著者の所属・活動拠点の国は、インドです。
掲載誌:Journal of Advances in Biology & Biotechnology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
市場であまり好まれない魚も、加工して付加価値を高めれば、水産資源を無駄なく使いながら手軽な魚料理を提供できる可能性があります。研究チームは、ニベ科の魚の一種(学名 Johnius dussumieri、英語名クローカー)を材料に、加熱するだけで食べられる「レディ・トゥ・クック」タイプの冷凍フィッシュフィンガーを作りました。そして、長期間の冷凍保存中に品質がどう変わるかを調べました。
どのように作り、何を調べたか
地元の市場で仕入れた新鮮なニベの骨を手作業で取り除き、身をすり身状にしました。事前に配合を決めておいた調味料で味をつけ、蒸して加熱したあと棒状に成形し、衣液をつけてパン粉をまぶしています。完成したフィッシュフィンガーは食品用のポリエチレン袋に詰め、マイナス20度で180日間保存しました。
保存中は30日ごとに試料を取り出し、水分・たんぱく質・脂肪・灰分(ミネラル分の目安)といった基本成分のほか、鮮度や劣化の指標を測りました。指標には、魚の鮮度低下に伴って増える揮発性塩基窒素(TVBN)、脂肪の酸化の度合いを示す過酸化物価、脂肪の分解で生じる遊離脂肪酸、一般的な細菌数の目安となる一般生菌数が含まれます。あわせて、見た目や味などの官能評価も行いました。
主な結果
抄録によると、原料の生のニベは水分74.63%、粗たんぱく質17.29%、粗脂肪6.46%、灰分1.08%でした。加工後、まだ加熱調理していないフィッシュフィンガーでは、それぞれ58.23%、18.06%、6.13%、1.50%と報告されています。冷凍保存中にフィッシュフィンガーの水分は52.11%まで下がり、見かけの脂肪分は9.07%、灰分は1.81%に上がりました。
劣化の指標はいずれも保存とともに徐々に上昇しました。揮発性塩基窒素は100gあたり4.28mgから10.47mgへ、過酸化物価は脂肪1kgあたり3.16mmolから6.33mmolへ、遊離脂肪酸は総脂質に対して3.33%から9.56%(オレイン酸換算)へ増えました。研究チームは、これを冷凍中にも成分の変化や脂肪の劣化が少しずつ進んだことを示すものとしています。一般生菌数は、はじめにいったん増えたあと、長期保存の間に大きく減少しました。
官能評価の点数は保存期間が長くなるにつれて少しずつ下がりました。それでも180日後の総合的な好ましさは、5段階評価で4.0を保っていました。
研究が示すこと
著者らは、あまり好まれない海水魚であるニベを、付加価値の高い冷凍フィッシュフィンガーに加工できると結論づけています。このフィッシュフィンガーは、マイナス20度で6か月間保存しても、栄養面・微生物面・官能面で許容できる品質を保っていたと報告しています。この研究は、敬遠されがちな魚を加工によって使いやすい商品に変え、利用と販売を広げるための実際的な方法の一例として示されています。
原著論文の著者・所属:Geetanjali Jena(PG Department of Zoology, Berhampur University, Berhampur – 760 007, Odisha, India)、Brundaban Sahu(College of Fisheries (OUAT), Rangailunda, Berhampur – 760 007, Odisha, India)、Chandan Roul(College of Fisheries (OUAT), Rangailunda, Berhampur – 760 007, Odisha, India)、Nityananda Das(College of Fisheries (OUAT), Rangailunda, Berhampur – 760 007, Odisha, India)、Dharitri Choudhury(College of Fisheries (OUAT), Rangailunda, Berhampur – 760 007, Odisha, India)、B. K. Pati(College of Fisheries (OUAT), Rangailunda, Berhampur – 760 007, Odisha, India)、Suryamani Patro(Rama Devi Women’s University, Vidya Vihar, Bhubaneswar, Odisha, India)、Pooja Priyadarshini(College of Fisheries (OUAT), Rangailunda, Berhampur – 760 007, Odisha, India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Geetanjali Jena, Brundaban Sahu, Chandan Roul, et al. Value Addition of Croaker (Johnius dussumieri) through Development of Ready-to-Cook Fish Fingers and Evaluation of Their Frozen Storage Stability. Journal of Advances in Biology & Biotechnology 2026-11-03. DOI: 10.9734/jabb/2026/v29i114638. 原著ライセンス:CC BY.