著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

なぜ現地製の加工設備を評価したのか

落花生は、たんぱく質や食用油の供給源であると同時に、小規模農家や加工業者の収入源でもあります。ナイジェリアをはじめとするサハラ以南アフリカでは、落花生の加工が食料の確保や雇用、地方の産業づくりに大きな役割を果たしています。加工工程の中でも焙煎は、風味や食感、保存性を高め、ピーナッツバターや菓子などへの加工につなげる重要な工程です。

しかし、中小の加工事業者の多くは、直火で加熱し手でかき混ぜる昔ながらの焙煎方法に頼っています。この方法は手間がかかり、温度の管理も難しいため、焼きむらや品質のばらつき、エネルギーの無駄、収穫後の損失につながりやすいと指摘されています。一方、輸入機械は性能が高いものの、価格の高さや保守の難しさから、地元の事業者には手が届きにくいのが実情です。

現地で製作した加工機械の設計や性能に関する研究はこれまでにもありましたが、経済的に成り立つかどうかを検討した研究は限られていました。そこで研究チームは、現地で製作した半自動の落花生加工プラントについて、技術的な性能と経済性をあわせて評価する「技術経済分析」を行いました。

装置の仕組みと試験の方法

評価の対象となったプラントは、殻をむく脱殻部、塩水に浸す浸漬部、乾燥部、焙煎部、薄皮をむく皮むき部を一つのシステムにまとめたものです。焙煎部は回転するステンレス製のドラムと電気ヒーターで構成され、ドラムの中で落花生をかき混ぜ続けることで熱が均一に伝わるように工夫されています。骨組みや部品には、現地で入手できる鋼材や標準的な機械部品が使われました。

性能試験では、1回あたり5キログラムの落花生を投入し、焙煎温度を120℃から170℃まで10℃刻みで変えて運転しました。調べた指標は、焙煎効率、1時間あたりの処理量、水分の減少率、消費エネルギーです。さらに、同様の条件で輸入された半自動加工機とも性能を比べました。

主な結果:性能と輸入機との比較

著者らの報告によると、このプラントの平均焙煎効率は94.73%、平均処理量は1時間あたり9.9キログラム、水分の減少率は76.4%、平均エネルギー消費量は0.29キロワット時でした。焙煎効率が最も高かったのは約150℃のときで、97.2%に達しました。温度を上げると効率は150℃付近まで向上し、それを超えると低下に転じました。この結果から著者らは、焙煎温度120〜150℃、焙煎時間25〜33分程度が好ましい運転条件だとしています。また、温度が低いほど処理量は多くなる傾向が見られました。

輸入機との比較では、現地製プラントの焙煎効率94.73%に対し、輸入機は平均92.92%で、現地製のほうがやや高い結果となりました。著者らは、熱の伝わり方と温度管理の良さがその要因として考えられるとしています。一方、処理量は輸入機が1時間あたり14.72キログラムで、現地製より約48.7%多くなりました。消費電力は、比較試験において現地製のほうが約1.4%少ないと報告されています。

経済性の試算と研究の意味

プラントの製作費は、材料費や組み立てなどを含めて1,974,500ナイラでした。1日の運転費用は約1万ナイラと見積もられ、そのうち約6割を人件費が占め、電気代はごく一部にとどまりました。1日8時間運転すると約79.2キログラムを処理できる計算になります。

研究チームは、加工による付加価値を1キログラムあたり750ナイラと仮定し、1日の収入を59,400ナイラ、運転費用を差し引いた純利益を49,400ナイラと試算しました。1日の収入を運転費用で割った便益費用比は5.94となり、年間300日稼働とした場合、製作費を回収するまでの期間は約0.13年、およそ1.6か月と見積もられています。

これらの試算は、付加価値の単価や稼働日数などの前提に基づくものです。そのうえで著者らは、現地製の半自動落花生加工プラントについて、処理量では輸入機に及ばないものの、焙煎効率と消費電力では同等以上の性能を示し、製作費も抑えられることから、中小事業者に適した選択肢になりうると結論づけています。輸入機に頼らず、地元の材料と技術で加工設備を整える道筋を、性能と費用の両面から示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Dirisu, B.(Department of Welding and Fabrication Engineering Technology, Auchi Polytechnic, Auchi, Edo State, Nigeria)、Oke, P. K.(Department of Industrial and Production Engineering, School of Infrastructure, Manufacturing and Minerals Engineering, Federal University of Technology, Akure, Nigeria)、Olabanji, O. M.(Department of Mechanical Engineering, School of Infrastructure, Manufacturing and Minerals Engineering. Federal University of Technology, Akure. P. M. B. 704, Akure, Ondo State, Nigeria)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dirisu, B., Oke, P. K., Olabanji, O. M.. TECHNO-ECONOMIC ANALYSIS OF A LOCALLY FABRICATED SEMI-AUTOMATED GROUNDNUT PROCESSING PLANT FOR SMALL AND MEDIUM ENTERPRISES. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-08-14. DOI: 10.5281/zenodo.21935578. 原著ライセンス:CC BY.