著者の所属・活動拠点の国は、マレーシア、ナイジェリアです。
掲載誌:Food Research
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
研究の目的
研究チームは、マレーシアの香り米2品種、MRQ74とMRQ76の米ぬかについて、栄養成分と抗酸化能を比較しました。米ぬかは精米で取り除かれる外側の層で、現地では廃棄されたり、飼料や肥料、燃料に使われたりしています。これまで両品種の米については研究されていましたが、米ぬかの成分や抗酸化能を比較した報告はなく、その特徴を明らかにすることが目的でした。
何を、どのように調べたか
研究チームは、マレーシア農業研究開発研究所から入手した両品種の米ぬかを使い、水分、灰分、粗脂肪、粗たんぱく質、粗繊維を分析しました。灰分は食品を燃やした後に残る無機成分です。炭水化物量とエネルギー量は、成分の分析値から計算しました。
抗酸化能の比較では、各品種の米ぬか10gを、50%メタノール、50%エタノール、蒸留水のそれぞれに室温で24時間浸し、抽出物を作りました。抽出物中の総フェノール量と総フラボノイド量を測り、ラジカルを取り除く働きを調べるDPPH試験と、鉄イオンを還元する働きを調べるFRAP試験で抗酸化能を評価しました。
主な報告結果
研究チームは、MRQ74の抽出物では、どの抽出溶媒でもMRQ76より総フェノール量が多かったと報告しました。最も高かったのはMRQ74のエタノール抽出物で、抽出物100g当たり3568.54mgの没食子酸相当量でした。同じ条件のMRQ76は1456.18mgでした。一方、総フラボノイド量は各溶媒でMRQ76の方が多く、最高値は水抽出物の100g当たり1325.06mgのケルセチン相当量でした。これらは標準物質に換算した量で、論文では総フェノール量と総フラボノイド量の品種間の差は統計的に有意ではなかったとしています。
DPPH試験では、メタノール抽出物が両品種で最も強い働きを示しました。ラジカルを半分に減らすのに必要な濃度であるIC50は、MRQ74が0.70mg/mL、MRQ76が0.82mg/mLでした。この値は小さいほど少ない抽出物で作用したことを表し、この条件ではMRQ74の方が高い抗酸化能を示しました。FRAP試験でも両品種ともメタノール抽出物の値が最も高く、メタノールと水の抽出物ではMRQ74がMRQ76を上回りました。ただし、エタノール抽出物ではMRQ76の方が高く、品種の順位は抽出条件によって異なりました。
栄養成分では、米ぬか100g当たりの粗脂肪はMRQ74が3.89g、MRQ76が5.00g、粗繊維はそれぞれ15.50gと17.17gでした。MRQ76は灰分も多い値でしたが、これらの品種間の差は統計的に有意ではありませんでした。調べた一般成分のうち、有意差が報告されたのは水分だけでした。
この報告が示すこと
著者らは、両品種の米ぬかには異なる成分上の特徴があり、MRQ76は食品の栄養成分を補う素材、MRQ74は天然の抗酸化成分の供給源として可能性があると結論づけています。今回の報告は米ぬかの成分分析と抽出物の試験管内評価に基づくもので、米ぬかを食べた人の健康への作用を調べた研究ではありません。廃棄物として扱われてきた米ぬかを、品種や抽出条件に応じた特徴を持つ素材として捉えるための報告です。
原著論文の著者・所属:I. Thandaithabany(Halal Research Centre , Universiti Sultan Zainal Abidin , Gong Badak Campus , Maimunah Block , 21300 Kuala Nerus , Terengganu Darul Iman , Malaysia; School of Nutrition and Dietetics , Faculty of Health Sciences , Universiti Sultan Zainal Abidin , Gong Badak Campus , Maimunah Block , 21300 Kuala Nerus , Terengganu Darul Iman , Malaysia)、M.A.K. Rohin(School of Nutrition and Dietetics , Faculty of Health Sciences , Universiti Sultan Zainal Abidin , Gong Badak Campus , Maimunah Block , 21300 Kuala Nerus , Terengganu Darul Iman , Malaysia)、N. Ridzwan、I.A. Masaud、N. Abd Hadi、N.N.H. Syaharuddin、N.S. Mazuki
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):I. Thandaithabany, M.A.K. Rohin, N. Ridzwan, et al. Comparison between MRQ74 and MRQ76 rice brans on antioxidant capacity. Food Research(出版社:Rynnye Lyan Resources) 2026-11-05. DOI: 10.26656/fr.2017.10(6).008. 原著ライセンス:CC BY.