この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Mikroba Jurnal Ilmu Tanaman Sains Dan Teknologi Pertanian

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

なぜこの研究が行われたのか

思春期は体の成長が速く、必要な栄養も多い時期ですが、ファストフードや市販の加工菓子に偏った食生活では食物繊維が不足しやすいと指摘されています。著者らは、食物繊維の摂取不足が代謝の乱れや消化器の不調、非感染性疾患のリスク増加につながりうる点を挙げ、肥満の思春期世代を栄養面で支える工夫が必要だと述べています。

そこで研究チームが着目したのが、インドネシアで豊富に採れる地下茎作物クズウコン(ガルット、Maranta arundinacea)です。原著によれば、クズウコンの粉は食物繊維や難消化性でんぷん(消化されにくいでんぷん)を多く含み、グルテンを含まないという特徴があります。この研究の目的は、小麦粉の一部をクズウコン粉に置き換えたときに、間食向けの「ソフトクッキー」(外側はさっくり、内側はしっとりした焼き菓子)の栄養成分と味わいの受け入れられ方がどう変わるかを調べることでした。

どのように調べたか

著者らは、小麦粉とクズウコン粉の配合を4段階に変えた生地を用意しました。小麦粉のみのP0(対照)、クズウコン粉を25%に置き換えたP1、50%のP2、75%のP3です。それぞれ6回ずつ作り、計24の試作単位を分析しています。クズウコン粉は、生の地下茎を洗って皮をむき、すりおろして水と一緒に搾り、沈んだでんぷんを低温で乾燥させて粉にする方法で自作しました。

評価は二方向から行われました。一つは官能評価(食べた人の好みを調べる試験)で、訓練を受けていない30人のパネリストが色・味・香り・食感を4段階で採点しました。もう一つは実験室での成分分析で、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、水分、灰分、総食物繊維量を測定しています。好みの差があるかどうかは統計的な検定で確かめられました。

報告された主な結果

クズウコン粉の割合が増えるほど、総食物繊維量は増えました。100グラムあたりで見ると、小麦粉のみのP0が3.29グラムだったのに対し、P1は5.03グラム、P2は5.69グラム、最も多いP3は6.22グラムでした。あわせてたんぱく質、脂質、灰分、エネルギーも全体として増え、炭水化物と水分は減ったと報告されています。著者らは、インドネシアの食品表示基準に照らすと、P1とP2は「食物繊維源」の基準を、P3は「高食物繊維」の基準を満たすと説明しています。

一方、好みの評価では、色・味・香りについて配合による有意な差が認められ、食感については有意な差は見られませんでした。クズウコン粉が半分以上になると、素材そのもののあっさりした風味が前に出て、バターやチョコレートの甘く香ばしい味わいが弱まる傾向があったと述べられています。

評価項目に重みを付けて総合順位を出した結果、最も高かったのは対照のP0でしたが、食物繊維を増やすという狙いを満たさないため、著者らは次点のP1(小麦粉75%:クズウコン粉25%)を最適な配合として選びました。P1は100グラムあたり食物繊維5.03グラムを含みながら、好みの評価は対照とほぼ同等だったとされています。

この研究が示すこと

この研究は、身近な地元作物の粉を小麦粉の一部に置き換えるだけで、おやつとして食べられる菓子の食物繊維量を目に見えて増やせること、そしてどこまで置き換えると味の受け入れられ方が落ちるのか、その境目を具体的な数字で示したものです。栄養価を高める方向と、実際に食べてもらえる味わいを保つ方向は必ずしも一致せず、両者のつり合いをとった配合を探すことが製品づくりの鍵になる—著者らの検討は、そのことを一つの事例として伝えています。

著者:Siti Dewi Putri Anggraeni(Institut Ilmu Kesehatan Nahdlatul Ulama Tuban)、Dwi Kurnia Purnama Sari(Institut Ilmu Kesehatan Nahdlatul Ulama Tuban)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Siti Dewi Putri Anggraeni, Dwi Kurnia Purnama Sari Pengaruh Subtitusi Tepung Garut terhadap Zat Gizi dan Daya Terima Soft Cookies Tinggi Serat sebagai Selingan Remaja Obesitas. Mikroba Jurnal Ilmu Tanaman Sains Dan Teknologi Pertanian 2026-08-31. DOI: 10.62951/mikroba.v3i2.667. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。