骨をつくる材料といえばカルシウムですが、そのカルシウムを腸でしっかり吸収するために欠かせない相棒がビタミンDです。油に溶ける性質をもつ脂溶性ビタミンで、日本人の食事摂取基準では、女性30〜49歳の目安量は1日9µgとされています。

このビタミンDには、ほかの多くの栄養素にはない特徴があります。皮膚に日光(紫外線)が当たると、体の中でもつくられるのです。つまり食事だけが唯一の供給源ではない――この「もう一つのルート」の存在が、食品ランキングの読み方を少し変えてくれます。

ランキングの逆説――上位3食品が、100gで上限超え

ビタミンDには、摂りすぎを防ぐための耐容上限量(成人で1日100µg、18歳以上の男女共通)が定められています。日常的にこの量を超えて摂り続けると、健康への悪影響が心配される目安です。おもしろいのは、ランキング上位3食品が、いずれも可食部100gあたりでこの上限を超えているという点です(以下の数値はすべて可食部100gあたり)。

第1位は乾燥あらげきくらげで130µg。耐容上限量100µgの約1.3倍にあたります。とはいえ乾燥きのこですから、100gといえば相当な量。実際の料理で使う一回分はずっと少なく、神経質になる必要はありませんが、「数字の上では上限を超える濃さ」だと知っておくと、戻す量の感覚がつかみやすくなります。

第2位はかつおの塩辛で120µg、上限の約1.2倍。ただし食べる量は大さじ1杯・約18gほどで、これに換算するとビタミンDは約22µg。目安量9µgはしっかり満たす量です。一方で食塩相当量は12.7gと高く、まさに調味料。少量ずつ味わうのが似合う一品です。

第3位はあんこうの肝で110µg、上限の約1.1倍。1切れ・約50gでも約55µgと高水準です。さらにこの肝には、ビタミンAの一種であるレチノールが8,300µg含まれます。ビタミンA(30〜49歳女性)の耐容上限量2,700µgRAEの約3.1倍にあたり、ビタミンDとビタミンAの両方で摂りすぎに注意したい食品です。珍味としてたまに少量を楽しむ食文化の範囲なら自然ですが、毎日くり返し食べる種類のものではありません。

上限に届かない4位・5位も、一度にたくさんは食べない

第4位の乾燥きくらげは85µg。10個・約5gに戻して使うと約4µgで、目安量9µgの範囲に収まります。コリコリした独特の食感は少量でも料理のアクセントになり、毎日の常備菜にも向きます。

第5位の味付けして開き干しにしたうまづらはぎは69µg。干物という形ですから、一度に100gを食べることはまずありません。現実的な量なら、摂りすぎを心配する場面は少ないでしょう。

「食べて補う」より「浴びてつくる」が基本線

こうして並べてみると、ビタミンDが豊富な食品は、上位に来るものほど一度にたくさんは食べられない顔ぶれです。塩辛・乾物・肝――どれも「少しを味わう」食材で、毎日大量に食べて摂取量を稼ぐ作戦が、そもそも成り立ちません。

これは、ビタミンDが「日光を浴びて皮膚でつくられる」ことと表裏一体です。日常的に日光を浴びることが基本の供給源で、食品はそれを補う脇役、と位置づけると無理がありません。油と一緒だと吸収が高まるとされるので、きくらげを炒め物に使うなど、油を使う調理はちょっとした工夫になります。

ビタミンDのランキングは、「1位を積極的に食べよう」ではなく、「量と頻度を無理なく保ちつつ、日光と組み合わせて全体のバランスをとる」と読む――それが、このデータが教えてくれる実用的な楽しみ方です。

※本記事は特定の食品の効果・効能を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。