銅の量だけを並べると、差は歴然です。100gあたりで、牛肝臓5.3mg、ほたるいか3.42mg、ごま(いり)1.68mg、大豆(黄大豆・国産・乾)1.07mg、アーモンド(フライ・味付け)0.87mg、干ししいたけ(乾)0.6mg。牛肝臓はほたるいかの1.5倍以上、干ししいたけの約9倍にあたり、この6品の中では頭ひとつ抜けています。
ところがこの順位表は、「実際にどれだけ手に取るのか」を隣に置いたとたん、まったく違う顔を見せます。
順位表の隣に、一食の重さを置いてみる
銅は赤血球の形成や体内の多くの酵素の働きに関わるとされる、ごく微量ではたらくミネラルです。日本人の食事摂取基準では、銅の推奨量(成人30〜49歳)は男性0.9mg・女性0.7mg。100gあたりの数値ばかりを見ていると、この「ごく微量」という感覚のほうが抜け落ちてしまいます。
そこで、実際に手に取るときの単位を並べてみます。ほたるいかは1ぱいが約5g。ごまは大さじ1杯で9.8g、大豆は大さじ1で9.7g、アーモンドは10粒でも約15g。干ししいたけにいたっては、買ったときの1個が2〜4gしかありません。
ひとふり、ひとつまみ、そして数粒です。順位表の上では歴然としていた差が、食卓に載る形になると、どれも数gから十数gの世界に収まってしまいます。「多い」と「よく食べる」は別の軸だというのは、そういうことです。
だから、重ねて使う
ここから引き出せる実践はひとつ、含有量の順位表をそのまま「摂取量の順位表」と読み替えないことです。銅を意識するなら、上位の1品に頼るより、量の異なる食品を重ねるほうが理にかなっています。たとえば肝臓を使った主菜に、ごまをふった副菜や大豆の煮物を合わせる——そんな組み立て方です。ごまや大豆、アーモンドは「ひとふり」「ひとつまみ」で使う食品ですから、100gあたりの数値の大きさに引きずられず、料理に風味を添える存在として置いておくのが実用的です。
なお牛肝臓は、レチノール(ビタミンA)も100gあたり1100μgと多く含む部位です。視覚の維持や成長・生殖、皮膚・粘膜の健康に関わるとされる成分ですが、一度に大量に食べる食品ではありません。
まとめ
成分表の数値は、その食品を100g食べたときの姿を教えてくれます。けれど食卓に並ぶのは、いつも100gとはかぎりません。1ぱい=約5g、大さじ1=9.8g、10粒=約15g——順位表の隣にこの列を置いてみると、同じデータがまったく違う話を始めます。今度どこかで「◯◯は△△が多い」という数字を見かけたら、その隣に「で、どれだけ食べるのか」を書き足してみてください。景色が変わるはずです。
【摂取量の目安】ほたるいか 生は、100gあたりのレチノール(ビタミンA)が1500μg含まれます。ビタミンAの摂取基準は、ビタミンAの推奨量(成人30〜49歳)は男性900μgRAE・女性700μgRAE。ほたるいかは1ぱいが約5gと軽い食品ですが、まとまった量をとる場合や、ビタミンA・Dが脂溶性で体に蓄積しやすいことをふまえると、多量・連日の摂取やサプリメント併用、妊娠中は過剰摂取に注意が必要とされます(通常の食事で時折とる分には問題になりにくいとされます)。
※本記事で取り上げた栄養素の働きは一般的な情報であり、特定の食品の効果を示すものではありません。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準