ゼリーが固まるのは、ゼラチンのはたらきです。ゼラチンは、動物の皮や骨にあるコラーゲンを加熱して取り出したもの。プロリンは、そのコラーゲンに多く含まれるアミノ酸のひとつです。聞き慣れない名前だと思いますが、ゼリーを食べたことがあれば、知らないうちに口にしています。

プロリンには日本人の食事摂取基準のような「1日にこれだけ」という目標はありません。それでも、どんな食品に多いのかを多い順に並べてみると、上位に来たのは生の肉でも魚でもありませんでした。

いちばん多いのは、コラーゲンをそのまま粉にした食品

1位はゼラチンで、可食部100gあたり13000mgです。プロリンの出どころがコラーゲンなら、この結果は素直にうなずけます。ゼラチンのアミノ酸を多い順に見ると、先頭はグリシン24000mg。次がプロリンと、その仲間のヒドロキシプロリンで、どちらも13000mgです。

脂質は0.3gとほとんどなく、たんぱく質が87.6g。中身はほぼたんぱく質、という粉です。使う量は小さじ1杯で3.3gぐらい、大さじ1杯で9.8gぐらいですから、まとめて口にする食品ではなく、ゼリーなどを固めるために少しずつ使うものです。

小麦にも、牛乳にも同じアミノ酸がある

2位は小麦たんぱく(粉末状)で12000mgです。小麦粉からグルテンだけを分けて取り出した粉で、ハムやソーセージなどの畜肉加工品、かまぼこなどの練り製品、それにパンや菓子にも使われています。プロリンは動物の皮や骨に由来する、と考えていると、小麦が2位に来る理由が説明できません。小麦のたんぱく質そのものにも、ほぼ同じだけ入っているからです。

理由は単純です。プロリンは、たんぱく質をつくる20種類のアミノ酸の一つ。コラーゲンに多いのは確かですが、コラーゲンだけの成分ではありません。原料が動物でも植物でも、たんぱく質を集めればプロリンも一緒に集まってくる。上位の顔ぶれは、そう読めます。なおこの食品でいちばん多いアミノ酸はプロリンではなく、うま味のもとで知られるグルタミン酸で、29000mgあります。

3位のカゼインは10000mgです。牛乳のたんぱく質のおよそ80%を占めるとされる成分で、酸で固めた「酸カゼイン」が食品の原材料に使われます。ここでも最も多いのはグルタミン酸で、19000mgありました。

粉チーズは、ひと振りの量で考える

4位はパルメザンチーズで、5300mg(推定値)でした。ここまでの3つが料理の中に隠れる材料だったのに対して、粉チーズは皿の上にそのままかかります。チーズは牛乳を濃縮して作るので、少ない量でもカルシウムを多く含みます。パルメザンは100gあたり1300mgで、女性30〜49歳の推奨量650mgに対して200%にあたる量です。ただしこれは推奨量に対する割合であって、耐容上限量(成人で1日2500mg)を基準にした数字ではありません。粉チーズを振る量は大さじ1杯で6gぐらい、小さじ1杯で2gぐらい。100gを振ることはありません。

大豆の粉が2つ、同じ値で並ぶ

5位には分離大豆たんぱく(塩分調整タイプ)分離大豆たんぱく(塩分無調整タイプ)が、どちらも4700mgで並びます(調整タイプのほうは推定値です)。同じ値なので、どちらが上ということはありません。大豆から取り出してたんぱく質の純度を高めた粉で、これも畜肉加工品や練り製品、そうざいや冷凍食品の材料になります。2つの違いは食塩相当量で、調整タイプが1.6g、無調整タイプが3.3gです。アミノ酸で多いのはグルタミン酸17000mg、次いでアスパラギン酸10000mgです(いずれも調整タイプは推定値)。

上位に並んだのは、食卓の裏方だった

豚、小麦、牛乳、大豆。原料はばらばらなのに、上位に並んだのはどれも、水気を抜いてたんぱく質の割合を高めた食品でした。ゼラチン、小麦たんぱく、カゼイン、大豆たんぱくはたんぱく質だけを取り出した粉、パルメザンは牛乳を濃縮して熟成させたチーズです。作り方は違っても、上位の顔ぶれを見るかぎり、生の肉や豆をそのまま食べるより、たんぱく質が詰まった食品のほうがプロリンの数字は高く出ています。

そして粉チーズ以外は、ハムやソーセージ、かまぼこ、ゼリーといった食品の材料として使われます。名前を意識されることは、まずありません。ゼリーを一つ食べる、パスタに粉チーズをひと振りする。プロリンという成分は、そういう形で日々の食事に入り込んでいます。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 日本人の食事摂取基準J-STAGE(科学技術振興機構)