著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Indonesian Journal of Global Health Research

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

高血圧は年々患者が増えている公衆衛生上の課題で、心臓病や脳卒中、腎臓の障害の大きな危険因子とされています。著者らによると、インドネシアでも働く世代から高齢者まで高血圧が多くみられ、予防と健康づくりの取り組みが重要になっています。

薬を使わない対策の一つに「DASH食」があります。DASHは「高血圧を止めるための食事法」を意味する英語の頭文字で、果物、野菜、低脂肪の乳製品、ナッツ類などを多くとり、塩分(ナトリウム)、飽和脂肪、加えた糖分を控える食べ方です。ただし著者らは、この食事を続けられるかどうかは本人の知識だけでなく、食事を用意し生活習慣を支える家族の協力にも左右されると指摘しています。

そこで研究チームは、DASH食に関する健康教育を家族も含めて行うことが、高血圧の人の血圧を下げることにどの程度役立つのかを、既存の研究を整理する文献レビューによって分析することを目的としました。

どのように調べたか

著者らは、PubMed、ScienceDirect、ResearchGateという論文データベースで、2020年から2025年に発表された論文を「健康教育」「DASH食」「高血圧」の組み合わせで検索しました。見つかった339本の論文について、題名、主題、要旨、方法、結果を順に確認して絞り込み、最終的に8本を分析対象としました。この選別には、文献の選び方を透明に示すための国際的な手順であるPRISMAの流れ図が用いられています。

対象となった研究は、ポーランド、中国、アメリカ、インドネシアで行われたものです。多くは教育の前後で変化を比べる準実験研究で、ほかにくじ引きのような方法で参加者を振り分けるランダム化比較試験が1本、ある時点の状態を調べる横断研究が1本含まれていました。教育の形も、講義とリーフレット、オンラインでの集団教育などさまざまでした。

主な結果

著者らの整理によると、DASH食についての健康教育は、主に三つの面で好ましい変化と結びついていました。一つ目は知識です。教育を受けた後、高血圧の食事についての知識が統計的に意味のある水準で高まったと報告する研究がありました。

二つ目は食事を守る度合い(アドヒアランス)です。講義やリーフレットなどを用いた教育の後、患者がDASH食を守る度合いが統計的に意味のある水準で改善したと複数の研究が報告していました。三つ目は血圧で、DASH食の教育を受けた人では、教育前と比べて上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)がともに下がったとする研究が含まれていました。著者らは、塩分摂取が減り、カリウム、マグネシウム、食物繊維の摂取が増えることが血圧の調整に関わっていると説明しています。

また、オンラインの集団教育によって、DASH食の知識に加えて、やる気、自分ならできるという感覚(自己効力感)、自分で健康管理する行動も高まり、血圧の管理につながったとする研究も紹介されています。著者らは、家族が食事の準備や献立の計画、本人の励ましを担う「主な支え手」であることを重視し、これらの結果を総合して、家族を巻き込んだDASH食の教育は知識、食事の順守、血圧低下に効果的だと結論づけています。

この研究が伝えること

このレビューは、高血圧の食事療法を成功させるには、本人に知識を伝えるだけでなく、日々の食卓を共にする家族の支えが大切だという視点を示しています。著者らは、医療者が家族を含めたDASH食の教育に取り組み、医療機関がそれを予防や健康づくりの活動に継続的に組み込むことを提言しており、薬に頼らない高血圧対策の一つとして、家族ぐるみの食習慣づくりに目を向ける意義を伝えています。

原著論文の著者・所属:Putri Nurlia Angggraini(Universitas Muhammadiyah Surakarta)、Abi Muhlisin(Universitas Muhammadiyah Surakarta)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Putri Nurlia Angggraini, Abi Muhlisin The Effectiveness of Family-Based Health Education on the Dash Diet (Dietary Approaches to Stop Hypertension) in Reducing Blood Pressure among Patients with Hypertension: A Literature Review. Indonesian Journal of Global Health Research 2026-08-02. DOI: 10.37287/ijghr.v8i4.1897. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。