8月、明石海峡の速い潮流にもまれて育つ明石だこが盛りを迎えています。潮の流れに逆らって育つ分、身が引き締まりながらも柔らかいのがこの海域のたこの持ち味です。まだこ 皮つき 生は、可食部100gあたりわずか70kcal。真夏の食卓でもすっと箸が伸びる軽やかさです。なお成分表に兵庫明石だことして個別の収録はないため、ここでは一般的なまだこの実測値で見ています。
たこ焼きの屋台で必ず添えられる紅しょうが。あれは彩りと風味のための組み合わせですが、薬膳・東洋医学の考え方では、たこはしょうがのような食材と一緒にとるとよいとされ、たこ焼きに紅しょうがが添えられているのは味の点だけではないのかもしれない、という見方も伝えられています。これは科学的に効果が実証されたものではなく、東洋医学における一つの考え方・言い伝えですが、何気なく口にしてきた組み合わせにこんな見方もあると知ると、次に屋台の湯気を眺める目も少し変わってきます。
身近な食材としてのたこ
まだこはたこ類の中でもっとも多く出回っている、いわば「たこの代表格」です。国産のほか輸入品も流通しており、近縁のミズダコも同じように利用されています。栄養面では、可食部100gあたりたんぱく質16.1gを含み、これは女性30〜49歳の推奨量50g/日の約32%にあたります。たんぱく質は体をつくる主成分でエネルギー源にもなる栄養素です。脂質は0.9gと控えめで、たこ焼きや酢の物、煮だこなど脂を多く使わない料理と相性がよいのも納得です。
高たんぱく・低脂質という特性から、真夏にそうめんや冷やし中華など糖質に偏りがちな献立になりやすい時期に、たこを一品加えると栄養バランスを整える助けになりそうです。
明石だこならではの楽しみ方
生のたこを選ぶなら、吸盤の吸いつきがよいものが新鮮な証しです。ゆでだこであれば、身にしっかり弾力があるものを選ぶとよいでしょう。明石のたこは刺身やしゃぶしゃぶで柔らかな身をそのまま楽しむのはもちろん、明石焼き(卵焼き)やたこ飯など、地元ならではの食べ方も豊富です。足の先には細菌が多く含まれているため、調理の際は必ず切り落としてから使うのが基本です。
買い物の目安としては、足1本でおよそ150g(購入時の重量)。1本あれば刺身や酢の物、たこ焼きの具材まで一通りまかなえる量です。たこ類の主な産地は北海道で、全体の61.6%と大きなシェアを占めています。岩手や宮城、青森、福岡が数%ずつでそれに続きます。明石のたこは地元の潮流が育てる特別な存在ですが、日本のたこ需要全体を支えているのはこうした産地の広がりでもあります。
まとめ
明石海峡の潮流が育てた柔らかな身、可食部100gで70kcalという軽やかさ、そして紅しょうがという定番の相棒——。たこ焼きの紅しょうがという、誰もが知る組み合わせにも、しょうがと合わせるとよいという昔ながらの見方が重ねられてきたのかもしれないと思うと、今日の一皿の見え方が少し変わってきます。旬の明石だこを味わうときは、脇役の紅しょうがにも少し注目してみてください。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準