7月中旬、山梨県の桃畑では白鳳やあかつきといった品種が次々と収穫期を迎えている。山梨県の桃収穫量は全国の約3割にあたる3.3万t(令和5年産)で、全国トップの座を保つ。福島(2.9万t)、長野(9650t)と続く産地の中でも頭一つ抜けた存在感で、まさに今が「盛り」と呼ぶにふさわしい時期だ。笛吹や一宮など県内各地の畑では、朝もぎされたばかりの桃が並び、夏の食卓に旬の甘みを届けている。

白く多汁、とろける食感の正体

山梨で多く作られているのはもも 白肉種 生、いわゆる白桃だ。成分表に山梨ももの個別収録はないため、ここでは一般的な白肉種の実測値で見ていく。白桃は果肉が白く多汁で甘みが強く、とろけるようにやわらかいのが特徴で、生食はもちろん缶詰やネクターにも使われる。100gあたりのエネルギーは38kcal、炭水化物10.2g、食物繊維1.3gと軽やかな数値で、この時期にすっと食べられる果物らしい構成になっている。たんぱく質は0.6gで、女性30〜49歳の推奨量50g/日のわずか1%ほど。桃はあくまで甘みとみずみずしさを楽しむための果実であることがよく分かる。

その甘みや爽やかな酸味を支えているのが有機酸だ。100gあたりでリンゴ酸0.3g、クエン酸0.1g、そしてクロロゲン酸2.2mgという順に含まれており、桃の酸味の主役はりんごやぶどうにも多いリンゴ酸である。一方でクロロゲン酸はコーヒー豆に多く含まれる成分としても知られる。桃をかじったときのすっきりした後味は、こうした有機酸の重なりから生まれている。さらに桃にはソルビトールという糖アルコールも0.3g含まれる。整腸作用があるとされる成分で、白桃のやさしい甘さの一端を担っている。

今だから楽しみたい、山梨ももの食べ方

1個の目安は250gほど。冷蔵庫で冷やしすぎると甘みが十分に出ないため、熟していないものは常温に置いて追熟させ、食べる直前に冷やすのが良いとされる。保存の目安は常温・冷蔵ともに短く、冷蔵なら2日程度で食べきりたい。とろけるような食感を楽しむなら、切ってそのまま、あるいは冷やした白ワインやヨーグルトに添えるのもこの時期らしい味わい方だ。

食べきれない分は冷凍という手もある。ラップで包んでまるごと冷凍すれば約2カ月、カットしてなら約1カ月保存でき、解凍時は常温に30秒ほど置くとするりと皮がむける。半解凍のシャーベット状で食べれば、暑い盛りにひんやりとした桃を楽しめる、これも旬ならではの二度おいしい食べ方だ。

核果という分類に見る桃らしさ

桃は縫合線・果肉・種核・種子・果柄からなる核果類に分類される果物で、桃を品種改良して生まれたネクタリンも同じ仲間に含まれる。名前の由来には「実が赤いところから燃実(もえみ)が転じた」など諸説あるとされ、古くから日本人に親しまれてきた果実であることがうかがえる。山梨の畑で今まさに盛りを迎えている白桃は、そうした長い歴史の延長線上にある、この夏だけの味わいだ。とろけるような一口を、旬の間に存分に楽しみたい。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。