著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:KONTAGORA JOURNAL OF INTELLECTUAL DISCOURSE

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

身近なハーブの中身を数値で確かめる

レモングラス(学名 Cymbopogon citratus)は、香りのよいイネ科の多年草です。料理のスパイスやハーブティー、精油の原料として使われ、伝統的な薬草としても利用されてきました。研究チームは、この葉に栄養面でどのような成分がどれだけ含まれているのかを明らかにするため、乾燥させた葉の成分を分析しました。

著者らは、植物に含まれる成分には二つの面があることにも注目しています。フェノール類やフラボノイドは一般に体によい働きが期待される「生理活性成分」とされます。一方、サポニンや一部のアルカロイドは、量が多いと栄養の消化や吸収を妨げる「抗栄養因子」として議論されます。そのため研究では、栄養成分に加えて、これらの植物成分とミネラルもあわせて調べています。

三つの角度から分析

研究チームは、植物学者が同定した健康な葉を乾燥させて粉末にし、分析に使いました。一つ目は「一般成分分析」と呼ばれる方法です。食品の基本的な中身を、水分、灰分(燃やした後に残る無機物の量)、脂質、たんぱく質、粗繊維(消化されにくい植物の繊維分)、炭水化物に分けて割合を求めます。炭水化物は、ほかの成分の合計を100%から差し引いて算出しています。

二つ目は植物成分の定量です。フェノール類、フラボノイド、サポニン、アルカロイドの量を、試薬で発色させて吸光度を測る方法で調べました。三つ目はミネラル分析です。原子吸光分析という手法で、鉄、亜鉛、マンガン、銅、ナトリウム、カリウム、カルシウムの7元素を測定しました。

繊維と灰分が多く、フェノール類が目立つ

一般成分では、炭水化物が27.80%で最も多く、粗繊維が21.51%で続きました。灰分は18.86%、たんぱく質は10.92%、脂質は9.98%、水分は10.93%でした。著者らは、繊維の多さを特に注目すべき点としています。また灰分が比較的高いことはミネラル分の多さを反映している可能性があるとしつつ、灰分は無機物全体を間接的に示す値にすぎず、特定のミネラル量と同じではないと述べています。たんぱく質については、ハーブとして使う量は通常少ないため、主要なたんぱく源とみなす必要はないとしています。

植物成分では、100グラムあたりの量でフェノール類が428.79ミリグラムと最も多く、フラボノイドが121.11ミリグラム、サポニンが120.80ミリグラムでした。アルカロイドは11.98ミリグラムと最も少ない結果でした。

ミネラルは、100グラムあたりマンガンが2.57ミリグラム、カルシウムが2.14ミリグラムで、調べた7元素のなかで多い部類でした。カリウムは0.64ミリグラム、ナトリウムは0.41ミリグラム、銅は0.39ミリグラム、鉄は0.11ミリグラム、亜鉛は0.03ミリグラムでした。著者らは、これらの値はいずれも比較的小さく、鉄や亜鉛はこの試料では特に豊富な供給源とはいえないとしています。また、1日の必要量への寄与は摂取する量に大きく左右されると指摘しています。

成分が分かったことと、まだ分からないこと

著者らは、レモングラスの葉が炭水化物、繊維、ミネラル、そしてフェノール類などの生理活性成分を含む素材であることを示したとまとめています。フェノール類やフラボノイド、サポニン、ミネラルが含まれるという点は、近年のほかの研究とも大筋で一致するとしています。ただし、成分の量は産地や生育条件、乾燥方法、分析方法によって大きく変わりうるため、数値は試料の条件とあわせて読む必要があるとも述べています。

一方で、この研究はあくまで成分の組成を調べたものです。著者らは、栄養価があることを病気の予防や治療の効果と同一視すべきではないと強調しています。サポニンやアルカロイドが検出されたことから抗栄養的な影響も考慮が必要であり、ミネラルがどれだけ体に吸収されるか、安全に摂取できる量はどのくらいかといった点は、この分析だけでは分からないとしています。身近なハーブの中身を数値で示しつつ、その数値が意味する範囲を慎重に区切った研究といえます。

原著論文の著者・所属:MOHAMMED, Umar Manko(Department of Chemistry, Faculty of Science, Federal University of Education, Kontagora, Nigeria)、AKPOKIERE, Roseline Ugbede(Department of Chemistry, Faculty of Science, Federal University of Education, Kontagora, Nigeria)、FANIKA Suleiman(Department of Chemistry, Faculty of Science, Federal University of Education, Kontagora, Nigeria)、USMAN Abdullahi Muhammad(Department of Chemistry, Faculty of Science, Federal University of Education, Kontagora, Nigeria)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):MOHAMMED, Umar Manko, AKPOKIERE, Roseline Ugbede, FANIKA Suleiman, et al. Proximate, Phytochemical and Mineral Assessment of Cymbopogon citratus Leaf. KONTAGORA JOURNAL OF INTELLECTUAL DISCOURSE 2026-09-22. DOI: 10.5281/zenodo.22891653. 原著ライセンス:CC BY.