8月上旬の店先に並ぶかぼちゃは、実はまだ本調子ではありません。かぼちゃの供給は9〜11月にかけてピークを迎え、そのころには北海道産が市場の大部分を占めるようになります。今出回っているものは、その主役交代を控えた名残と走りが入り混じる時期の一玉です。とはいえ西洋かぼちゃ 果実 生の甘い味わいは、この時期からすでに十分に楽しめます。

「かぼちゃは甘い野菜」というのは誰もが知る事実ですが、100gあたりの成分を見ると、甘み成分とは別に酸味成分も含まれていることはあまり知られていません。西洋かぼちゃに含まれる有機酸を見ると、リンゴ酸0.2g、クエン酸0.2gとほぼ同程度含まれています。リンゴ酸はりんごなどの果実にも含まれる、食品の呈味にかかわる代表的な酸味成分の一つです。かぼちゃの甘みの奥に、果物と同じ酸の存在があるというのは、この野菜を少し違った目で見たくなる発見です。

栗のようにほっくり、栄養も濃い一玉

西洋かぼちゃは別名を栗かぼちゃといい、えびす・みやこの2品種で全体の生産量の50%を占めています。ほっくりとした食感と強い甘みは、まさに栗を思わせる味わいです。日本かぼちゃ・西洋かぼちゃはいずれも緑黄色野菜に分類され、β-カロテンを豊富に含む野菜として知られていますが、この西洋かぼちゃで特に目立つのが、体内でビタミンAに変わるプロビタミンAの一種、β-クリプトキサンチンで100gあたり90µgです。

加えてビタミンCも100gあたり43mgと、女性30〜49歳の推奨量100mg/日の43%にあたる量を含んでいます。ビタミンCは抗酸化やコラーゲンの生成に関わり、皮膚や粘膜の健康維持を助ける水溶性のビタミンですが、水に溶けやすく熱にも弱いため、新鮮なうちに手早く調理するのがおすすめです。詳しい基準は日本人の食事摂取基準を参考にしてください。

なお、成分表に北海道産の個別データは収録されていないため、ここでは一般的な西洋かぼちゃの値で見ています。

エネルギーは100gあたり78kcalで、炭水化物20.6g(食物繊維3.5gを含む)が主な内訳です。たんぱく質は1.9g、脂質は0.3gと控えめで、糖質からのエネルギーが中心の野菜だといえます。皮や種にもビタミン類が含まれ、種にはリノール酸オレイン酸などの不飽和脂肪酸があるとされているので、皮ごと調理して無駄なく使うのも一つの楽しみ方です。

1/4個で楽しむ、夏の食べ方

西洋かぼちゃは1/4個で約300gほどが目安です。この分量があれば、煮物なら数人分の副菜に、スープにすればポタージュ数杯分になります。皮ごと使うと煮崩れしにくく、種とわたを除いて一口大に切れば、そのまま冷凍もできます。保存の目安は冷凍で1カ月、冷蔵なら1週間、丸ごとであれば常温で2カ月ほど持ちます。夏場は冷たいポタージュにして、リンゴ酸の穏やかな酸味と甘みのバランスを冷やして味わうのも一興です。

次の甘みに出会うまで

薬膳・東洋医学では、かぼちゃは五性「温」・五味「甘」、帰経は「脾・胃」に分類され、気を補うとされています。甘みと並んで酸味成分も含まれているという発見は、口に運ぶたびに少し違う顔を見せてくれます。今の一玉はまだ主役交代前の一幕ですが、秋に北海道産が出そろうころ、この甘みと酸味のバランスがどう変わるのか、また確かめに来たくなります。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準