この研究は、アラブ首長国連邦の研究機関の研究論文です。
掲載誌:Cureus
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を明らかにしようとした研究か
アラブ首長国連邦(UAE)の大学生を対象に、朝食をどのように食べているかを調べた研究が報告されました。著者らによれば、大学生は学業の忙しさや生活習慣から朝食を抜きがちであることが各国で指摘されてきた一方、UAEの大学生に関する情報は限られており、その地域に即したデータが必要だと考えられていました。
そこで研究チームは、医学系と非医学系の学生を比べながら、朝食を食べる頻度や時間帯、食べているもの、朝食を抜く理由(障壁)、自分で感じるエネルギーレベル、朝食に関する知識や態度、そして体格指数(BMI、身長と体重から算出する体格の目安)との関係を調べることを目的に据えています。
どのように調べたか
調査は横断研究として行われました。横断研究とは、ある時点の状況をまとめて調べる方法で、時間の前後関係を追いかけるものではありません。対象はUAEの大学に在籍する18歳以上の学生で、SNSや対面での呼びかけによって参加者を募る便宜的な方法が使われ、最終的に405人が分析に含まれました。著者らは、この募集方法のために標本がUAEの大学生全体を代表しているとは限らず、結果の一般化には注意が必要だと述べています。
データは構造化された自記式の質問票で集められ、大学の研究倫理委員会の承認を得たうえで実施されました。身長と体重は自己申告で、そこからBMIが計算されています。朝食に関する12項目の知識設問と、朝食が覚醒度やエネルギーに与える影響についての2項目から、知識得点と態度得点が作られました。解析にはカイ二乗検定やマン・ホイットニーのU検定、スピアマンの順位相関、多変量ロジスティック回帰などが用いられています。
報告された主な結果
全体では405人のうち279人(68.9%)が朝食を定期的に食べていると回答し、126人(31.1%)は朝食を抜いていました。専攻別に見ると、医学系の学生で朝食を抜く割合が38.2%、非医学系では25.2%で、統計的に意味のある差があったと報告されています(p = 0.005)。一方、朝食を食べる頻度そのものの分布や、食べる時間帯には両群で明確な差は見られませんでした。
朝食を抜く理由として最も多く挙がったのは時間の不足で、240人(59.3%)が回答しました。次いで、起床が遅いこと(128人、31.6%)、気分によるもの(124人、30.6%)、まだ食べるには早すぎると感じること(115人、28.4%)が続きました。朝食は自宅で食べる人が343人(84.7%)と多く、食べる品目では卵が271人(66.9%)で最も多く、紅茶やコーヒー、サンドイッチなどが続き、果物やヨーグルトの回答は比較的少なめでした。
朝食を週6〜7日といった高い頻度で食べている学生ほど、自分で感じるエネルギーレベルが高いと回答する傾向があり、この関連は統計的に有意でした。ただし著者らは、横断研究であるため朝食がエネルギーを直接高めるという証拠とは解釈できず、睡眠やストレス、学業の負担なども感じ方に影響しうると注意を促しています。
知識得点は医学系と非医学系のあいだで有意な差がありませんでしたが、朝食を定期的に食べている学生は、抜いている学生よりも知識得点・態度得点がともに高いという結果でした。また、知識得点が高い学生ほど朝食に対して前向きな態度を示す正の相関も報告されています。一方、朝食を食べるかどうかとBMIの区分とのあいだには、この標本では有意な関連は見られませんでした。
この報告が示すこと
著者らは、学生が朝食の大切さをおおむね理解していても、それが日々の行動に必ずしも結びついていないという知識と実践のずれを指摘しています。とくに医学系の学生で朝食を抜く傾向が強く、その背景として時間の不足や忙しい朝のスケジュールが多く挙げられていました。
この研究から浮かび上がるのは、朝食をめぐる課題が知識の不足というより、朝の時間という現実的な制約にあるという姿です。著者らは、こうした実際的な障壁に目を向けることの重要性を結論で述べています。
著者:Doaa Q Aljanabi(. College of Medicine , University of Sharjah , Sharjah , ARE)、Omar M Al Ani(. College of Medicine , University of Sharjah , Sharjah , ARE)、Mohamed J Almulla(. Department of Family and Community Medicine and Behavioral Sciences , University of Sharjah , Sharjah , ARE)、Sara Rashid(. Department of Basic Sciences , University of Sharjah , Sharjah , ARE)、Tayaba Sahibdad(. Department of Basic Sciences , University of Sharjah , Sharjah , ARE)、Ahmad R Yacoub(. College of Medicine , University of Sharjah , Sharjah , ARE)、Maryam A Alsane(. College of Medicine , University of Sharjah , Sharjah , ARE)、Mitha Althakhri(. Department of Family and Community Medicine and Behavioral Sciences , University of Sharjah , Sharjah , ARE)、Rania S Ahmed(. Department of Basic Sciences , University of Sharjah , Sharjah , ARE)、Amal Hussein(. Department of Basic Sciences , University of Sharjah , Sharjah , ARE)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Doaa Q Aljanabi, Omar M Al Ani, Mohamed J Almulla, et al. Perceptions, Barriers, and Breakfast Consumption Habits Among University Students in the United Arab Emirates: A Cross-Sectional Study. Cureus 2026-08-28. DOI: 10.7759/cureus.115339. 原著ライセンス:CC BY.