ビタミンB6が多い食品を上から並べると、5位までが植物性でそろいます。とうがらしの乾燥品、米ぬか、にんにくの粉末、そして油でいためたにんにくです。肉も魚も卵も、一つも顔を出しません。そして並んだ4種類には、もうひとつ共通点があります。どれも水を抜いた食品だということです。

乾かす、粉にする、精米で削り取る——いずれも水分を減らす操作です。水が抜ければ、100gあたりの成分値は生のときより高く出ます。上位が植物で埋まった理由は、まずここにあります。ビタミンB6は、食べたたんぱく質の代謝を助け、皮膚や粘膜の健康維持にも関わるとされる栄養素で、食事摂取基準では30〜49歳女性の推奨量が1日1.2mgとされています。これを物差しに、上位5つを見てみます。

ビタミンB6が多い食品 上位5(可食部100gあたり/%は30〜49歳女性の推奨量1.2mg/日に対する割合)
順位食品ビタミンB6推奨量比
1位とうがらし(果実・乾)3.81mg318%
2位米ぬか3.27mg272%
3位(同値)ガーリックパウダー(食塩添加)2.32mg193%
3位(同値)ガーリックパウダー(食塩無添加)2.32mg193%
5位にんにく(りん茎・油いため)1.80mg150%

数字だけを見れば壮観です。ただし、この表のいちばん上にある食品を、私たちは指先でつまむ量しか使いません。とうがらし(果実・乾)β-クリプトキサンチンも7400µgと多く、これは体内でビタミンAに変わる成分です。辛みづけには主に乾燥品が使われますが、7月から12月には国産の生も出回ります。乾燥品はとにかく湿気から守るのが保存のこつだとされます。

2位の米ぬかは、玄米を精米するときに削られる外側の部分です。捨てられがちな副産物にビタミンB1マグネシウムまで際立って多いのは、そこが種子の栄養をため込む場所だからでしょう。ふりかけやぬか漬けとして、少しずつ食卓に入ってきます。

3位に同値で並ぶガーリックパウダーは、にんにくを乾燥させて粉にしたものです。もそろって6.6mg。ただし小さじ1杯は約2gですから、そこから摂れるビタミンB6は0.05mgほどです。推奨量の193%という数字と、ひと振りで届く量とのあいだには、それだけの落差があります。

その点、5位のにんにく(りん茎・油いため)は事情が違います。水溶性食物繊維も4.5gと多く、なにより炒め物として現実的な量を食べられます。上位5つのうち、日常の一皿にそのまま乗るのはこれくらいでしょう。

もうひとつ、数字が語らないこと

ここまでは「どれだけ入っているか」の話でした。確かめておきたかったのは、それがどれだけ体に入るのかです。植物性食品のビタミンB6は、たんぱく質と結びついた状態にあって消化がよくないため、あまり吸収されないとされています。植物に含まれるピリドキシン-β-グルコシドという形のB6は吸収率が低く、体が使える割合(相対生体利用率)は約50%と見積もられています。日本で食べられている平均的な食事全体で見ても約73%と報告されていますから、そもそも食べた量がそのまま届く栄養素ではないのです。

つまり表の3.81mgは、体に入る量としてそのまま読むことはできません。上位が植物でそろったのは乾燥で濃縮されたからであり、しかもその植物のB6は吸収されにくいのです。見えている数字と受け取れる量のあいだには、二重のずれがあることになります。

まとめ

ランキングは「どの食品に多いか」を教えてくれますが、「どれだけ受け取れるか」までは教えてくれません。318%の食品をひとつまみ使うより、150%の食品をひと皿食べるほうが届く量は多い——表を下から読むと、そんな景色も見えてきます。数字の隣に、いつも食べている量を思い浮かべてみてください。

※特定の食品の効果・効能を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準