著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:African Journal of Nutrition and Applied Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

新鮮な熱帯果実は水分が多く傷みやすいため、保存や輸送の設備が不十分だと品質が落ち、収穫後のロスにつながります。そこで果実を粉末のような日持ちする形に加工する方法が注目されています。

この研究は、ナイジェリアで栽培されているスイカ、スイートオレンジ、マンゴーの3種類を混ぜたピューレを「噴霧乾燥」で粉末にし、その工程で栄養成分の組成がどう変わるかを調べたものです。噴霧乾燥とは、液状の原料を細かい霧にして熱風の中に吹き込み、水分を短時間で蒸発させて粉にする方法です。著者によると、個々の果実や別の組み合わせの粉末は多く研究されてきた一方、この3種類を組み合わせた粉末については情報が限られていました。

どのように調べたか

研究チームはまず、3種類の果実の配合比率が異なる6種類の混合ピューレを用意し、50人の評価者に色、味、香り、口当たり、とろみ、総合的な好ましさを「非常に嫌い」から「非常に好き」までの9段階で評価してもらいました。総合的な好ましさの点数が最も高かったのは、スイカ50%、オレンジ30%、マンゴー20%の配合で、これが粉末化に選ばれました。

選んだピューレには、乾燥を助ける添加材としてデンプン由来の糖質であるマルトデキストリンを20%(重量比)加えました。マルトデキストリンは、果実の糖分による粉のべたつきを抑えるためによく使われる材料です。乾燥機の入口の熱風温度は160℃、原料の供給速度は毎時400mLとしました。

そのうえで、乾燥前の新鮮な混合ピューレとできあがった粉末について、水分・灰分(ミネラルの総量の目安)・たんぱく質・粗繊維・脂質・炭水化物といった基本成分に加え、ビタミン、ミネラル、アミノ酸の量を測定し、両者を比べました。

主な結果

噴霧乾燥によって、水分は83.45%から2.83%まで大きく下がりました。製品100gあたりで見ると、灰分は0.74%から1.11%、たんぱく質は0.96%から3.49%、粗繊維は0.74%から1.21%に増え、炭水化物は13.61%から91.05%に増えました。一方、脂質は0.50%から0.31%に減り、基本成分のなかで減少したのは脂質だけでした。

ミネラルでは、乾燥前後ともカリウムが最も多く含まれており、100gあたり62.16mgから90.93mgに増えました。カルシウム、鉄、リン、マグネシウムなど、ほかのミネラルも粉末のほうが測定値が高くなりました。ビタミンについても、ビタミンCが100gあたり5.25mgから17.85mgになるなど、多くの種類で粉末の測定値が高くなりましたが、葉酸(ビタミンB9)は変わらず、ビタミンB12はどちらからも検出されませんでした。

アミノ酸もほとんどの種類で粉末のほうが多く測定されました。特に、スイカに特徴的なアミノ酸であるL-シトルリンは100gあたり118.05mgから181.43mgに、L-アルギニンは108.67mgから179.18mgに増えました。例外としてグルタミン酸は27.27mgから14.94mgに減っていました。

結果の意味

この研究は、スイカ・オレンジ・マンゴーの混合ピューレから、水分の少ない粉末を作れることを示しました。粉末では多くの栄養成分が製品重量あたりで高い値になりました。

ただし著者らは、こうした増加は乾燥で栄養素が増えたり、よく保たれたりしたことを意味するのではないと注意を促しています。水分が抜けて同じ成分がより少ない重さに詰まったことや、マルトデキストリンを加えたことが数値に影響しているためです。炭水化物の大幅な増加も、この添加材を含んだ値です。実際に乾燥の過程で栄養素がどれだけ保たれたかを確かめるには、水分を除いた固形分あたりの比較や、乾燥前後の成分の総量を照らし合わせる評価が必要だと論文は述べています。

原著論文の著者・所属:Jack Amedu Ankeli(Department of Food Science and Technology, University of Mkar, Mkar, Benue State, Nigeria)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jack Amedu Ankeli. Effect of Spray-Drying on the Nutritional Composition of Watermelon–Orange–Mango Composite Fruit Powder. African Journal of Nutrition and Applied Research 2026-10-17. DOI: 10.54117/bpmw3y08. 原著ライセンス:CC BY.