うなぎはカロリーが高い——そう思って遠ざけている人がいるとしたら、もったいない話かもしれない。うなぎ(養殖・生)の可食部100gあたりのビタミンDは18µg。脂質は19.3gある。この二つの数字が、今回の記事の背骨になる。

ビタミンDは、骨の材料であるカルシウムが腸で吸収されるのを助けるビタミンだ。そして脂溶性、つまり油脂に溶ける性質を持つため、油脂と一緒にとると吸収率が高まるとされている。うなぎに豊富な脂質が、同じうなぎのビタミンD吸収を後押しする——これが「こってり食材ほど骨に届く」という逆説の中身だ。また、ビタミンDは日光(紫外線)を浴びることで皮膚でも生成される点が、他の多くの栄養素と異なる特徴でもある。

1尾(約200g)を食べた場合、ビタミンDは約36µgとなる。日本人の食事摂取基準に照らすと成人(30〜49歳)の目安量は男性9µg・女性9µgだ。なお、ビタミンDには耐容上限量が設定されているため、サプリメントや強化食品と重複して大量摂取する場合は注意が必要だが、うなぎを通常の一食量で食べる範囲では過剰摂取を心配する必要はない。

旬の6品——それぞれの「一点突破」

まあじ:たんぱく質とセレンの実力

「あじ」といえばまあじ(皮つき・生)を指すのが一般的だ。たんぱく質は可食部100gあたり19.7gと魚介類の中でも充実しており、セレンは46µgある。1尾(約160g)換算では可食部が55%の廃棄率を差し引くと約72gの可食量になるため、数値はその分スケールする点も頭に置いておきたい。セレンは成人(30〜49歳)の推奨量は男性35µg・女性25µgであり、耐容上限量も設定されている栄養素のため、複数の食品から重ねてとる場合は合計量を意識するとよい。

まだこ:低脂質で高たんぱく

たこ類の中で最も多く出回るまだこ(皮つき・生)は、可食部100gあたりたんぱく質16.1g、脂質わずか0.9gという構成が特徴だ。足1本(約150g)であれば約24gのたんぱく質を摂れる計算になる。低脂質でたんぱく質をとりたいときに選びやすい食材だ。

スイートコーン:淡色野菜の食物繊維源

スイートコーン(未熟種子・生)は甘みの強い品種で、ハニーバンタムが代表的な淡色野菜だ。可食部100gあたり食物繊維3g、エネルギー89kcalで、果糖2.2g・ぶどう糖2.4gも含む。1本(約300g)は廃棄率が50%あるため可食量は約150gとなり、そこから食物繊維は約4.5g摂れる計算になる成人(30〜49歳)の目標量は男性22g以上・女性18g以上。鮮度が命の食材で、すぐに食べない場合は皮をむかずまるごと冷凍保存すると品質を保ちやすい。冷凍したものは解凍時に皮をむいて使う。

えだまめ:葉酸の宝庫

えだまめ(生)の可食部100gあたりの葉酸は320µgだ。葉酸は核酸の生合成に関わり、赤血球の形成や胎児の発育に関わる栄養素で、成人(30〜49歳)の推奨量は男性240µg・女性240µgとされている。さやつき10さや(約30g)では廃棄率45%を差し引いた可食量約16.5gあたりの摂取となるため、実際の摂取量は参考程度に捉えてほしい。食物繊維も100gあたり5gある。

みょうが:水分95.6%の薬味

花が咲く前のつぼみと若茎を食べるみょうが(花穂・生)は、可食部100gあたり水分が95.6gを占め、エネルギーは11kcalと極めて低い。1個(約20g)はごく少量だが、薬味として複数使うことで食物繊維(100gあたり2.1g)も少しずつ積み重ねられる。

実践:油脂と組み合わせる、が合言葉

今回の6品を日常に取り込むポイントは、「脂溶性ビタミンDを含む食材は、油脂と一緒にとる」という一点だ。うなぎのかば焼きはそれ自体に脂質が含まれているため、そのままでビタミンDの吸収に有利な条件が整っている。まあじも、オリーブ油を使ったソテーや南蛮漬けにすると油脂と組み合わせた食べ方になる。

えだまめはビールのお供として塩ゆでで食べることが多いが、ごま油で和えるだけで脂溶性成分の吸収環境が整う。スイートコーンはバターと一緒に焼くのが定番で、これも理にかなっている。まだこはたたきにしてごま油をかけ、みょうがを薬味に添えれば、さっぱり感と油脂のバランスがとれた一皿になる。

旬の食材を「組み合わせ」で選ぶ

産地の旬にあわせて食材を選ぶことは、鮮度や味の良さにつながるだけでなく、栄養の面でも理にかなった選び方だ。特にビタミンDのように脂溶性の栄養素は、食材単体の数値だけでなく「何と一緒に食べるか」が吸収量を左右するとされている。うなぎを起点に、まあじ・まだこ・えだまめ・スイートコーン・みょうがと旬の食材を油脂と組み合わせる選び方は、骨の健康を意識する人にとって実践しやすい入り口になる。食卓の組み合わせを少し意識するだけで、届く栄養の量が変わってくる——そんな小さな発見が、日々の選択を少しだけ楽しくしてくれるはずだ。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」(厚生労働省)