味噌汁に乾燥わかめを入れるとき、「乾物は塩分が高い」と聞いて手が止まったことはないでしょうか。カットわかめ(乾)食塩相当量は、可食部100gあたり23.5g。数字だけを見れば、たしかに塩の塊のようです。

ただしこれは「100g食べたら」という前提の数字です。汁椀に入れる乾燥わかめは1人分で2gぐらい、大さじ1杯でも3gぐらい。大さじ1杯なら、汁に入る食塩相当量はおよそ0.7gという計算になります。

乾かすと、同じ重さの中に成分が詰まる

乾物は水分が抜けているぶん、同じ100gの中に成分がぎゅっと詰まった状態になります。だから100gあたりで見ると、ヨウ素10000µg、ビタミンK1600µg、カルシウム870mg、マグネシウム460mgと、どれも大きな数字が並びます。

ヨウ素の推奨量(成人30〜49歳)は男女とも140μg。ヨウ素は甲状腺ホルモンをつくる材料で、成長や発達、エネルギー代謝に関わる栄養素とされています。耐容上限量が決められている成分でもありますが、汁物に使う数gであれば、通常の食事の範囲で心配する量ではありません。カルシウムは骨や歯をつくる主な材料で、マグネシウムもまた、骨づくりと多くの酵素のはたらきに関わる栄養素とされています。

塩を使う乾物と、使わない乾物

では、冒頭の23.5gも乾かして濃くなったものなのでしょうか。カットわかめは、湯通しして塩蔵したわかめを食塩水で洗ってから乾かします。乾かす前に、塩水を通っているわけです。

もう一つの乾物、きくらげ(乾)と並べると違いがはっきりします。売られているきくらげの多くは、菌床で育てたものを乾かしたもので、塩は使いません。食塩相当量は100gあたり0.1gです。乾かせば成分が濃くなるのは同じで、きくらげもを100gあたり35mg持っています。この2つを分けているのは、乾かしたかどうかではなく、塩を使って作られたかどうかでした。

ほかの具は、どれくらい塩を持っているか

では、汁物のほかの具はどうでしょうか。たとえばゆでただいこん(皮つき)の食塩相当量は可食部100gあたり0g、根深ねぎも0g、豚ばら肉が0.1g、しろさけが0.2g。わかめの23.5gとは桁が違います。この4つに関していえば、椀の塩気は具のほうからはほとんど入ってきません。塩気が気になるときは、具の数字より、だしや味噌・しょうゆの量を見るほうが実態に近いでしょう。

もっとも、この4つが椀に持ち込むのは塩だけではありません。しろさけは1切れがおよそ100g。100gあたりのたんぱく質22.3gが、ほぼそのまま一切れぶんになります。豚ばら肉は薄切り1枚で20gぐらい。飽和脂肪酸は100gあたり14.6gとこの中では最も多く、豚汁のこくはこの脂に支えられています。ゆでただいこんは100gあたり15kcal、食物繊維総量1.6g。根に細かな穴が無数にあって味が染み込みやすいとされていて、だしを吸わせて何切れも食べられます。根深ねぎは1本165gぐらいですが、これは株元も緑の葉もつけたまま量った、買ったときの重さです。落として刻めば、椀に入るのはこれより少なくなります。乾物と違って、こうした具は入れる量を自分で加減できます。

つまり成分の値はどれも同じ「可食部100gあたり」でそろえてありますが、受け取り方は二通りに分かれます。さけのように、1切れで100gに届くもの。わかめやきくらげのように、実際に使うのはその何十分の一かというもの。乾物の数字が大きく見えるのは、成分の量り方が違うからではなく、100gという単位が実際に口に入る量から遠いからです。

まとめ

乾物の数字は、そのままでは食卓の数字になりません。かといって、少ない量の中にヨウ素やビタミンK、カルシウムが詰まっていることは変わりません。次に乾物の数字を目にしたときは、100gあたりの値をいったん自分が使う量に置き換えてみてください。同じ数字が、違って見えるはずです。

【摂取量の目安】きくらげ 乾ビタミンDが100gあたり85µgと、今回の食品の中で最も多い値です。ビタミンDには耐容上限量が定められていますが、きくらげの目安量は10個で約5gなので、汁物に加える程度の量で上限を心配する必要はまずありません。

※ここでの栄養素の働きは一般的な知識の説明であり、特定の食品の効果を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」e-ヘルスネット「ナトリウム」(厚生労働省)