同じ実験条件のもとで栄養・ミネラル・植物化学成分・反栄養素をまとめて比べたデータはほとんど存在しませんでした。そこで著者らは、両種の葉の栄養面での性質を測定し、比較することを目的としました。
どのように調べたか
研究チームは、コートジボワール北部ハンボル州ニアカラマンドゥグの畑から、成熟した葉を新鮮な状態で採取しました。植物の種の同定は、アビジャンのフェリックス・ウフェ=ボワニ大学の国立植物相センターに依頼しています。葉は蒸留水で洗い、風通しのよい日陰で乾かしてから粉末にし、ふるいにかけて分析用の試料としました。
分析には、食品分析で広く使われる標準的な手順(AOAC法)が用いられました。水分、灰分(燃やしたあとに残るミネラル分の総量)、粗繊維、粗脂質、たんぱく質などを測り、炭水化物は差し引きで求め、エネルギー値は換算係数から推定しています。ビタミンCは滴定法、ポリフェノール・フラボノイド・タンニンといった植物化学成分は、色の濃さを測る比色法で定量しました。ミネラルは灰化後に原子吸光分光法で測定し、反栄養素としてフィチン酸とシュウ酸を調べています。各測定は3回繰り返し、統計的な差は5%水準で判定されました。なお、ここで示される値はすべて乾燥重量あたりの数値です。
報告された主な結果
著者らの報告によると、2種はほとんどの項目で統計的に有意な差を示し、互いに補い合うような異なる特徴を持っていました。
F. dicranostylaで高かったのは、粗たんぱく質(23.53%)、粗繊維(19.57%)、ビタミンC(100gあたり45.83mg)、そして鉄(100gあたり23.80mg)でした。鉄はB. diffusa(同11.80mg)の約2倍と報告されています。総ポリフェノールも1950.87mg GAE/100gと、B. diffusaの1228.30mg GAE/100gを上回りました。
一方のB. diffusaは、主要なミネラルで高い値を示しました。カルシウムは100gあたり2703.08mg、カリウムは1601.53mg、リンは449.21mgです。植物化学成分ではフラボノイド(689.40mg QE/100g)と縮合タンニン(922.30mg TAE/100g)が高く、脂質やエネルギー値もわずかに上回りました。
ミネラルの吸収を妨げうる反栄養素については、傾向が逆になりました。フィチン酸はF. dicranostylaのほうが多く(100gあたり72.51mg対51.31mg)、シュウ酸はB. diffusaのほうが際立って多い(256.67mg対73.33mg)という結果です。ただし両種ともカルシウムとリンの比(Ca/P)が1を上回り(それぞれ21.43と6.02)、著者らはカルシウムとリンのバランスが良好であることを示すと述べています。
著者らは結果の解釈に慎重な注意も添えています。ポリフェノールが多いことは、抗酸化の働きを直接測っていない以上、抗酸化活性が高い証拠とはみなせないとしています。また、ナトリウムとカリウムの比は電解質の組成を記述する指標であって、心血管への利点を示す臨床的な指標ではないとしています。カルシウムや鉄が実際にどれだけ吸収されるかは、フィチン酸やシュウ酸の影響を受けるため、確かめるには別の測定が必要だとも述べています。
この研究が示すこと
この研究は、地域で実際に食べられてきた野生の葉菜について、同じ条件で測った比較データを新たに提供しました。2種は優劣がはっきり分かれるのではなく、たんぱく質・繊維・ビタミンC・鉄に富む種と、カルシウムなど主要ミネラルに富む種という、異なる持ち味を示しました。
著者らは、こうした特徴が、コートジボワール北部での食事の多様化と、身近に手に入る微量栄養素の供給源としての価値につながりうると結論づけています。同時に、反栄養素の存在や吸収の実態には未解明の部分が残されていることも、報告のなかで明確に位置づけられています。
著者:Dahiri Gninlinahannan Christine Camara(Department of Food Science and Technology, University of Nangui Abrogoua, Abidjan, Côte d’Ivoire.)、Diawadou Diallo(Department of Agriculture, Fisheries Resources, and Agro-industries, University of San Pedro, San Pedro, Côte d'Ivoire.)、Ohouo Régina Antoinette Don(Department of Food Science and Technology, University of Nangui Abrogoua, Abidjan, Côte d’Ivoire.)、Fankroma Martial Thierry Koné(Department of Food Science and Technology, University of Nangui Abrogoua, Abidjan, Côte d’Ivoire.)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dahiri Gninlinahannan Christine Camara, Diawadou Diallo, Ohouo Régina Antoinette Don, et al. NUTRITIONAL AND PHYTOCHEMICAL PROFILES OF FICUS DICRANOSTYLA AND BOERHAVIA DIFFUSA, TWO WILD LEAFY VEGETABLES FROM NORTHERN CÔTE D'IVOIRE. World Journal of Advanced Research and Reviews 2026-09-14. DOI: 10.30574/wjarr.2026.31.3.2364. 原著ライセンス:CC BY.