ビタミンCといえば果物、と思われがちです。ところがじゃがいも(皮なし・生)は100gあたりビタミンC28mg、キャベツ(生)は38mg。主菜の脇役になりがちなこの二つにも、地味ながらしっかり収載されています。

ただしこの数字は、火を入れると同じままではいられません。

消えるビタミンC、動かない酸味

じゃがいも(皮なし・蒸し)のビタミンCは11mgで、生の28mgから半分以下に落ちます。キャベツ(ゆで)も38mgから17mgへ。ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱い性質があるとされ、蒸したりゆでたりする過程で流れ出たり壊れたりしやすい栄養素です。

面白いのは、同じ食品の中で動かないものがあることです。酸味に関わる有機酸は、加熱してもほとんど変わりません。じゃがいもの酸味の主体はクエン酸で、生0.3g・蒸し0.4gとむしろわずかに増え、リンゴ酸は生も蒸しも0.1gのまま。キャベツのリンゴ酸も生0.1gに対しゆで0.1g(推定値)です。炭水化物も、じゃがいもは17.3g→18.1g、キャベツは5.2g→4.6gと、大きくは崩れません。

火を通して失われるものと、残るもの。同じ一皿の中で、成分は同じようには振る舞わないということです。

ピーマンは桁が違う

同じ野菜室の住人でも、ピーマンのビタミンCは水準が違います。青ピーマン(生)が76mg、完熟して赤くなった赤ピーマン(生)は170mg。生のじゃがいも28mg、キャベツ38mgと並べると、その高さがわかります。

赤ピーマンにはこのほかβ-クリプトキサンチン(体内でビタミンAに変わるプロビタミンA)230µgや、ビタミンE(α-トコフェロール)4.3mgも含まれます。じゃがいもやキャベツがTr〜0.1mgにとどまるのと比べれば、はっきりした差です。ただしこれらはすべて100gあたりの値で、赤ピーマンは1個が約150g。丸ごと1個をまとめて食べる場面は多くありません。色づいた実に成分が乗っている、というくらいに捉えておくのがちょうどよさそうです。

台所でできること

ビタミンCは日本人の食事摂取基準でも扱われる水溶性ビタミンで、コラーゲンの合成に関わるとされています。熱に弱い性質を踏まえれば、できることは二つあります。買ってきたら早めに使い切ること、そして火を入れるなら手早く済ませることです。キャベツを千切りで生のまま添えれば、加熱で失われる分は避けられますし、じゃがいもも蒸したりゆでたりしたあと長く置きすぎないほうが目減りは小さくなります。

なお、じゃがいもの芽や、光に当たって緑色になった皮の部分にはソラニンなどのアルカロイドが多く含まれます。これらは加熱しても分解されず、ゆでても量は減らないとされているので、皮を厚めにむいて取り除いてください。

まとめ

じゃがいもとキャベツは、生のビタミンCが加熱で大きく目減りする一方、リンゴ酸やクエン酸、炭水化物はほとんど動きませんでした。同じ食材でも、生で食べるか火を通すかで手に入るものが変わります。次にこの二つを手に取るとき、調理法をひとつ選ぶことが、そのまま栄養の選択にもなっている——そう思うと、包丁を入れる前の一瞬が少し変わってきます。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準