イソロイシンは、体の中で作れないため食事から摂る必要がある「不可欠アミノ酸」の一つです。成分表のデータを100gあたりで見比べていくと、含有量の多い食品にはっきりとした共通点が浮かび上がってきます。
結論から言うと、イソロイシンが多い食品は、実は「イソロイシンが主役」の食品ではありません。同じ食品の中身をよく見ると、いつも別のアミノ酸のほうが多く、イソロイシンは脇役に回っているのです。しかもその「別のアミノ酸」の顔ぶれには、驚くほど一貫した共通点がありました。
乳・卵・大豆に共通する「主役の座」
第1位はカゼインで、イソロイシンは100gあたり5000mgです。ところが同じ食品内のアミノ酸量を見ると、グルタミン酸が19000mgと際立って多く、プロリンも10000mgあります。カゼインは牛乳のたんぱく質の主成分ですが、その中身の主役はイソロイシンではなくグルタミン酸だったというわけです。
第2位の乾燥卵白はイソロイシン4400mg(推定値)、脂質はほぼゼロという際立った特徴を持ちます。それでも最も多いのはグルタミン酸12000mg(推定値)でした。卵白は「低脂質のたんぱく質」として語られがちですが、アミノ酸の顔ぶれで見るとやはりグルタミン酸が主役です。
第3位タイの分離大豆たんぱく(塩分調整タイプ)と分離大豆たんぱく(塩分無調整タイプ)は、どちらもイソロイシン4000mg(塩分調整タイプは推定値)で並びます。この2つもグルタミン酸17000mg(塩分調整タイプは推定値)が最多で、大豆でも同じ構図が繰り返されていました。
魚介でも変わらない「グルタミン酸の存在感」
ここまで乳・卵・大豆と続いてきましたが、顔ぶれの違う魚介でも構図は変わりませんでした。かずのこ(乾)はイソロイシン3800mg(推定値)。ここでもグルタミン酸11000mg(推定値)が最多です。同じ第5位タイのとびうお煮干しもイソロイシン3800mgで、食品内で最も多いのはやはりグルタミン酸12000mgでした。次いでアスパラギン酸8200mg、リシン7400mgと続きます。乳から魚まで顔ぶれはまるで違うのに、最も多いアミノ酸がそろってグルタミン酸だという点は共通していたのです。なお、とびうお煮干しはカルシウムも100gあたり1200mgと多く、これは30〜49歳女性の推奨量650mg/日の約185%にあたります。ただしこれは推奨量に対する割合であり、一食で食べ切るような食品ではないため、だしや料理に少量ずつ使う形が現実的です。
数字が教えてくれること
イソロイシンの上位食品を並べてみると、乳・卵・大豆・魚介と原料はさまざまなのに、そのどれもがグルタミン酸を最も多いアミノ酸として持っていました。つまり「イソロイシンが多い食品」を集めても、実際に浮かび上がるのはグルタミン酸の存在感だったのです。単一の成分だけを追いかけてランキングを見ると、その食品の実像を見誤ることがあります。気になる栄養素があるときは、その成分の量だけでなく、食品全体のアミノ酸の顔ぶれまで見てみると、思いがけない主役に出会えるかもしれません。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準