著者の所属・活動拠点の国は、サウジアラビアです。
掲載誌:Veterinary Sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
肉用鶏(ブロイラー)の生産では飼料代が費用の大部分を占め、とくにたんぱく質源とエネルギー源が高価です。また、たんぱく質を多く含む飼料に頼ると窒素の排出が増え、環境への負担にもつながります。そのため、飼料の栄養濃度を少し下げても生産性を保てる方法が求められています。ただし、栄養を減らしすぎると消化や栄養吸収の効率が落ちるおそれがあり、腸の働きを支える機能性飼料添加物への関心が高まっています。
研究チームは、多機能型の飼料添加物「Fibrafid」に注目しました。著者らによれば、消化しやすいアミノ酸と代謝エネルギー(体が実際に利用できるエネルギー)の両方を同時に減らした飼料でFibrafidを評価した査読付き研究は、これまで見当たらなかったといいます。そこで、Fibrafidが栄養を抑えた飼料の弱点を補い、成長や肉質、腸の状態を保てるかどうかを調べました。
どのように調べたか
試験には、ふ化したばかりのロス308種のひな432羽を用い、36の床飼いの囲い(1囲い12羽)に分けて、1日齢から24日齢まで飼育しました。飼料は2種類で、現行の飼養基準に沿った標準飼料と、標準より消化性アミノ酸を5%、代謝エネルギーを1.5%減らした栄養低減飼料です。それぞれにFibrafidを飼料1トンあたり0、1.5、2.5キログラム加え、合計6通りの組み合わせを比べました。
調べた項目は、体重の増え方、飼料要求率(体重1キログラムを増やすのに必要な飼料の量で、小さいほど効率がよい)、生存率・体重・日齢・飼料効率をまとめた総合的な生産効率の指標(EPEF)です。さらに24日齢で各囲いから平均的な体重の1羽を選び、枝肉の構成、胸肉の品質、小腸(空腸)の組織の形も調べました。
主な結果
飼料の栄養濃度の違いそのものは、体重や飼料効率に統計的にはっきりした差を生みませんでした。一方、Fibrafidを加えると成長が改善し、2.5キログラム添加で最も一貫した効果がみられました。無添加と比べて、24日齢の体重は約5.0%、期間全体の増体量は5.3%増え、育成期の飼料要求率は4.0%改善しました。生産効率の指標EPEFは無添加の396に対し、2.5キログラム添加で428と、約8%高くなりました。こうした改善は、標準飼料と栄養低減飼料のどちらでも認められたと報告されています。
枝肉では、Fibrafid 2.5キログラム添加で腹部の脂肪の割合が無添加より27.6%少なくなりました。胸肉の品質では、添加量が増えるほど保水性(肉が水分を保つ力)が67.3%から70.6%へ高まり、保存中に出る肉汁や加熱で失われる重さが減りました。
腸では、栄養を吸収する突起である絨毛(じゅうもう)が高く、幅広くなり、吸収に使える表面積が増えました。腸の粘膜を守る粘液を出す杯細胞(さかずきさいぼう)の密度も高まりました。著者らは、測定項目の中でもこの腸の形の変化が、成長の改善を裏づける最も強い構造的な証拠だと位置づけています。
研究から分かること
この研究は、Fibrafidの添加、とくに飼料1トンあたり2.5キログラムが、標準飼料でも栄養をやや抑えた飼料でも、ブロイラーの成長や生産効率、腹部脂肪の少なさ、胸肉の保水性、腸の形の改善と関連していたことを示しました。著者らは、この試験の条件下ではFibrafidが栄養を抑えた飼料での生産性維持に結びついていたとまとめています。
一方で、試験は出荷時期より短い24日間で、栄養の消化率や腸内細菌、血液の指標、経済性は測定されていません。そのため、なぜ改善が起きたのかという仕組みは推測の段階にとどまると、著者ら自身が述べています。成果は、条件を限ったうえで得られた関連性として受け止めるのが妥当です。
原著論文の著者・所属:Maged A. Al-Garadi(Department of Animal Production, College of Food and Agriculture Sciences, King Saud University, Riyadh 11451, Saudi Arabia)、Rashed A. Alhotan(Department of Animal Production, College of Food and Agriculture Sciences, King Saud University, Riyadh 11451, Saudi Arabia)、Elsayed O. Hussein(Department of Animal Production, College of Food and Agriculture Sciences, King Saud University, Riyadh 11451, Saudi Arabia)、Mohammed M. Qaid(Department of Animal Production, College of Food and Agriculture Sciences, King Saud University, Riyadh 11451, Saudi Arabia)、Gamaleldin M. Suliman(Department of Animal Production, College of Food and Agriculture Sciences, King Saud University, Riyadh 11451, Saudi Arabia)、Esam H. Fazea(Department of Animal Production, College of Food and Agriculture Sciences, King Saud University, Riyadh 11451, Saudi Arabia)、Mohammed A. Al-Badwi(Department of Animal Production, College of Food and Agriculture Sciences, King Saud University, Riyadh 11451, Saudi Arabia)、Isiaka O. Olarinre(Department of Animal Production, College of Food and Agriculture Sciences, King Saud University, Riyadh 11451, Saudi Arabia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Maged A. Al-Garadi, Rashed A. Alhotan, Elsayed O. Hussein, et al. Effects of Fibrafid Supplementation in Standard and Nutrient-Reduced Diets on Growth Performance, Production Efficiency, Carcass Traits, Meat Quality, and Intestinal Morphology in Broilers. Veterinary Sciences 2026-08-08. DOI: 10.3390/vetsci13080792. 原著ライセンス:CC BY.