クロロゲン酸という名前は聞き慣れなくても、コーヒーのポリフェノール(苦味や色に関わる植物由来成分の一群)と言われれば、なんとなく像が結ぶ人は多いはずです。実際、クロロゲン酸はコーヒー豆に多く含まれる成分として知られています。では、実際のデータでクロロゲン酸が多い食品を見てみると、どんな顔ぶれになるのでしょうか。
上位は「コーヒー」と「桃」だった
日本食品標準成分表(八訂)でクロロゲン酸の値が収載されている食品は3つだけですが、その並びが興味深いのです。
第1位:乳飲料コーヒー
乳飲料 コーヒーは100gあたり56kcal、クロロゲン酸は3mgです。これはコーヒー由来と考えれば納得のいく結果です。コップ半分にあたる½カップ(100mL=105.3g)でも、クロロゲン酸をきちんと摂れる量です。ちなみに、この食品の甘みのもとをたどると、糖の中でもっとも多いのはしょ糖(3.2g)で、乳糖(2.4g)、果糖(1.1g)、ぶどう糖(0.9g)と続きます。乳飲料らしく乳糖もしっかり含まれていますが、甘さの主役はしょ糖でした。
第2位:もも 白肉種 生
ここで意外な食品が登場します。もも 白肉種 生のクロロゲン酸は100gあたり2.2mgで、乳飲料コーヒーに次ぐ2位につけています。1個の目安量は250gなので、1個食べればクロロゲン酸の摂取量としては乳飲料コーヒーの目安量を上回る計算になります。桃に多い有機酸(食品の酸味を支える成分)を見ると、もっとも多いのはリンゴ酸(100gあたり0.3g)で、りんごやぶどうにも含まれる代表的な酸味成分です。脂質やナトリウムはほぼゼロで、酸味と甘みが際立つ果物らしい成分バランスといえます。
第3位:もも 黄肉種 生
同じ桃でも、もも 黄肉種 生になるとクロロゲン酸は100gあたり0.6mgと、白肉種の3分の1近くまで下がります。同じ果物のグループの中でも、品種によって数値の差がはっきり出ています。黄肉種はβ‐クリプトキサンチン(130µg、体内でビタミンAに変わるプロビタミンAの一種)を含む点が特徴で、有機酸ではリンゴ酸(100gあたり0.3g)が最も多く、クエン酸(0.1g)が続きます。こちらも脂質やナトリウムはごく微量で、果物らしい軽やかな成分構成です。
コーヒーだけの成分ではなかった
クロロゲン酸は機能性表示食品の関与成分として使われることもありますが、それはコーヒー由来クロロゲン酸類を特定の配合量で使った場合の事業者による届出に基づくものであり、国が個別に効果を審査・許可したものではありません。また、そうした加工食品としての設計と、今回見てきた食品100gあたりの含有量は、別の軸で見る必要があります。
コーヒー由来というイメージだけでは見えてこなかった、乳飲料コーヒーと桃という組み合わせ。桃は品種によっても含有量が変わることを考えると、次に成分表が更新されたとき、この3件の顔ぶれや数値がどう変わるのかも気になるところです。身近な食品の実データを知っておくことは、こうした成分を「コーヒーだけのもの」と決めつけずに眺める視点につながります。
※本記事は特定の食品の効果・効能を示すものではありません。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。