7月26日は土用の丑の日にあたる。夏の暑さで食欲が落ちるこの時期に、栄養豊富な「う」のつく食べ物を口にすると夏バテをしないという言い伝えから、うなぎを食べる風習が今に伝わっている。この「う」のつくものとしては、鰻のほかに梅干し・うどん・瓜なども挙げられてきた。ところで、細長い体つきのうなぎに姿の似た魚は少なくない。あなごはうなぎに似た細長い白身魚で、どじょうや、うなぎの代用として名の挙がるなまずもそのひとつだ。どれもたんぱく質が豊富で、100gあたりで見るとうなぎ17.1g、あなご17.3g、どじょう16.1g、なまずに至っては18.4gと、女性30〜49歳の推奨量50g/日(日本人の食事摂取基準)の3〜4割ほどを一皿で担ってくれる。数字だけを並べれば、実はなまずが一番たんぱく質に富んでいる。それでもうなぎが土用の丑の日の顔であり続けるのには、もう一つ別の理由がある。

うなぎだけに並ぶ、二つの数字

うなぎの可食部100gには、ビタミンDが18µg含まれている。これは女性30〜49歳の目安量9µg/日のちょうど2倍にあたる量だ。ビタミンDは骨の材料であるカルシウムが腸で吸収されるのを助けるとされる栄養素で、日光を浴びることでも体内でつくられるが、食事から補うことも大切だとされている。そしてこのビタミンD、脂に溶ける性質を持つため、油脂と一緒にとると吸収率が高まるという性質がある。ここでうなぎのもう一つの数字が効いてくる。100gあたりの脂質は19.3gと、あなごの9.3g、なまずの8.6g、どじょうの1.2gと比べても突出して多い。つまりうなぎは、ビタミンDの多さと脂質の多さという二つの特徴を、一つの食材の中に併せ持っている。うなぎに似た魚を並べてみても、この二つがそろって際立つのはうなぎだけだった。土用の丑の日にうなぎが選ばれ続けてきたことと、この数字の並びは、どこか重なって見える。あわせてビタミンEの一種であるα-トコフェロールも7.4mgと、女性30〜49歳の目安量6.0mg/日を上回り、脂質の酸化を防いで細胞膜の機能維持に関わるとされる。エネルギーは100gあたり228kcalで、1尾約200gを目安に楽しみたい。

脇を固める夏の食卓の魚たち

あなごは100gあたり脂質9.3g、エネルギー146kcalとうなぎよりやや軽やかで、江戸前寿司や天ぷらでもおなじみの魚だ。どじょうは丸ごと食べる小魚らしく、100gあたりカルシウムが1100mgと非常に多く、女性30〜49歳の推奨量650mg/日の169%にあたる。柳川鍋などで丸ごといただく食文化に、この数字が重なる。なまずは100gあたりたんぱく質18.4g、脂質8.6gとバランスがよく、近年はうなぎの代用として名前が挙がることも増えた魚だ。この時期の食卓には、夏の旬を土用しじみと呼ぶしじみも欠かせない。行事とは直接結びつかないが、暑さの残るころに出回るさつまいももちを副菜や間食に添える手もある。しじみは100gあたり8.3mgと、女性30〜49歳(月経なし)の推奨量6.0mg/日の138%にあたる量を含む食材で、蒸したさつまいもは100gあたり炭水化物31.9gのうち麦芽糖9.2gが糖類の中で最も多く、甘みの中心を担っている。

まとめ

土用の丑の日は「う」のつく食べ物で夏をしのぐ食養生の日として親しまれ、その顔がうなぎだ。数あるうなぎに似た魚の中でうなぎだけが、ビタミンDの多さと脂質の多さを一皿の中に併せ持つという一点で、他の食材と一線を画している。今年の丑の日にうなぎを選ぶなら、その一切れに脂質とビタミンDが並んでいることを思い浮かべてみると、いつもの蒲焼きが少し違って見えてくるはずだ。

【摂取量の目安】うなぎ 養殖 生は、ビタミンAレチノール)が1食(約200g)で耐容上限量2700μgRAEの約1.8倍(100gでは約89%)にあたります。 ビタミンA・Dは脂溶性で体に蓄積しやすいため、多量・連日の摂取やサプリメント併用、妊娠中は過剰摂取に注意が必要とされます(通常の食事で時折とる分には問題になりにくいとされます)。

※本記事は特定の食品の効果・効能を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準e-ヘルスネット「カルシウム」(厚生労働省)