卵1個(Lサイズ約70g)にはコレステロールが約259mg含まれる。100gあたり370mgという数値だけを見ると、たしかに身構えたくなる。だが食品由来のコレステロールと血中コレステロール値のあいだには強い関係がないとされる。血中コレステロール値を上げやすいのは、むしろエネルギーや飽和脂肪酸のとり過ぎによって肝臓での合成が増える場合だという。つまり鶏卵 全卵 生を「コレステロールが多いから」という理由だけで献立から外すのは、根拠としてはやや的外れということになる。
実際、卵にはたんぱく質12.2g、レチノール210µg、ビオチン24µgという顔もある。レチノールは視覚の維持や成長、皮膚・粘膜の健康に関わるビタミンAの一種で、ビオチンは代謝に関わる酵素の働きを助け、皮膚や粘膜の健康維持を支えるとされる成分だ。ビオチンの目安量(成人30〜49歳)は男性50µg・女性50µg。卵は「引き算される食品」ではなく、独自の栄養価値を持つ食品として見直したほうがよさそうだ。
骨づくりで注目したいカルシウムの凝縮度
コレステロールという切り口を離れて骨の健康という軸で乳製品群を見渡すと、際立ってくるのはカルシウムの「凝縮度」の差だ。チーズは牛乳を濃縮して作るため、少量でカルシウムを多く含むという。数字で追うとその意味がよくわかる。
普通牛乳は100gあたりカルシウム110mg、たんぱく質3.3g、脂質3.8gという穏やかな成分の飲料だ。これが濃縮されてプロセスチーズになると、カルシウムは100gあたり630mgに達する。スライス1枚(18g)に換算すると約113mgだ。そして100gあたりで見たときにもっとも高いのがナチュラルチーズ パルメザンで、1300mg。大さじ1杯(約6g)でも約78mgになる計算で、パスタや野菜に振りかけるだけの少量でも効率よく摂れる存在だ。ただし一度に大量に食べる食品ではない点は変わらない。
ここで一段、予想を裏切る顔ぶれが出てくる。ハードチーズだけが濃いのかと思いきや、固形のチーズを介さず粉になった脱脂粉乳も、100gあたりカルシウム1100mgとプロセスチーズを上回る水準にある。しかも脱脂粉乳はカルシウムだけでなく、リン1000mg、カリウム1800mg、ビタミンB2は1.6mgと幅広く含む。大さじ1杯(6.8g)でもカルシウム約75mgとなり、牛乳から水分と脂肪を除いて粉にするという製法が、成分をまとめて凝縮させていることがうかがえる。牛乳を液体のまま飲むか、チーズのように固めて濃縮するか、粉にして凝縮するか——同じ乳という原料が、形を変えるたびにカルシウムの密度を積み増していく様子は、乳製品群を貫くひとつの糸と言えそうだ。
なお、プロセスチーズはカロリーや塩分も高めの食品なので、食べ過ぎには注意したいところ。塩分を抑えたい場合は低脂肪のチーズを選ぶという工夫もできる。ヨーグルト 全脂無糖はカルシウム120mgを含み、乳酸0.7gも含む発酵食品だ。乳酸菌は牛乳を発酵させたヨーグルトやチーズに存在するとされる。
毎日の食卓での組み合わせ方
朝食にヨーグルトをカップ1杯、昼のパスタにパルメザンを大さじ1杯、おやつやお弁当にプロセスチーズをスライス1枚——こうして分散させると、無理なくカルシウムの摂取量を積み増せる。牛乳はコップ1杯(約210g)を飲用にあてつつ、料理にはチーズや脱脂粉乳を少量使うという役割分担も現実的だ。カルシウムの推奨量(成人30〜49歳)は男性750mg・女性650mg。この基準と照らし合わせながら、日々の食卓に無理なく組み込んでいきたい。
まとめ
卵はコレステロールの数値だけで避けるべき食品ではなく、レチノールやビオチンといった役割を持つ栄養素の供給源でもある。一方、骨の健康という軸で乳製品を見渡すと、牛乳・チーズ・脱脂粉乳のあいだにはカルシウムの凝縮度という明確な差があり、少量でも効率よく摂れる食品がどれかが見えてくる。数字の並びを追いかけると、「多い・少ない」の一言では終わらない食品同士のつながりに気づかされる。次にどんな乳製品や卵加工品のデータが加わるのか、その並びを見に来たくなる。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準・e-ヘルスネット「HDLコレステロール」(厚生労働省)・e-ヘルスネット「LDLコレステロール」(厚生労働省)・e-ヘルスネット「カルシウム」(厚生労働省)