この研究は、マレーシア、イエメンの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Current Research in Nutrition and Food Science Journal
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
はちみつは栄養面と健康面の両方で価値があるとされ、安全に安心して食べるためには品質を確かめることが大切です。研究チームは、マレーシア産の2種類のはちみつ、ケルルットハニーとトゥアランハニーについて、物理化学的な性質、ミネラル組成、抗酸化能を調べることを目的としたと述べています。
この2種類は、蜜のもととなる植物、採蜜される環境、そしてミツバチの種類が互いに異なります。著者らは、こうした違いが栄養成分や生体に働きかける成分、期待される作用の違いにつながりうる点に着目しています。
調べた試料と方法
研究チームが用いた試料は4つです。ケルルットハニーはクダ州産(KH1)とクランタン州産(KH2)、トゥアランハニーはパハン州産で、野生のもの(TUW)と養蜂によるもの(TUF)が集められました。同じ種類のはちみつでも産地や採り方が違うものを並べることで、違いを比較できるようにしています。
測定の対象には、水分や灰分、たんぱく質、炭水化物、食物繊維といった栄養成分、果糖やブドウ糖の量、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル、さらにpH、電気伝導度、色の濃さ、水分活性、可溶性固形分といった性質が含まれます。抗酸化に関わる成分として、フェノール類、フラボノイド、カロテノイドの量も測られました。なお、電気伝導度は溶けているイオンの多さを反映する指標で、水分活性は微生物が使える水の状態を表す目安です。
報告された主な結果
著者らの報告によると、クダ州産のKH1は食物繊維(0.612±0.027 g/100g)とカロテノイド(13.324±0.778 µg BC/100g)が最も多く、ブドウ糖も4試料中で最も多い40.983±0.941 g/100gでした。またpHが最も低く、酸性が強いことを示したとされています。
クランタン州産のKH2は、水分(30.586±0.109 g/100g)と灰分(0.766±0.010 g/100g)が高く、カルシウム、マグネシウム、カリウムの濃度が試料中で最も高いと報告されました。電気伝導度と色の濃さも最大でした。
トゥアランハニーでは、野生のTUWがたんぱく質1.776±0.040 g/100gで最も多く、果糖も33.500±3.473で相対的に豊富で、水分活性は最も低い値でした。養蜂のTUFは炭水化物79.980±0.280 g/100gと可溶性固形分が最も高い値を示しています。
全体として、どの試料もそれぞれ異なる特徴を示しましたが、著者らはKH2がもっとも際立った品質特性を示したと結論づけています。ミネラル組成と物理化学的性質に優れ、フェノール含量33.711±0.590 mg GAE/100 g、フラボノイド含量2.217±0.126 mg CE/100 gという高い値が確認されたことを、その根拠として挙げています。
この研究が示すこと
同じ「はちみつ」でも、蜜源や採蜜環境、ミツバチの種類が違えば、成分や性質にはっきりした差が出ることを、この研究は一連の測定値として示しました。産地や野生・養蜂といった条件の違いが数値に現れる点は、はちみつを一律に扱えないことを意味します。
著者らは、比較の結果としてKH2が抗酸化能の面で有望な特徴をもつ試料だったと報告しています。はちみつの品質を語るには、こうした成分や性質を実際に測って比べる作業が土台になる、ということを伝える研究だと言えます。
著者:Badr Eddin Kharsa(1Department of Nutrition Sciences, Kulliyyah of Allied Health Sciences, International Islamic University Malaysia, Pahang, Malaysia)、Nor Hafizah Zakaria(2Higher Institution Centre of Excellence (HICoE), Institute of Climate Adaptation and Marine Biotechnology (ICAMB), Universiti Malaysia, Terengganu, Malaysia)、Muhammad Ibrahim(1Department of Nutrition Sciences, Kulliyyah of Allied Health Sciences, International Islamic University Malaysia, Pahang, Malaysia)、Mohd Nur Nasyriq Anuar(3Discipline of Basic Health Sciences, Pharmacology and Toxicology, Faculty of Pharmacy, Universiti Sultan Zainal Abidin, 22200, Terengganu, Malaysia)、Fadzilah Adibah Abdul Majid(2Higher Institution Centre of Excellence (HICoE), Institute of Climate Adaptation and Marine Biotechnology (ICAMB), Universiti Malaysia, Terengganu, Malaysia)、Radziah Othman(4Faculty of Plantation and Agrotechnology, Universiti Teknologi MARA, Melaka, Malaysia)、Abdullah Hagar(5Medical Laboratories and ABS College Yemen, Al-Razi University, Sanaa, Yemen)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Badr Eddin Kharsa, Nor Hafizah Zakaria, Muhammad Ibrahim, et al. Comprehensive Assessment of Physicochemical Characteristics, Mineral Content, and Antioxidant Capacity of Malaysian Kelulut and Tualang Honeys. Current Research in Nutrition and Food Science Journal 2026-08-31. DOI: 10.12944/crnfsj.14.2.26. 原著ライセンス:CC BY.