著者の所属・活動拠点の国は、ペルーです。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

捨てられがちな種子の油に着目

研究チームは、アンデス地域の果物トゥンボの種子から機械で搾った油について、脂肪酸の組成や品質、試験管内での抗酸化能を調べました。トゥンボはパッションフルーツの仲間で、果実は生食やジュースなどに使われますが、加工時に種子は一般に捨てられています。研究の目的は、利用が進んでいないこの種子の油について、基礎的な性質を明らかにすることでした。

著者らは、ペルーのワヌコ市で入手した一つのロットの果実から種子を取り出し、乾燥・粉砕して、スクリューで圧力をかける機械式の圧搾法で油を得ました。その油を使い、各項目を3回ずつ測定しました。これは同じ油試料で測定を繰り返したもので、異なる産地や収穫時期を比較する研究ではありません。

主成分はリノール酸、採油時の酸化は少ないと報告

乾燥種子528.75グラムから得られた油は88.7グラムで、圧搾による収率は16.78%でした。この値は今回の条件で搾り出せた油の割合であり、種子に含まれる油全体のうち何割を回収できたかを示すものではありません。

脂肪酸の組成では、多価不飽和脂肪酸が優勢で、特にオメガ6系のリノール酸が主成分でした。また、油の分解の程度を示す酸価と、酸化の初期段階で生じる物質の量を示す過酸化物価はいずれも低く、著者らは、分析時点では分解や初期の酸化が少ない油だったと報告しています。

研究チームは、油からメタノールで抽出した成分について、酸化に関わる反応を抑える働きを3種類の試験で評価し、抗酸化能が測定できたと報告しました。総フェノール量と総フラボノイド量も測定しましたが、これらは色の変化を利用した全体量の推定であり、個々の化合物を特定した結果ではありません。

未利用の種子油を知るための基礎情報

著者らは今回の結果を、トゥンボ種子油の成分と品質を知るための基礎情報と位置づけています。一方、オメガ3系脂肪酸が少なく、オメガ6系との比率が高い点も指摘しています。試験管内で測定した抗酸化能は、人が食べたときの健康効果を示すものではなく、保存中の酸化しにくさや安全性も今回の研究では確かめられていません。研究は、捨てられがちな種子から得られる油にどのような特徴があるのか、その一端を示しています。

原著論文の著者・所属:Lizbeth Carolina López Arisaca(Department of Nutrition, Universidad Nacional Agraria La Molina, Av. La Molina s/n, Lima 15024, Peru)、Carlos Vílchez-Perales(Department of Nutrition, Universidad Nacional Agraria La Molina, Av. La Molina s/n, Lima 15024, Peru)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Lizbeth Carolina López Arisaca, Carlos Vílchez-Perales. Physicochemical Characterization, Fatty Acid Profile, and In Vitro Antioxidant Capacity of Tumbo (Passiflora tripartita var. mollissima) Seed Oil Obtained by Expeller Pressing. Foods 2026-08-31. DOI: 10.3390/foods15173092. 原著ライセンス:CC BY.