著者の所属・活動拠点の国は、ウクライナです。

掲載誌:Herald of Khmelnytskyi National University Technical sciences

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

小麦のパスタでは、グリアジンとグルテニンというたんぱく質が作る「グルテン」の網目が、形と強さを支えています。セリアック病の人向けのグルテンフリー製品にはこの網目がありません。そのため、ゆでると崩れやすく、生地の成分がゆで湯に溶け出しやすくなります。

アマランサスは穀物に似た種子を持つ「擬穀類」の一つです。著者らは、良質なたんぱく質を多く含むことから、アマランサスの粉をグルテンフリーパスタの有望な原料と位置づけています。ただし、アマランサスの粉だけではグルテンの網目ができず、生地がもろくなります。

そこで研究チームは、粉の一部を水と加熱してでんぷんを糊状にした「湯種(ゆだね)」を加え、グルテンの代わりにまとまりを作れるかを調べました。目的は、湯種を加える最適な割合を見つけることと、その割合が生地の性質や完成品の品質にどう影響するかを評価することです。

何を調べたか

研究チームは、粉と水を1対4の割合で混ぜ、湯せんで78〜82℃に30分加熱して、でんぷんを糊化させた湯種を作りました。粉全体のうち15%、25%、35%を湯種に置き換えた試料と、湯種を使わないアマランサス粉100%の対照を用意し、生地の水分を40%にそろえて小型のパスタ押し出し機で成形・乾燥しました。比較用として小麦粉のパスタも作っています。

なお、35%の試料では配合上の水が足りず、湯種の粉と水の比率は約1対1.94まで下がっていました。

評価した項目は、芯がなくなるまでの最適なゆで時間、ゆで湯に溶け出した固形分の割合(ゆで損失)、ゆでたときの吸水の程度、乾燥後の水分、酸度、食感です。

主な結果

論文によると、湯種を使わない対照の生地は、グルテンがないためにとてももろいものでした。湯種の中で糊化したでんぷんは立体的な網目となり、でんぷん粒をつなぎとめる骨組みの役割を果たすと著者らは説明しています。

ゆで時間は、対照の3.2分から、湯種15%で3.7分、25%で4.2分、35%で4.7分と長くなりました。著者らは、糊化でんぷんの粘りのある層が熱湯の浸み込みを遅らせるためと考えています。いずれのアマランサス試料も、小麦のパスタよりは短い時間でゆで上がりました。

ゆで損失は、対照では13%前後と大きいものでした。湯種25%の試料では最も小さくなり、要旨では6.2%、対照の約2.2分の1と報告されています。一方、湯種を35%まで増やすと、ゆで損失は8%台に増えました。乾燥後の水分も、対照と湯種15%・25%のアマランサス試料がいずれも約11%だったのに対し、35%の試料では12.18%に上がりました。研究チームは、水の不足によりたんぱく質とでんぷんの網目が押し出し機内で壊れたことが原因だと説明しています。なお、水分については、アマランサスの試料と小麦の試料の間にも有意な違いがあったと報告されています。

吸水の程度は、湯種を加えると対照より高くなりました。著者らは、25%の試料を形を保ちながら十分に水を吸う最もバランスのよい状態と評価しています。35%の試料については、吸水が過剰で構造が崩れやすいと評価しました。酸度は3.4〜4.1度の範囲で、湯種が多いほど高くなる傾向がありました。著者らはこの範囲を、保存上の目安の範囲内としています。食感の評価は、アマランサスの試料の中では25%の試料が4.6点と最も高く、小麦の試料の5.0点に近い値でした。

研究が示すこと

研究チームは、総合的な評価から、粉全体の25%を糊化させた湯種にする配合が最適だと結論づけています。この配合では、つながった糊状のゲルが粉の粒子を包み込み、グルテンの代わりに構造を支えるとしています。

この研究は、粉の一部を加熱するという下処理の工夫によって、グルテンのないアマランサスのパスタのまとまりを改善できる可能性を示しています。同時に、湯種は多いほどよいわけではなく、適量があることも示しました。

原著論文の著者・所属:КАТЕРИНА КОСТЕЦЬКА(Уманський національний університет)、ОЛЕНА ГЕРАСИМЧУК(Уманський національний університет)、РОМАН ГРИЩУК(Уманський національний університет)、ДМИТРО КОЛІСНИК(Уманський національний університет)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):КАТЕРИНА КОСТЕЦЬКА, ОЛЕНА ГЕРАСИМЧУК, РОМАН ГРИЩУК, et al. РЕОЛОГІЧНІ ВЛАСТИВОСТІ ТІСТА ТА ЯКІСТЬ БЕЗГЛЮТЕНОВИХ АМАРАНТОВИХ МАКАРОННИХ ВИРОБІВ ЗА РІЗНОГО СТУПЕНЯ КЛЕЙСТЕРИЗАЦІЇ КРОХМАЛЮ. Herald of Khmelnytskyi National University Technical sciences 2026-07-31. DOI: 10.31891/2307-5732-2026-367-32. 原著ライセンス:CC BY.