著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Sehat Rakyat Jurnal Kesehatan Masyarakat

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

思春期は身長や筋肉、生殖器官、認知機能が急速に発達する時期で、必要な栄養素の量が増えます。著者らによると、この時期の食習慣は、肥満や2型糖尿病、心血管疾患といった成人期の健康状態にも長く影響しうるとされています。

近年、動物福祉や環境への配慮、宗教や倫理、健康によいというイメージなどから、ベジタリアン食を選ぶ10代が増えています。ベジタリアン食とは肉・鶏肉・魚介類を避ける食事で、乳製品や卵をとる型から、動物性食品を一切とらないヴィーガンまで、制限の度合いはさまざまです。著者らは、成長期の若者にとってこの食事には利点とリスクの両面があると考えました。そこで2026年までの新しい研究をもとに、利点、リスク、安全に実践するための方策を、公衆衛生の観点、特にインドネシアのような途上国の状況を踏まえて整理することを目指しました。

どのように調べたか

研究チームは医学文献データベースのPubMedとGoogle Scholarで、2016年から2026年に発表された論文を検索しました。思春期、ベジタリアン食やヴィーガン食、植物性中心の食事、栄養状態や成長、欠乏などを組み合わせたキーワードを用いています。

対象としたのは、10〜18歳の若者を扱い、ベジタリアン食と健康への影響、栄養状態、身体の成長、栄養素の充足との関係を調べた査読付きの原著論文です。選別の過程は、系統的レビューの報告指針であるPRISMAの流れ図に沿って示されました。残った論文の質は、研究デザインごとの評価ツール(JBIクリティカル・アプレイザル・ツール)で確認しています。最終的に採用された研究には、思春期の若者に加えて若年成人を対象としたものも含まれ、横断研究や対照試験などが含まれます。著者らはこれらの研究を、利点、リスク、栄養素の充足、実践上の方策といったテーマごとにまとめ、叙述的に統合しました。

主な結果:利点と注意点

著者らの報告では、ベジタリアン食をとる若者は、体格指数(BMI)が低いこと、血中の脂質の状態がよいこと、食事全体の質が高いことと関連していました。食物繊維、葉酸、ビタミンC、マグネシウムの摂取量が多い傾向もみられました。さらに、自分で献立を考えたり食品表示を読んだりする機会が増えるため、栄養への意識や健康的な食行動が高まる可能性も示されています。ただし、これらの多くは関連として報告されたものです。

一方で、十分に計画されていないベジタリアン食では、ビタミンB12、鉄、カルシウム、亜鉛、ビタミンD、オメガ3脂肪酸が不足するリスクが高まりうると著者らは指摘しています。ビタミンB12は主に動物性食品に含まれる栄養素です。植物性食品に含まれる鉄(非ヘム鉄)は、肉に含まれる鉄より体に吸収されにくいとされます。そのため貧血のリスク、とりわけ月経で鉄を失う女子のリスクが懸念されると述べています。また、ベジタリアン食が過度な食事制限や摂食障害を覆い隠す形で利用される場合があること、肉料理中心の学校や家庭行事で孤立しやすいことといった心理的・社会的な課題にも触れています。

こうした点を踏まえ、著者らは栄養教育、栄養状態の定期的な確認、栄養素を強化した食品の利用、適切なサプリメントの活用が必要だとしています。インドネシアの状況に即した工夫としては、テンペなどの発酵大豆食品をビタミンCの多い果物と組み合わせることや、食事の前後にお茶を控えることなどを提案しています。

この研究が示すこと

このレビューは、10代のベジタリアン食を「よい」か「悪い」かの二択で捉えるのではなく、計画のしかた次第で健康上の利点にも栄養不足のリスクにもつながりうる食事として描いています。成長期の若者がこの食事を選ぶ場合、本人だけでなく家族や学校、医療・栄養の専門家が一緒に支える体制が大切だというのが、著者らの主なメッセージです。

原著論文の著者・所属:Rebecca Sharlene Ayentha Herdianto(Universitas Airlangga)、Adji Aisy Tavania Zahra(Universitas Airlangga)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rebecca Sharlene Ayentha Herdianto, Adji Aisy Tavania Zahra. Keuntungan dan Kerugian Diet Vegetarian pada Remaja : Kajian Literatur. Sehat Rakyat Jurnal Kesehatan Masyarakat 2026-08-07. DOI: 10.54259/sehatrakyat.v5i3.8241. 原著ライセンス:CC BY.