著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:DIAGNOSA Jurnal Ilmu Kesehatan dan Keperawatan

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:地元の食材で子どもの補助食をつくる

インドネシアでは、5歳未満の子どもの「スタンティング(発育阻害)」が今も大きな栄養問題とされています。スタンティングとは、長期間の栄養不足によって、年齢に対して身長が十分に伸びていない状態を指します。世界保健機関(WHO)の成長基準で、年齢別身長が標準から−2標準偏差を下回る場合に該当します。論文によると、2024年のインドネシア全体での有病率は19.8%でした。

著者らは、スタンティングの背景の一つとして、特にたんぱく質の摂取不足を挙げています。そのうえで、地元で手に入りやすい食材を使った補助食の開発に注目しました。研究チームが選んだ食材は、子どもに好まれやすい味と食感をもつバナナ、たんぱく質や鉄を含むモリンガ(ワサビノキ)の葉、植物性たんぱく質源となる緑豆粉の三つです。これらを、インドネシアで身近な伝統菓子である蒸しケーキ(ボル・ククス)に仕立て、「PIKAHI」と名付けました。

栄養価が高い食品でも、食べてもらえなければ役に立ちません。そこで研究チームは、このケーキの「受け入れられやすさ」とたんぱく質含有量の両方を調べることを目的としました。

三つの配合を試食で比べる

研究チームは、小麦粉の一部を緑豆粉に置き換える割合を変えて、三つの配合をつくりました。F1は緑豆粉を10%に置き換えてモリンガ葉を15g加えたもの、F2は20%に置き換えて20g加えたもの、F3は30%に置き換えて25g加えたものです。バナナの量などその他の材料は、三つとも同じにしました。

試食評価には、感覚評価の基礎知識をもつ栄養学専攻の学生30人が参加しました。評価者は子ども自身ではありません。評価には「嗜好試験」という方法を使い、色・香り・味・食感の四つの項目を「とても嫌い(1)」から「とても好き(5)」までの5段階で採点してもらいました。そのうえで、配合の違いによって好みに統計的な差があるかを分析しました。

最も好まれた配合については、食品中の窒素量からたんぱく質量を求める「ケルダール法」という標準的な分析法で、たんぱく質含有量を測定しました。

主な結果:好みに明確な差はなく、F3の平均点が最も高い

色・香り・味・食感のいずれの項目でも、三つの配合の間に統計的に意味のある差は見られませんでした。緑豆粉を30%まで増やし、モリンガ葉を多めに加えても、好みがはっきり下がることはなかったということです。

一方で、平均点を比べると、四つの項目すべてでF3が最も高い値でした(色3.87、香り3.83、味4.10、食感3.90)。研究チームはこの傾向をもとに、F3を最良の配合と位置づけています。論文は、バナナと砂糖の甘みがモリンガ葉や緑豆の独特の風味を和らげた可能性を考察しています。

F3のたんぱく質含有量は、2回の測定の平均で100gあたり4.65gでした。1個50gの1食分に換算すると、約2.33gになります。

研究が示すこと

著者らは、インドネシアの栄養所要量(1〜3歳で1日20g、4〜5歳で1日25gのたんぱく質)を参照しました。そして、間食で1日の必要量の約1割、つまり1回あたり2〜2.5g程度をまかなうという考え方と照らし合わせています。その結果、PIKAHI蒸しケーキ1個を子どもの間食1回分として勧めています。

この研究は、地元の食材を組み合わせた蒸しケーキが、試食した評価者に受け入れられ、一定量のたんぱく質を含むことを報告したものです。ただし、評価したのは味の好みと成分量であり、子どもが実際に食べた場合の成長への影響を調べたものではありません。身近な食材と食べ慣れた菓子の形を生かして、栄養を補う食品を工夫する一つの試みとして読むことができます。

原著論文の著者・所属:Alya Rohana Pratiwi Hamzah(Poltekkes Kemenkes Makassar)、Sukmawati Sukmawati(Poltekkes Kemenkes Makassar)、Suriani Rauf(Poltekkes Kemenkes Makassar)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Alya Rohana Pratiwi Hamzah, Sukmawati Sukmawati, Suriani Rauf Daya Terima dan Analisis Kandungan Protein Bolu Kukus PIKAHI (Pisang Daun Kelor dengan Substitusi Tepung Kacang Hijau) untuk Pencegahan Stunting. DIAGNOSA Jurnal Ilmu Kesehatan dan Keperawatan 2026-08-12. DOI: 10.59581/diagnosa-widyakarya.v4i3.6546. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。