この研究は、インドの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Panacea Journal of Medical Sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
尿路結石症は、腎臓や尿管などの尿の通り道に硬い結晶のかたまり(結石)ができる病気です。論文によると、世界の人口のおよそ12%が尿路結石症の影響を受けており、インドでも同程度の約12%と推定され、北部ではさらに高く15%に達すると報告されている地域もあるとされています。著者らは、この病気が治療法にかかわらず再発しやすく、患者の負担と医療費の重荷になっている点を課題として挙げています。
結石のでき方には、遺伝的な体質、代謝の異常、生活環境などが複雑に関わっているとされ、著者らは、その仕組みがなお十分には解明されていないため予防が難しいと述べています。そのうえで本研究は、インド・コルカタの医科大学を受診した患者を対象に、食習慣のパターンと結石の種類との関連を調べることを目的として行われました。
何を、どのように調べたか
研究チームは、コルカタのKPC医科大学の生化学教室と泌尿器科が協力し、2024年11月から2025年10月までの1年間、横断的観察研究を実施しました。横断研究とは、ある時点の状態をまとめて調べる方法で、原因と結果の順序までは確かめられない設計です。対象は18〜80歳の尿路結石症と診断された患者140人で、妊娠中・授乳中の人、悪性腫瘍や膠原病のある人、重篤な状態の人などは除外されました。
結石は手術で摘出された後に回収し、洗浄・乾燥させ、大きさ・形・重さを記録したうえで細かく砕き、標準的な生化学的手法で成分を調べました。あわせて、手術前の聞き取りによって臨床情報・病歴・食習慣の情報が集められました。食事に関して評価された項目は、タンパク質の摂取、シュウ酸(ホウレンソウ・ナッツ・茶・チョコレートなどに多く含まれる成分)の多い食事、プリン体(赤身肉・内臓肉・魚介類などに多く、体内で尿酸に変わる成分)の多い食事、ナトリウム(塩分)の摂取、飲酒、そして水分摂取量です。集計と解析にはIBM SPSS version 23が用いられました。
報告された主な結果
140個の結石のうち、最も多かったのはシュウ酸カルシウム結石で40個(28.6%)、次いでリン酸カルシウム結石が34個(24.3%)でした。複数の成分が混ざった混合結石も多く、シュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムの混合が26個(18.6%)、シュウ酸カルシウムと尿酸の混合が24個(17.1%)でした。純粋な尿酸結石は最も少なく16個(11.4%)でした。全体として、カルシウムを含む結石が約71%を占めたと報告されています。
患者の平均年齢は45.57±17.17歳で、男性94人・女性46人と男性に多い分布でした。平均BMI(体格指数)は27.24±4.14 kg/m²でした。BMI別に見ると、低体重(18.5未満)の人には結石は認められず、過体重(25〜29.9)が58人と最も多く、次いで肥満(30以上)が44人、標準(18.5〜24.9)が38人でした。
食習慣との関係については、シュウ酸カルシウム結石は主に混合食(菜食と肉食を組み合わせた食事)をとる人に見られ、高タンパクの摂取と水分摂取の少なさがしばしば報告されました。リン酸カルシウム結石も混合食との関連が大きく、高タンパク、シュウ酸やプリン体の多い食品、水分不足との結びつきが共通して見られたとされています。尿酸結石は混合食の患者にのみ認められ、主にプリン体の多い食事と水分摂取の不足に関連していました。混合結石でも、高タンパクとプリン体の多い食事、水分摂取の少なさが、結石の組成を問わず共通する食事面の危険因子として浮かび上がったと報告されています。
著者らは研究の限界として、標本数が少ないため結果を広い集団にそのまま当てはめにくいこと、評価した食事項目が限られていること、このグループにはストルバイト結石やシスチン結石が含まれず、それらと食事の関連は分析できなかったことを挙げています。
この報告が示すこと
この研究が示したのは、対象となった集団の尿路結石が主にカルシウムを含むものであり、中年で過体重または肥満の男性に多く見られたこと、そして動物性タンパク質・プリン体・シュウ酸の多い食事と水分摂取の不足が、結石の種類を問わず共通して関わっていたという点です。著者らは、これらが生活習慣や代謝といった、変えられる余地のある要因であることを強調し、個別の食事指導、十分な水分摂取、体重管理、代謝リスクの管理が予防と再発の抑制に重要だと結論づけています。
ただしこれは一つの医療機関で140人を対象に、ある時点の状態を調べた観察研究です。食習慣と結石の種類に関連が見られたという報告であり、どちらがどちらを引き起こしたのかを確定するものではありません。日々の食事と水分のとり方が結石という身近な病気とどう結びついているかを、実際の結石成分の分析とともに示した記録として読むことができます。
著者:Soumyajit Ghosh(Dept. of Biochemistry , KPC Medical College & Hospital , Jadavpur , Kolkata , West Bengal , India)、Debolina Chatterjee(Dept. of Biochemistry , KPC Medical College & Hospital , Jadavpur , Kolkata , West Bengal , India)、Soma Lahiri(Dept. of Biochemistry , KPC Medical College & Hospital , Jadavpur , Kolkata , West Bengal , India)、Indira Bhaskar Biswas(Dept. of Biochemistry , KPC Medical College & Hospital , Jadavpur , Kolkata , West Bengal , India)、Puskar Shyam Chowdhury(Dept. of Urology , KPC Medical College & Hospital , Jadavpur , Kolkata , West Bengal , India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Soumyajit Ghosh, Debolina Chatterjee, Soma Lahiri, et al. Association between various types of urinary stones and dietary patterns: A cross-sectional study in a medical college in Eastern India. Panacea Journal of Medical Sciences 2026-08-25. DOI: 10.18231/j.pjms.16650.1784697582. 原著ライセンス:CC BY.