この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:AcTion Aceh Nutrition Journal

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

インドネシアでは鉄不足による貧血が依然として多く、研究チームによれば15〜24歳で15.5%、75歳以上では63.2%という報告があります。そこで著者らは、手軽に食べられて鉄分を補える食品をつくれないかと考えました。

この研究で選ばれた材料は二つです。一つはクズウコン(ガルット)という地下茎のイモで、粉にすると米粉の代わりになります。インドネシアは米の消費量が非常に多く、米以外の炭水化物源を使うことは食料供給の安定にもつながる、というのが著者らの説明です。もう一つはモリンガの葉を乾かして粉にしたもので、鉄分を多く含む素材として加えられました。

著者らの目的は、モリンガ葉粉末をどれだけ加えるのが最適かを、鉄・たんぱく質・食物繊維の量、水の吸いやすさ、そして1日の鉄の推奨摂取量をどれだけ満たせるかという観点から決めることでした。

調べ方

研究チームは、クズウコン粉を主原料とするインスタント粥を作り、モリンガ葉粉末を0%、0.7%、1.4%、2.1%の4段階で加えた4種類を用意しました。刻みを0.7%ずつにしたのは、モリンガ葉粉末が濃い緑色と草のような香り、独特の風味をもつため、入れすぎると食品としての質が落ちると考えたからだと述べられています。

作り方は、材料を水に溶かして加熱・撹拌し、冷やして一晩冷凍したのち解凍し、50℃で長時間乾燥させて粉砕・ふるい分けするという手順です。各配合を3回ずつ独立に作り、水の吸収量、湯で戻る時間、粘度、色といった物理的な性質と、鉄、たんぱく質、食物繊維、灰分、脂質、水分、炭水化物といった成分を測定しました。鉄の測定には誘導結合プラズマ発光分光分析という装置が用いられています。結果は分散分析(ANOVA)で比較し、差があった場合はダンカン検定で確かめたと報告されています。

報告された主な結果

原料そのものの分析では、クズウコン粉は炭水化物が85.98%と多く、鉄は0.67mg/100g、食物繊維は5.60%でした。一方モリンガ葉粉末は、たんぱく質36.56%、鉄11.85mg/100g、食物繊維35.62%と報告されています。著者らは、この二つは互いに足りないところを補い合う組み合わせだと述べています。なお、モリンガ葉粉末の鉄の値は他の研究で報告された28.2mg/100gとは異なっており、葉の成熟度や栽培地、土壌、収穫の時期、乾燥方法などの違いが影響した可能性があると論文は説明しています。

出来上がった粥では、モリンガ葉粉末を増やすほど鉄、たんぱく質、食物繊維が増えました。鉄は無添加の1.53mg/100gから2.1%添加の4.29mg/100gへ、たんぱく質は3.89%から9.86%へ、食物繊維は5.28%から11.37%へと変化しています。逆に炭水化物と粘度は減り、水を吸う力も2.1%添加では低下しました。著者らはこれを、炭水化物が減ってたんぱく質が増えたことと関係づけて説明しています。色は緑がかった色合いに変わり、モリンガの葉に含まれるクロロフィル(緑の色素)によるものとされています。

インドネシアの規定では、鉄の供給源をうたうには100gあたり3.3mg以上の鉄が必要です。この基準を満たしたのは1.4%と2.1%を加えた配合でした。また1食50gあたりで換算すると、この二つはすべての年齢・性別の区分で1日の鉄の推奨量の10%以上を満たしたと報告されています。

これらを総合し、研究チームは1.4%添加を最適な配合として選びました。鉄3.60mg/100g、たんぱく質8.46%、食物繊維9.84%で、水の吸収量も良好であり、高繊維食品の基準も満たしていたためです。

この研究が示していること

この研究は、身近な地元のイモと葉の粉を組み合わせるだけで、鉄と食物繊維を一定量含み、湯を注げば食べられる粥をつくれることを、成分と物性の測定という形で示しました。加える量を増やせば栄養価は上がる一方で、粘度や水の吸いやすさといった食品としての扱いやすさは落ちていきます。その両方を見比べて1.4%という落ち着きどころを探した点が、この報告の中心にあります。

なお著者らは、この粥が実際に受け入れられる味かどうかを調べる官能評価や、体内での働きを確かめる試験はまだ行っていないと述べています。

著者:Nuri Arum Anugrahati(Food Technology Program, Faculty of Science and Technology, Pelita Harapan University, Jl. M.H. Thamrin Boulevard, Lippo Village 1100, Tangerang, Banten)、Clarita Darneshia(Food Technology Program, Faculty of Science and Technology, Pelita Harapan University, Jl. M.H. Thamrin Boulevard, Lippo Village 1100, Tangerang, Banten)、Dr. Adolf J.N. Parhusip(Food Technology Program, Faculty of Science and Technology, Pelita Harapan University, Jl. M.H. Thamrin Boulevard, Lippo Village 1100, Tangerang, Banten)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nuri Arum Anugrahati, Clarita Darneshia, Dr. Adolf J.N. Parhusip Physicochemical properties of instant arrowroot-based porridge fortified with moringa leaf flour and its potential as a functional food for anemia prevention. AcTion Aceh Nutrition Journal 2026-09-16. DOI: 10.30867/action.v11i3.3231. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。