著者の所属・活動拠点の国は、バングラデシュです。

掲載誌:Journal of Trace Elements and Minerals

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

牛肉は栄養素を多く含む食品です。ただし、その中身は牛の遺伝的な背景や、体のどの部位の肉かによって変わることがあります。研究チームによると、食品の栄養成分をまとめたデータベースには部位ごとの詳しい値が不足しています。特に、南アジアの生産環境で育った牛のデータは乏しいとされています。

そこで著者らは、バングラデシュで商業的に処理された在来牛と、ホルスタイン・フリージアンとの交雑牛を対象にしました。大きく分けた8つの部位(プライマルカット)の肉について、基本的な栄養成分、計算で求めたエネルギー値、ミネラルの分布を比べています。

調べた方法

研究では、在来牛と交雑牛それぞれ15頭、計30頭の雄牛から、合わせて240の肉試料を分析しました。水分、乾物、たんぱく質、脂肪、灰分(燃やした後に残るミネラル分)といった一般成分は、標準的な公定分析法で測定しました。カリウムや亜鉛、鉄などの主要・微量ミネラルは、原子が特定の光を吸収する性質を利用した装置で測っています。

統計解析では、品種と部位、およびその組み合わせの影響を調べました。その際、同じ牛から複数の試料を取っていることを考慮する手法を用いています。また、栄養素どうしの関係を相関分析で確認しました。

主な結果

一般成分については、部位による統計的に有意な違いは見られませんでした。水分と乾物の割合にも、品種間で有意な差はありませんでした。一方、品種による違いはいくつかの成分で報告されています。在来牛の肉は脂肪(1.82%対0.89%)、灰分(1.14%対0.88%)、エネルギー(100gあたり101.5kcal対94.7kcal)が多くなっていました。交雑牛の肉はたんぱく質(21.11%対19.97%)が多いという結果でした。脂肪とエネルギーについては、品種による差の出方が部位によって異なっていました。

ミネラルでは傾向が異なり、多くのミネラルで部位による統計的に有意な違いが認められました。その違いの現れ方は、品種によって異なることがしばしばありました。品種で比べると、在来牛の肉はカリウム、亜鉛、鉄、セレンが多く、交雑牛の肉はリン、硫黄、ナトリウムが多い結果でした。カルシウムと銅には品種間の差が見られませんでした。

なお、エネルギーと乾物や脂肪との間には強い相関が見られました。著者らはこれについて、エネルギーがこれらの成分から計算された値であるためだと説明しています。独立した生物学的関係を示すものではないということです。

研究が示すこと

研究チームによると、品種に関連する違いは脂肪、たんぱく質、エネルギー、いくつかのミネラルに集中していました。部位の違いは、一般成分ではなくミネラルの構成に表れたとまとめています。

ただし、対象の牛は市場から入手したもので、遺伝的背景や飼料、年齢の記録はありません。そのため著者らは、今回の差は品種そのものが原因であることを示すものではないとしています。市場に出回る牛の集団のばらつきを反映したものだという位置づけです。そのうえで著者らは、この結果が、食品成分データベースに部位別・品種別の値を設けることを支持するものだと結論づけています。

原著論文の著者・所属:Rawnak Jahan(Department of Animal Science, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensigh, 2202, Bangladesh)、Dip Ghosh(Department of Animal Science, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensigh, 2202, Bangladesh)、Raad Al Deen(Department of Animal Science, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensigh, 2202, Bangladesh)、Masuma Habib(Graduate Training Institute, Bangladesh Agricultural University, Mymensingh, 2202, Bangladesh)、Md. Mukhlesur Rahman(Department of Animal Science, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensigh, 2202, Bangladesh)、Md. Shawkat Ali(Department of Poultry Science, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensingh, 2202, Bangladesh)、Md. Abul Hashem(Department of Animal Science, Faculty of Animal Husbandry, Bangladesh Agricultural University, Mymensigh, 2202, Bangladesh)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rawnak Jahan, Dip Ghosh, Raad Al Deen, et al. Comparative Nutritional and Mineral Composition of Eight Primal Cuts from Indigenous and Holstein Friesian Crossbred Cattle in Bangladesh. Journal of Trace Elements and Minerals 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.jtemin.2026.100343. 原著ライセンス:CC BY.