著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Journal of Applied Agricultural Science and Technology

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

モリンガ(ワサビノキ、Moringa oleifera)の葉は栄養価の高さで知られていますが、研究チームによると、インドネシアでは利用の多くが伝統薬やハーブティーにとどまっています。さらに、加熱による栄養素の損失や、葉特有の青臭さが食品素材としての利用を難しくしています。

そこで著者らは、モリンガ葉を使ったフレーク状の調味料「Bon Kelor」を試作しました。製造工程の湯通し(ブランチング)の温度と、うま味を加える海藻「海苔」の配合量を変え、抗酸化活性、栄養成分、食べた人の好みにどう影響するかを調べ、最適な条件を探りました。原著では、この海苔をアオサの仲間であるUlva lactucaとして記載しています。

調べた方法

ブランチングとは、乾燥前の食材を短時間加熱する前処理です。変色や風味の劣化を引き起こす酵素の働きを止めることなどを目的に行われます。研究では、モリンガ葉を70℃、80℃、90℃のいずれかでブランチングした後、オーブンで乾燥させて粉砕しました。この葉の粉50gに、揚げたニンニクやエシャロット、唐辛子などの調味材料50gを加え、さらに海苔を5g、10g、15gのいずれか加えて混ぜ、鍋で炒って仕上げました。海苔の量は論文中で5%、10%、15%として扱われています。

温度3段階と海苔の量3段階を組み合わせた9通りの試料を、それぞれ2回ずつ作りました。分析したのは、抗酸化活性、水分、灰分(ミネラル分の目安)、たんぱく質、脂質、粗繊維、炭水化物、エネルギー、塩分です。抗酸化活性はDPPH法で調べました。これは、試料の抽出液がDPPHという試薬の不安定な分子(ラジカル)をどれだけ消すかを割合で示す方法です。さらに、訓練を受けていない一般のパネリスト20人が、色、香り、味の好ましさを7段階で評価しました。

主な結果

研究チームは、ブランチング温度と海苔の量の両方が、抗酸化活性や主要な栄養成分に統計的に有意な影響を与えたと報告しています。最も良い組み合わせとされたのは、90℃でブランチングし、海苔15%を加えた試料です。この試料は、抗酸化活性が73.72%と全試料で最も高く、たんぱく質も18.34%と最多でした。エネルギーは100gあたり370.39kcalと最も高く、水分は3.76%と最も低い値でした。

抗酸化活性は、海苔15%の試料で一貫して高い傾向が見られました。一方、海苔10%を90℃で処理した試料では、全体の傾向に反して値が下がりました。著者らは、高温のブランチングによって葉の組織に結合していた抗酸化成分が抽出されやすくなった可能性や、海苔自体が抗酸化成分を持つことを、結果の背景として考察しています。

炭水化物は、ほかの成分の量を全体から差し引いて求める「差し引き法」で算出されました。海苔を増やすと炭水化物が増えた点について、著者らは海苔に含まれる水溶性の多糖類が反映されたものと説明しています。

官能評価でも、90℃・海苔15%の試料が色、香り、味のいずれでも最も高い評価を受け、3項目の平均は7点満点中6.58でした。著者らは、ブランチングによってモリンガの緑色が保たれ青臭さが和らいだこと、海苔が海藻由来のうま味を加えたことが好まれた理由だと考えています。また、すべての試料が乾燥モリンガ葉に関するインドネシア国家規格の基準を満たしたと報告しています。

研究が示すこと

著者らは、ブランチングの温度管理と海藻の配合を組み合わせることで、栄養価が高く、食べる人にも受け入れられやすいモリンガ加工食品を作れると結論づけています。

一方で、ブランチングをしない試料や海苔を加えない試料との比較は行っておらず、それぞれの処理の効果の大きさを基準と比べて示せていない点を、著者ら自身が限界として挙げています。また、DPPH法による抗酸化活性は、この試験条件での化学的な反応を示すものであり、測定法によって結果が異なりうることも述べています。こうした条件の範囲内で、加工条件と配合を工夫すればモリンガの葉を調味料として生かせる可能性を示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Mohammad Prasanto Bimantio(Insitut Pertanian Stiper)、Aap Hidayah Maesa(Institut Pertanian Stiper)、Reza Widyasaputra(Institut Pertanian Stiper)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mohammad Prasanto Bimantio, Aap Hidayah Maesa, Reza Widyasaputra Optimization of Blanching Temperature and Nori Incorporation in the Production of Moringa oleifera-Based Food Seasoning. Journal of Applied Agricultural Science and Technology 2026-08-21. DOI: 10.55043/jaast.v10i3.543. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。