アーモンドやくるみは定番の間食として親しまれているが、脂質の量だけを見ると印象が変わる。アーモンド フライ 味付けは100gあたり脂質55.7g、くるみ いりは68.8gにのぼる。サラダ油の脂質がほぼ100gであることと比べれば数字は下回るが、肉や魚とは桁が違う「油に近い食品」であることは間違いない。それでも種実を食べて太る心配をあまりしないのはなぜか。答えは量にある。

脂質55〜69%、それでも一食は「ひとつまみ」

種実5種の脂質量を並べると、くるみ いり68.8g、アーモンド55.7g、ごま いり54.2g、らっかせい 大粒種 いり49.6g、カシューナッツ フライ 味付け47.6gと、いずれも半分前後を脂質が占める(いずれも100gあたり)。エネルギーも591〜713kcalと、油に匹敵する密度だ。ところが実際に手に取る量を見ると事情はまったく違う。アーモンドは10粒で約15g、らっかせいは殻つき10個で約25g、くるみは1個で約8g、ごまは小さじ1杯でわずか3.3g、カシューナッツも10粒で約15g。どれも「ひとつまみ」の域を出ない量が一食の目安になっている。100gあたりの脂質が高くても、実際に口に入るのはその1〜4割程度の重量にすぎないというギャップこそ、種実が「脂っこいのに太りにくい」感覚を生む正体といえる。

少量の中に何が詰まっているか

ひとつまみの中身をのぞくと、種実ごとに持ち味がくっきり分かれている(数値はいずれも100gあたり)。アーモンドが抱えるのはα-トコフェロール22mg。ビタミンEの一種で、脂質の酸化を防ぐ抗酸化作用と細胞膜の機能維持への関与が知られる成分だ。くるみは、体内で合成できないn-3系の必須脂肪酸であるα-リノレン酸を約9000mgと際立って多く含む。らっかせいの看板はビオチン110µg——炭水化物や脂質の代謝に関わり、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとされる補酵素だ。ごまはカルシウム1200mgと9.9mgのミネラル役。ただし実際に使うのは小さじ1杯(3.3g)ほどなので、鉄を摂りすぎる心配はない。そしてカシューナッツは1.89mgと亜鉛5.4mgを併せ持つ。同じ「脂質が半分」でも、詰まっているものはこれだけ違う。

※特定の食品の効果を示すものではありません。

「ひとつまみ」を毎日の食卓にどう置くか

種実の扱い方は、量の少なさを前提に考えると迷わない。ごまは料理に振りかける小さじ1杯程度で十分に役割を果たす調味的な存在であり、和え物やご飯に添えるだけで使い切れる。アーモンドやカシューナッツ、くるみは10粒前後・1個単位で個数管理がしやすく、小皿に取り分けてから食べれば「気づいたら一袋」という食べ過ぎを防ぎやすい。らっかせいは殻つきで買うと、殻をむく手間がそのまま食べる量のブレーキになる。いずれも「一度に多くは食べない」ことを前提に、少量をいろいろな種実で使い分けるのが実践的な取り入れ方だ。

まとめ

種実は100gあたりで見れば脂質が半分前後を占める「油に近い食品」だが、実際の一食量は10〜25g程度のひとつまみに収まる。この量の少なさが、油と同格の脂質密度を持ちながら日常的に食べても脂っこく感じさせない理由だ。そして少量の中にも、アーモンドのビタミンE、らっかせいのビオチン、くるみのα-リノレン酸、ごまのカルシウムと鉄、カシューナッツの銅・亜鉛と、それぞれ異なる持ち味が詰まっている(いずれも100gあたりの含有量)。ひとつまみだからこそ、何種類か日替わりで手に取ってみる価値がある。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:e-ヘルスネット「カルシウム」(厚生労働省)