著者の所属・活動拠点の国は、コートジボワールです。

掲載誌:GSC Biological and Pharmaceutical Sciences

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: original_cached_pdf

研究の目的

西アフリカに分布するボンバックス属の樹木、ボンバックス・ブオノポゼンセ(Bombax buonopozense)とボンバックス・コスタツム(Bombax costatum)は、花の萼(がく)がソースの材料として使われるなど、コートジボワールで料理や伝統的な暮らしに用いられています。萼とは、花びらの外側で花を支える部分です。しかし、著者らによると、コートジボワールでこれらの萼の成分を調べたデータは限られており、栄養面や植物成分としての価値を科学的に評価しにくい状況でした。

そこで研究チームは、2種の萼に含まれる炭水化物、たんぱく質、脂質といった基本的な栄養成分と、ポリフェノール、フラボノイド、タンニンといった植物特有の成分を測定し、両種を比較しました。ポリフェノールは植物に広く含まれる化合物のグループで、抗酸化作用との関連で研究されています。フラボノイドやタンニンはその仲間です。

何をどのように調べたか

研究チームは2種の萼を乾燥させて粉末にし、成分分析を行いました。たんぱく質は試料中の窒素量から求めるケルダール法で、脂質は溶媒で油分を抽出するソックスレー法で測りました。また、燃やした後に残る灰の量(灰分)も測定しています。灰分は、試料に含まれるミネラルなど無機質のおおよその量の目安になります。

ポリフェノール類は、萼の粉末から抽出液をつくり、試薬と反応させたときの色の濃さを測る方法で定量しました。ポリフェノール全体はフォリン・チオカルト法、フラボノイドは塩化アルミニウムを用いる方法、タンニンはバニリンを用いる方法で測定しています。

主な結果

論文の要旨によると、どちらの萼も炭水化物が中心で、その割合はブオノポゼンセで80.59%、コスタツムで79.67%でした。たんぱく質はブオノポゼンセが7.72%、コスタツムが11.08%で、コスタツムの方が多く含まれていました。脂質はそれぞれ3.01%と2.51%と少なめで、灰分は8.68%と6.76%とブオノポゼンセの方が高い値でした。

ポリフェノール類はどちらの種にも含まれていましたが、すべての項目でブオノポゼンセが上回りました。要旨で示された値は、乾燥重量1グラムあたりで、ブオノポゼンセがポリフェノール655.09ミリグラム、フラボノイド62.21ミリグラム、タンニン93.25ミリグラム、コスタツムがそれぞれ414.19ミリグラム、23.29ミリグラム、40.73ミリグラムでした。著者らは、ブオノポゼンセがこれらの成分をより多くため込む性質をもつ可能性を指摘しています。

研究が示すこと

この研究は、地域で食べられてきた2種の萼が主に炭水化物の供給源であり、種によってたんぱく質の多さやポリフェノール類の多さといった違いがあることを、成分データとして示しました。著者らは、両種の萼が食品や植物成分の利用の面で価値をもつ資源になりうると述べています。

一方で、今回行われたのは成分量の測定であり、抗酸化作用などの働きそのものは調べられていません。著者らも、たんぱく質の量だけでは栄養としての質は判断できないこと、またタンニンが多いと一部の栄養素の吸収を妨げる可能性があることに触れています。身近な食材の中身を数値で確かめた、基礎となるデータといえます。

原著論文の著者・所属:BAMBA Abou(Biology and Health Laboratory, UFR Biosciences, Félix Houphouët -Boigny University, 22 BP 582 Abidjan 22, Ivory Coast, and Department of Medical and Fundamental Biochemistry, Pasteur Institute of Ivory Coast, 01 BP 490 Abidjan)、KANGA Yao(Laboratory of Environment, Climate, Health, Engineering, and Sustainable Development (LECI2D), Faculty of Biological Sciences, Peleforo Gon Coulibaly University, Ivory Coast.)、BENE Kouadio(Laboratory of Botany and Utilization of Plant Diversity, Faculty of Natural Sciences, Nangui Abrogoua University, Abidjan, Ivory Coast.)、Konan Gbê Kouakou N’dri Ange(Biology and Health Laboratory, UFR Biosciences, Félix Houphouët -Boigny University, 22 BP 582 Abidjan 22, Ivory Coast, and Department of Medical and Fundamental Biochemistry, Pasteur Institute of Ivory Coast, 01 BP 490 Abidjan)、Douwana René Jeannot Valaire(Laboratory of Environment, Climate, Health, Engineering, and Sustainable Development (LECI2D), Faculty of Biological Sciences, Peleforo Gon Coulibaly University, Ivory Coast.)、Yapi Houphouet(Biology and Health Laboratory, UFR Biosciences, Félix Houphouët -Boigny University, 22 BP 582 Abidjan 22, Ivory Coast, and Department of Medical and Fundamental Biochemistry, Pasteur Institute of Ivory Coast, 01 BP 490 Abidjan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):BAMBA Abou, KANGA Yao, BENE Kouadio, et al. COMPARATIVE NUTRITIONAL AND PHYTOCHEMICAL CHARACTERIZATION OF THE CALYXES OF BOMBAX BUONOPOZENSE P. BEAUV. AND BOMBAX COSTATUM PELLEGR. & VUILLET CONSUMED IN IVORY COAST. GSC Biological and Pharmaceutical Sciences 2026-10-23. DOI: 10.30574/gscbps.2026.37.1.0299. 原著ライセンス:CC BY.