掲載誌:Indian Journal of Animal Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
大豆かすに代わる飼料を探す
鶏の飼料では、たんぱく源として大豆かす(大豆ミール)が広く使われています。しかし需要の増加とともに価格が大きく上がり、より安価な代替原料が求められています。研究チームが注目したのは「米DDGS(蒸留かす乾燥物・可溶分含む)」です。DDGSは、穀物を酵素と酵母で発酵させてエタノールを作る際に出る副産物で、この研究では米の発酵から得られたものを用いています。
著者らによれば、米DDGSにはたんぱく質、脂質、必須脂肪酸、ミネラル、ビタミンなどが含まれ、入手しやすく費用面でも有望な原料とされています。一方で、DDGSは多価不飽和脂肪酸を多く含むため、肉の品質に影響する可能性が指摘されてきました。そこで研究チームは、米DDGSを大豆かすの一部と置き換えて与えたとき、肉用鶏(ブロイラー)の枝肉の特徴、肉の成分、脂肪酸の組成がどう変わるかを調べました。
5段階の配合で42日間飼育
実験には、ふ化したばかりのひな400羽を用い、80羽ずつ5つのグループに分けました。各グループはさらに10羽ずつ8つの小群で構成されています。トウモロコシと大豆を主体とする餌に、米DDGSを0%、2.5%、5%、7.5%、10%の割合で大豆かすの一部の代わりとして加え、42日間飼育しました。
飼育終了時に各小群から2羽を選び、解体した際の各部位の割合や胸肉の成分を調べました。さらに、9段階で好ましさを評価する官能検査で胸肉の風味や食感、見た目を評価しました。あわせて、肉の酸性度(pH)、肉が水分を保つ力(保水性)、置いておくうちに染み出る肉汁の量(ドリップロス)、加熱による重量の減少(加熱損失)、脂質の酸化の程度を示す指標(TBARS)も測定しました。脂肪酸はガスクロマトグラフという分析装置で調べています。
肉質はほぼ変わらず、一部の脂肪酸に差
論文の報告では、背の部位の割合を除き、枝肉として得られる割合や各部位の割合に統計的な差は見られませんでした。胸肉の成分、官能検査での風味・食感・見た目・総合的な好ましさ、保水性、ドリップロス、加熱損失、TBARSについても、米DDGSの配合割合による有意な差はありませんでした。
一方、脂肪酸の組成には変化が見られました。胸肉で確認された19種類の脂肪酸のうち6種類で、グループ間に有意な差がありました。飽和・一価不飽和・多価不飽和といった脂肪酸の種類ごとの合計値には差がなかったものの、αリノレン酸には差が見られました。また、炭素数22の長い脂肪酸のうち、C22:5(論文ではエイコサペンタエン酸と表記)は5%のグループで、ドコサヘキサエン酸(C22:6)は7.5%のグループで最も高い値でした。ドコサジエン酸(C22:2)は7.5%と10%のグループで高くなっていました。
研究が示すこと
著者らは、米DDGSを最大10%までブロイラーの餌に加えても、枝肉の特徴、肉の成分、食べたときの評価に悪影響は見られなかったと結論づけています。あわせて、胸肉に含まれる一部の必須脂肪酸が増加したと報告しています。この研究は、米の発酵副産物を大豆かすの一部の代わりとして使っても、今回調べた範囲では鶏肉の品質がほぼ保たれることを示した報告といえます。
原著論文の著者・所属:Naresh Kurechiya、Barun Roy、Guru Prasad Mandal、Bikas Ch. Debnath、Kavita Rawat
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Naresh Kurechiya, Barun Roy, Guru Prasad Mandal, et al. Effect of Dietary Inclusion of Rice Distiller Dried Grain with Solubles on Carcass Characteristic, Fatty acid and Meat Composition in Broiler Chicken. Indian Journal of Animal Research 2026-08-07. DOI: 10.18805/ijar.b-5829. 原著ライセンス:CC BY.