著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Agro Bali Agricultural Journal
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
乳糖不耐症や牛乳アレルギーへの配慮、食生活や環境への関心の高まりから、植物性の発酵食品が注目されています。中でも豆乳ヨーグルトは、牛乳のヨーグルトに代わる選択肢として広がっています。ただし、豆乳は牛乳と性質が異なり、乳製品向けの配合方法がそのまま使えるとは限りません。そのため、品質が安定した製品を作るのは簡単ではないとされます。
著者らは、ワサビノキとも呼ばれる植物モリンガ(Moringa oleifera)の生葉から水で抽出した液を加えた豆乳ヨーグルトに注目しました。この研究の目的は、配合の違いと冷蔵保存の期間が、栄養成分、酸性度などの理化学的性質、菌数にどう影響するかを調べることです。論文によると、乾燥葉の粉末を使った研究と比べて、生葉の抽出液を使った研究は少なく、複数の品質指標を同時に評価した例も限られていました。
何を調べたか
研究チームは、浸水させた大豆から豆乳を作り、加熱殺菌して冷ましました。そこに植物素材と、乳酸菌の一種ラクチプランチバチルス・プランタルムを含むと製造元が表示する市販のスターター(発酵の種)を加え、40℃で21時間発酵させました。
配合は4種類です。配合Aはニンニク抽出液とライム果汁を0.5%ずつ含み、モリンガは入っていません。配合Bはモリンガ抽出液とライム果汁1.0%、配合Cはモリンガ抽出液とニンニク抽出液1.0%を含みます。配合Dはモリンガ抽出液にニンニクとライムを0.5%ずつ加えたものです。それぞれ独立に3回製造しました。
完成品は4℃前後で冷蔵し、7日目と14日目に分析しました。調べた項目は、炭水化物、たんぱく質、脂質、繊維、水分の量、それらから計算したエネルギー値、pHと滴定酸度(酸の量の目安)です。菌数としては、酸素のある条件で増える菌の総数(一般生菌数)と、乳酸菌の数も測りました。
主な結果
多くの項目で、配合、保存期間、またはその組み合わせによる統計的に有意な違いが報告されました。栄養成分では、配合Bが7日目と14日目のどちらでも、たんぱく質、脂質、計算上のエネルギー値が最も高くなりました。例えば7日目の値は、たんぱく質6.51%、エネルギー約77kcal/100mLです。一方、炭水化物は配合Cが最も多い結果でした。どの配合でも、7日目から14日目にかけて、たんぱく質と脂質はわずかに減り、炭水化物はわずかに増えました。なお、エネルギー値は成分量から計算した推定値で、直接測定したものではありません。
pHは7日目には配合ごとに差がありました。しかし14日目には5.84〜5.86の狭い範囲にそろい、統計的な差はなくなりました。滴定酸度はすべての配合で7日目から14日目にかけて下がり、その変化には主に保存期間が影響していました。配合による一貫した差は見られませんでした。
菌数では、配合Dの一般生菌数が7日目に最も低くなりました。ただし14日目には、配合Dは配合B・Cと同程度でした。乳酸菌は配合CとDが両時点で最も多く、配合Dは14日目に1mLあたり6.79 log(約600万個の生菌に相当)でした。CとDの間に統計的な差は示されていません。すべての配合で、乳酸菌数は両時点とも1mLあたり6 log、つまり約100万個を上回っていました。
この研究が示すこと
この研究は、モリンガ生葉の抽出液を含む豆乳ヨーグルトでも、何を組み合わせて配合するかによって、冷蔵7〜14日目の栄養成分や菌数が変わることを示しています。また、保存中の変化の仕方が配合によって異なる項目があることも分かりました。
一方で、著者らは解釈の限界も明記しています。今回の配合ではモリンガ、ニンニク、ライムの量が同時に変わっています。そのため、モリンガ単独の効果は切り分けられていません。また、一般生菌数は有益な菌と有害な菌を区別しないため、安全性は判断できません。乳酸菌が多いことも、それだけではプロバイオティクスとしての働きを示すものではないとしています。この研究は、植物性ヨーグルトの配合と保存中の品質の関係について、比較の手がかりとなる基礎データを示したものといえます。
原著論文の著者・所属:Ita Fatkhur Romadhoni(Universitas Negeri Surabaya)、Lilis Sulandari(Universitas Negeri Surabaya)、Niken Purwidiani(Universitas Negeri Surabaya)、Dwi Iriyani(Universitas Terbuka)、Rita Ismawati(Universitas Negeri Surabaya)、Kristian Triatmaja Raharja(Politeknik Negeri Madura)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ita Fatkhur Romadhoni, Lilis Sulandari, Niken Purwidiani, Dwi Iriyani, Rita Ismawati, Kristian Triatmaja Raharja Nutritional, Physicochemical, and Microbiological Quality of Soy Yoghurt Fortified with Fresh Moringa oleifera Leaf Aqueous Extract During Refrigerated Storage. Agro Bali Agricultural Journal 2026-08-14. DOI: 10.37637/ab.v9i2.2687. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。