著者の所属・活動拠点の国は、インドネシア、フランスです。
掲載誌:Caraka Tani Journal of Sustainable Agriculture
ライセンス: CC BY-NC 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
お湯を注ぐだけで食べられるインスタント粥は手軽さが魅力ですが、その原料や配合次第で食感や栄養価は大きく変わります。インドネシアの研究チームが、地域で入手しやすい原料である改良キャッサバ粉(MOCAF)、レッドビーンズ粉、カボチャ粉を組み合わせたインスタント粥を作り、配合の違いが理化学的な性質や食味にどう影響するかを調べました。この研究は、食の多様化と持続可能な農業資源の活用を後押しする狙いのもとで行われています。
研究チームはUniversitas Mercu Buana Yogyakarta(ヨグヤカルタ)の農産物加工技術学科・食品科学学科と、インドネシア国立研究・イノベーション庁(BRIN)の食品技術・加工研究センターに所属しています。
どのような配合を比べたのか
研究では、MOCAF:レッドビーンズ粉:カボチャ粉の重量比を70:20:10、65:20:15、60:20:20、55:20:25、50:20:30という5パターンに変えたインスタント粥を作製しました。レッドビーンズ粉の割合は20%で固定し、カボチャ粉を10%から30%まで段階的に増やす一方でMOCAFを70%から50%まで減らす形です。それぞれについて、物理的な性質、化学組成、機能特性、抗酸化活性、そして官能評価(人が実際に食べて感じる味や食感の評価)を比較しています。
配合を変えると何が変わったのか
カボチャ粉の割合を増やしてMOCAFを減らすほど、収率、色の明るさ(白さ)、水溶性指数、水吸収指数、膨潤力、そして炭水化物含量が有意に低下したと報告されています。炭水化物含量は75.20%から73.15%まで下がりました。反対に、タンパク質含量、水分活性(食品中の水がどれだけ自由に使われやすい状態かを示す指標)、そしてバルク密度(一定体積あたりの粉の重さ)は有意に増加し、タンパク質含量は11.81%から13.72%まで上昇したとされています。
官能評価では、5つの配合のうち55:20:25(MOCAF55%、レッドビーンズ粉20%、カボチャ粉25%)の配合が、全体的な好ましさの評価で最も高い得点を得たと報告されています。これらの結果から、研究チームはMOCAF・レッドビーンズ粉・カボチャ粉の配合比を最適化することで、インスタント粥の栄養的な質と消費者からの受容性を高められる可能性があるとまとめています。
この研究をどう読むか
この研究は、特定の配合が優れていると断定するものではなく、5種類の配合を比較した中で55:20:25が官能評価上もっとも好まれたことを示した一つの研究です。ここで得られた数値や傾向は、今回用いられた原料や試験条件のもとでの結果であり、他の原料の組み合わせや調理条件でも同じ結果になるとは限りません。健康効果や栄養上の優劣を断定するものではない点にも留意が必要です。
まとめ
この研究は、キャッサバ、レッドビーンズ、カボチャという入手しやすい原料からインスタント粥を作る際に、配合比によって色や吸水性、タンパク質・炭水化物含量、食味の好ましさが変化することを示しました。地域資源を活かした食品開発の一例として、今後の食の多様化に向けた検討材料になると考えられます。
原著論文の著者・所属:Agus Slamet(Department of Agricultural Product Technology, Faculty of Agroindustry, Universitas Mercu Buana Yogyakarta, Yogyakarta)、Heni Purwaningsih(Research Center for Food Technology and Processing, National Research and Innovation Agency (BRIN), Yogyakarta)、Bayu Kanetro(Department of Food Science, Faculty of Agroindustry, Universitas Mercu Buana Yogyakarta, Yogyakarta)
※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Agus Slamet, Heni Purwaningsih, Bayu Kanetro. Physicochemical and Sensory Characteristics of Instant Porridge Made from Modified Cassava, Red Bean, and Pumpkin Flours. カラカ・タニ・ジャーナル・オブ・サステイナブル・アグリカルチャー (2026). DOI: 10.20961/carakatani.v41i3.115762. 原著ライセンス: cc-by-nc.