8月のがざみは、卵を抱えて味が乗る盛りにあります。旬は卵をもつ6〜9月とされているので、ちょうどその真ん中です。

遊泳力が強いことから「渡りがに」の名でも呼ばれる甲殻類で、おもな産地は愛知など、日本近海での漁獲が多い身近なかにです。選ぶときは、関節部分が黒くなっていないもの、そして重量感のあるものがよいとされています。手に取ったときのずしりとした重みが、身の詰まり具合の目安になるようです。

軽いのに、中身は詰まっている

かにというと身の印象が強いものですが、100gあたりのエネルギーはわずか61kcalです。それでいてたんぱく質は14.4gと、しっかり入っています。女性30〜49歳の推奨量50g/日に対して29%にあたる量です。脂質0.3g、炭水化物0.3gとどちらもごく少なく、あのすっきりした後味の理由が数字にも表れています。

ただし食塩相当量は0.9g。ゆでるときの塩加減や、ほかのおかずとの兼ね合いは意識しておきたいところです。

目を引くのは銅

そしてもうひとつ、がざみで際立つのがです。100gあたり1.1mgは、女性30〜49歳の推奨量0.7mg/日の157%にあたります。銅は赤血球の形成や、体内の多くの酵素の働きに関わる成分とされています。

157%という数字を見ると多すぎるように思えるかもしれませんが、これは日本人の食事摂取基準の推奨量に対する割合で、上限を示すものではありません。加えて、がざみ1ぱいの約200gは殻や内臓を含んだ買ったときの重さで、実際に口に入る可食部はそれよりずっと少なくなります。通常の一食であれば心配のいらない量です。

旬ならではの食べ方

がざみは鮮度が落ちやすく、生食はあまりされません。ゆでたもの、あるいはゆでて冷凍したものが主に流通し、身を出して二杯酢や酢の物、サラダ、炒め物、鍋物、ちらし寿司、かにめし、グラタンと、幅広く使われます。夏の食卓なら、やはりさっぱりと酢の物が似合う季節です。卵をもつ今だからこその濃厚な味わいは、手を加えすぎないほうが生きてきます。

なお、水を飲みながらかにを食べると体を冷やしやすいともいわれ、おいしくても食べすぎには注意したいところです。また、かには食物アレルギーを起こしやすいとされる特定原材料に準ずる食材のひとつで、えびとの交差反応も指摘されています。体質に応じて気をつけてください。

短い盛りを逃さずに

旬は6〜9月で、8月はまさにその真ん中にあたります。卵をもつこの時期を過ぎれば、味わいはまた変わっていきます。低カロリーで高たんぱく、銅がしっかり入っているという成分の顔に、ゆでてよし酢の物によしという食べ方の幅が重なります。その両方を備えているのが、いまのがざみです。次に店先で出会ったら、殻の下にどんな卵が詰まっているかを想像しながら、ひとつ選んでみてください。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準