著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:INSOLOGI Jurnal Sains dan Teknologi
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
著者らによれば、インドネシアでは食物繊維の摂取量が推奨量に比べて低く、繊維の少ない食生活は糖尿病などの代謝性疾患のリスク上昇と関連するとされています。そこで手軽に食べられて繊維を多く含む食品の開発が求められており、著者らは地元で利用できる素材として、ワサビノキ(モリンガ、現地名クロール)の葉に注目しました。先行研究では、モリンガ葉の粉末は100グラムあたり約19.2グラムの繊維を含むと報告されています。
モリンガ葉粉末をほかの食品に加えると繊維が増えるという報告はこれまでにもありました。しかし著者らは、スナックバーで粉末の配合割合を段階的に変え、繊維量と食感を測定機器で客観的に調べた研究はまだ少ないと指摘しています。この研究の目的は、配合割合の違いがスナックバーの総食物繊維量と食感にどう影響するかを調べ、繊維量と食感の両面で優れた配合を見つけることでした。
どのように調べたか
研究チームは、若いモリンガの葉を短時間熱湯に通してから低温で乾燥させ、細かく粉砕して粉末にしました。この粉末で、スナックバーに使う小麦粉の0%、5%、10%、15%を置き換えた4種類の配合を用意しました。オーツ麦、マーガリン、脱脂粉乳、砂糖、レーズン、炒ったピーナッツなど、ほかの材料の量はすべてそろえています。各配合は、材料の計量から焼成まで別々に2回製造されました。
食物繊維は、酵素でデンプンなどを分解してから残った繊維の重さを量る標準的な方法で測定し、水に溶けない繊維と溶ける繊維を合わせた総量として求めました。食感は、試料を押しつぶしたときの力を記録する「テクスチャーアナライザー」という機器で調べました。評価した指標は三つです。かたさ(硬度)、飲み込める状態まで崩すのに必要な力を表すガム性(論文では弾力性とも訳される)、そして噛み切るのに必要な力を表す咀嚼性です。配合ごとの差は統計的に検定されました。
主な結果
総食物繊維量は、モリンガ葉粉末の割合が増えるほど段階的に増えました。100グラムあたりでみると、置き換えなしでは2.51%、5%配合では3.88%、10%配合では5.54%、15%配合では6.87%でした。4つの配合はすべて互いに統計的に異なっていました。著者らはインドネシアの食品表示規則に照らして評価しています。その規則では、100グラムあたり3グラム以上で「繊維源」、6グラム以上で「高繊維」と表示できます。この基準によれば、5%と10%の配合は繊維源、15%の配合は高繊維の条件を満たすと報告されています。
食感は、繊維量とは違う変化を示しました。かたさ、ガム性、咀嚼性のいずれも10%配合までは上昇し、15%配合では低下しました。かたさの値は置き換えなしの374.7ニュートンが最も低く、10%配合の496.7ニュートンが最も高い結果でした。ガム性は10%配合で168.5ニュートンと最大になり、15%配合では111.0ニュートンに下がりました。咀嚼性も10%配合で129.4ニュートンと最大になり、15%配合では68.8ニュートンに下がりました。
著者らはこの変化を次のように解釈しています。10%配合までは、粉末に含まれる繊維やたんぱく質が水を抱え込み、生地の構造をより密に締めた可能性があります。一方15%配合では、小麦粉のグルテンがつくる網目構造や、デンプンが糊状になる過程が妨げられ、生地がもろく崩れやすくなったと考えられるとしています。
研究が示すこと
この研究は、小麦粉の一部をモリンガ葉粉末に置き換えるとスナックバーの繊維量を段階的に増やせる一方で、食感は配合割合に比例して変わるわけではないことを示しました。著者らは、10%配合は食感の面で良好な特性を示し、15%配合は最も多くの繊維を含むとまとめています。つまり、繊維を増やす配合を考える際には、食感とのバランスにも目を配る必要があるということです。著者らは、モリンガ葉粉末を高繊維スナックバーの素材として活用できる可能性があると結論づけています。
原著論文の著者・所属:Tata Indira(Universitas Muhammadiyah Surakarta)、Dwi Sarbini(Universitas Muhammadiyah Surakarta)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Tata Indira, Dwi Sarbini. Pengaruh Substitusi Tepung Daun Kelor (Moringa Oleifera) Terhadap Kadar Serat dan Tekstur Produk Snack Bar. INSOLOGI Jurnal Sains dan Teknologi 2026-08-07. DOI: 10.55123/insologi.v5i4.8699. 原著ライセンス:CC BY.