少量で栄養が摂れる食品を4つ並べてみると、同じ「少量の主役」でも、際立つ栄養素は品ごとにまったく違います。まず100gあたりのカルシウムを見ると、しらす干し(半乾燥品)の520mgが際立ち、まだら(生)32mg、かつお節(加工品)28mg、まつ(生)14mgと、残りの3品は一桁小さい数字です。カルシウムで選ぶならしらす干し、というわけですが、では他の3品は何が持ち味なのでしょうか。
しらす干しは骨まわりの三役
しらす干しのカルシウム520mgは、大さじ1(約4g)なら約21mgほど摂れる計算です。カルシウムは骨や歯の主要な構成要素で、細胞の働きにも必須とされる成分です。しらす干しはこれに加えてビタミンD61µg、リン860mgも高く、ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、リンはカルシウムとともに骨をつくるとされます。骨まわりを固める三役がそろった一品です。ただし食塩相当量も100gあたり6.6gと高めなので、料理に使う量は加減したいところです(食塩相当量の目標量は成人30〜49歳で男性7.5g未満・女性6.5g未満)。
まだらは、実はヨウ素の一皿
同じ白身魚でも、まだらが強いのはカルシウムではなくヨウ素です。1切れ(100g)あたり350µgと、4品の中で際立って高い数字です。ヨウ素は甲状腺ホルモンを構成し、成長・発達やエネルギー代謝に関わるとされる成分で、推奨量は成人30〜49歳で男女とも140µg。ヨウ素には耐容上限量(男女とも3000µg)もありますが、1切れという通常の一食量であれば心配のいらない範囲です。エネルギーも72kcalと低く、たんぱく質は17.6gとしっかり摂れます。
かつお節はたんぱく質の量そのもの
かつお節が強いのは、たんぱく質77.1gという量そのものです(1パック約5gで約3.9g)。たんぱく質は体をつくる主成分でエネルギー源にもなるとされ、推奨量は成人30〜49歳で男性65g・女性50g。あわせてセレン320µg、ナイアシン45mg、不可欠アミノ酸とされるトリプトファン960mgも高く、ナイアシンは体内でトリプトファンからも合成されるとされるので、両者を豊富に含むかつお節は理にかなった顔ぶれといえます。
まつ(松の実)は、魚介ではないけれど
4品目のまつ(生)は、そもそも魚介ではなく種実類ですが、「少量で栄養密度が高い」という共通点で並べると面白い一品です。強いのはリノール酸29000mg、亜鉛6.9mg、マグネシウム290mg、銅1.44mg。リノール酸は体内で合成できないn-6系の必須脂肪酸とされ、亜鉛・マグネシウム・銅はいずれも多くの酵素やエネルギー代謝に関わるとされます。ただしまつは100gで681kcalと高エネルギーで、大さじ1(約10g)でも68kcal相当です。少量で栄養密度が高い分、一度に多くは食べない食品です。
まとめ
4品を見渡すと、貫いているのは「量は少なくても、それぞれ違う栄養素で存在感を出している」という一点です。カルシウムとビタミンDを意識するならしらす干しをご飯や卵焼きに大さじ1、ヨウ素ならまだらの切り身を汁物や鍋に、たんぱく質としっかりした旨みならかつお節を汁の実やおかかがけに一パック、脂肪酸やミネラルの補強にはまつの実をサラダに少量、という具合に使い分けると、無理なく取り入れられます。同じ「少量でしっかり摂れる」というくくりの中でも、狙う栄養素によって選ぶべき一品はまったく違うのです。
【摂取量の目安】しらす干し 半乾燥品は、ビタミンDが100gで耐容上限量100µgの約61%にあたります。ビタミンA・Dは脂溶性で体に蓄積しやすいため、多量・連日の摂取やサプリメント併用、妊娠中は過剰摂取に注意が必要とされます(通常の食事で時折とる分には問題になりにくいとされます)。
※本記事は特定の食品の効果・効能を示すものではありません。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準・e-ヘルスネット「カルシウム」(厚生労働省)・e-ヘルスネット「リン」(厚生労働省)