この研究は、バングラデシュの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Jahangirnagar University Journal of Biological Sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:ほとんど調べられてこなかった食べ物
竹の種子から採れる穀粒は「竹米(バンブーライス)」と呼ばれます。著者らによれば、竹米は独特でありながらこれまでほとんど調べられてこなかった食材で、バングラデシュの先住民の人々や経済的に恵まれない人々のあいだで、栄養価と薬としての価値を認められて伝統的に食べられてきました。
そこで本研究は、実際に採取した竹米の粒がどのような形をしていて、どんな成分をどれだけ含んでいるのかを測定し、記録することを目的としています。
何を調べたか
著者らは、ディナジプール県フルバリ郡で採取した竹米の粒を対象に、大きく四つの側面から分析を行いました。粒の形や大きさといった形態の測定、「一般成分分析(proximate analysis)」と呼ばれる水分・タンパク質・繊維などの基本的な栄養成分の測定、ミネラル含量の測定、そして機能性成分(植物がつくる生理活性のある化学成分)のスクリーニングです。
このうち機能性成分の調査は「定性的」なスクリーニング、つまり「その成分が含まれているかどうか」を確かめる方法で行われました。含有量が何グラムかを数値で示す「定量」とは異なる点に注意が必要です。
報告された主な結果
まず見た目と形について、論文は竹米の粒が金属的なブロンズ色をしていると記述しています。粒の長さは平均6.87±0.54ミリメートル、1粒の重さは平均13.54±3.01ミリグラムと報告されました。
一般成分分析では、水分が10.15%、乾物(水分を除いた固形分)が89.9%、粗タンパク質が10.1%、粗繊維が5.65%、灰分(燃やした後に残るミネラル分の総量)が4.45%でした。代謝エネルギー、つまり実際に体内で利用できる熱量は、動物を基準とした算定で1キログラムあたり2943.51キロカロリー、人を基準とした算定で3295キロカロリーと示されています。
さらに栄養プロファイルとして、総タンパク質が7.81%、アミロース(デンプンの一種で、その割合が炊いたときの粘りや食感に関わる成分)が22.10%と報告されました。必須ミネラルについては、亜鉛が13.21 ppm、鉄が4.36 ppm、カルシウムが53.12 ppm、リンが1キログラムあたり2.44グラムという値が挙げられています(ppmは100万分の1を表す濃度の単位です)。
機能性成分のスクリーニングでは、炭水化物、クマリン、フラボノイド、配糖体(グリコシド)、フェノール、樹脂、サポニン、タンニン、テルペノイドといった複数の生理活性成分の存在が確認されました。
この結果が示すこと
著者らは、これらの測定結果から竹米にはかなりの栄養成分と薬用成分が含まれており、食品および医薬としての有用性という従来の言い伝えを裏づけるものだと述べています。また論文は、竹米が食生活の多様化、食料安全保障、バングラデシュにおける持続可能な栄養の面で活用される可能性を示すものだとしています。
地域で長く食べられてきた食材について、その中身を測って記録に残すこと自体が、こうした議論の出発点になります。本研究はそのための基礎的なデータを提供したものと位置づけられます。
著者:Sium Ahmed(Cell Genetics and Plant Biotechnology Laboratory, Department of Biotechnology and Genetic Engineering, Jahangirnagar University, Savar, Dhaka-1342, Bangladesh)、Najnin Islam Likhon(Cell Genetics and Plant Biotechnology Laboratory, Department of Biotechnology and Genetic Engineering, Jahangirnagar University, Savar, Dhaka-1342, Bangladesh)、Sultan Mahmud Shahin(Cell Genetics and Plant Biotechnology Laboratory, Department of Biotechnology and Genetic Engineering, Jahangirnagar University, Savar, Dhaka-1342, Bangladesh)、Habibul Bari Shozib(Grain Quality and Nutrition (GQN) Division, Bangladesh Rice Research Institute (BRRI), Gazipur-1701, Bangladesh)、Abdullah Mohammad Shohael(Cell Genetics and Plant Biotechnology Laboratory, Department of Biotechnology and Genetic Engineering, Jahangirnagar University, Savar, Dhaka-1342, Bangladesh)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sium Ahmed, Najnin Islam Likhon, Sultan Mahmud Shahin, et al. Evaluation of morphology, nutrition, and phytochemicals in bamboo rice from Bangladesh. Jahangirnagar University Journal of Biological Sciences 2026-09-23. DOI: 10.3329/jujbs.v14i1.93590. 原著ライセンス:CC BY.